NEC、ブレードサーバー事業に関する説明会を開催
|
NEC執行役員常務 小林一彦氏 |
まず、同社執行役員常務の小林一彦氏が説明の壇上に立ち、今回の説明会のキーワードとなるグリッドコンピューティングの背景について説明を行なった。
「今日、ゲノム解析、自然現象シミュレーション、高エネルギー物理実験データ解析といった最先端の科学技術の現場ではこれまでにない規模のコンピューティングが求められており、その扱う規模はPeta FLOPS級の計算能力と、Peta Byte級のデータアクセスとなる(PetaはGigaの100万倍)。このような分野でのコンピューティングニーズへの回答の1つがグリッドコンピューティングである。」と、小林氏は説明した。
グリッドコンピューティングとは、インターネットを利用して世界中に存在するサーバーを接続し、非常に高度な分散処理と、リソース/データ共有をおこなうシステムのことで、世界中の研究機関などでその取り組みが始まっている。小林氏は、このグリッドコンピューティングのソリューションとしてブレードサーバーを位置づける。
■スーパーコンピュータのノウハウを投入した「Express5800/BladeServer」
1枚のブレード 黒いのはCPUヒートシンク |
同社のブレードサーバー「Express5800/BladeServer」はPentium III-S 1.26GHzを2基搭載し、3Uのラックに6枚のブレードが収容が可能。1つのラックに最大84枚のブレード(168 CPU)を収容することができる。最大1GBのメモリに対応し、標準で3つの100Base-TX Ethernetポートを備える。HDDはミラーリングに対応し、1つのブレードに対して2台のHDDを、ブレードとは分けてラック内に収容する設計となっている。
小林氏は、「グリッドコンピューティングの性質上、ブレード単体の処理能力もできるだけ高度なものが求められる。そのためNECは最高クロックのPentium IIIを2基搭載するなど、妥協のないスペックを採用した」と、説明。高密度化にともなう熱/消費電力問題を解決するために、Crusoeなどクロックが低く低発熱のCPUを採用している他社製品を比較の例に上げ、他社を牽制する発言を見せた。
さらに、同製品の開発に当たっては、「スーパーコンピュータの開発者を登用し、スーパーコンピュータ畑で培ったノウハウを投入した。他社が、PCの延長線上に開発した詰め込んだだけの製品とは一線を画す」と、同社がブレードサーバーにかける意気込みをあらわにした。
小林氏のスピーチ後には、稼動中のラックにブレードを追加して、リアルタイムで負荷を新しいブレードに分散させたり、新規に取り付けたHDDにリモートからOSを同時にインストールしたり、クラスタリングされているWebサーバーの一部を動的にメールサーバーに変更するデモなどが行なわれ、運用/保守面の容易さをアピールした。
■この分野で世界の最先端を目指す
最後に質疑応答が行なわれた。ドットコムバブルの崩壊などで、データセンタービジネスの将来は明るくないのではとの質問に対し、小林氏は「世間で言われているドットコムの崩壊はベンチャー企業での出来事。データセンターなどB2Bシーンでの売り上げはむしろ増大している」と、回答。この業界でのビジネスに対する強い意欲を見せた。
また、NECにおける今後のサーバー技術開発への取り組みについての質問に対しては、「私は常々、国内大会の優勝ではなく、オリンピックでの金メダルが必要であると語ってきた。世界市場で生き抜いていくためにも、NECは常に最先端の技術開発を行ない、世界市場を牽引していく」と、強気の姿勢を見せた。
マシン全景。左側には40枚。右側には84枚のブレードが収容可能 | 背面の様子。ケーブルは専用のカードからまとめて出る形でケーブリングは非常にスマート |
クラスタリングのデモ。計算を実行すると、60個のCPUがアイドル状態(青)から負荷状態(オレンジ)に変わり、分散処理されているのが分かる。このデモでは出力結果を別のワークステーションでレンダリングしてリアルタイム表示していた |
リモートから6台のブレードにいっせいにOSをインストールするデモ | 左のインストール作業の様子をブレードに接続されたモニタを通じて出力している |
稼動中のサーバーにブレードを追加するデモ |
□NECのホームページ
http://www.nec.co.jp/
□関連記事
【1月17日】NEC、国内ベンダ初のブレードサーバー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0117/nec.htm
【2月19日】コンパック、ブレードサーバー「ProLiant BL」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0219/compaq.htm
(2002年3月6日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]
|