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モニターはデュアルからウルトラワイドの時代へ。同梱ソフトも使えばさらに快適となる極意を紹介!

 マルチモニターにより、広いデスクトップ環境を活用する人が増えている。同時にマルチモニターと違い、広大なデスクトップを1台で実現できるウルトラワイドモニターにも注目が集まっている。ビジネスではマルチタスクで作業を効率化でき、ゲームでは没入感が圧倒的に高まるなど、用途に関わらずメリットの多いアイテムだ。

 こうしたウルトラワイドモニターを選ぶときにまず目が行くのがスペックだろう。パネルのタイプや解像度、リフレッシュレートに色数、インターフェイスの種類など、自分の使い道にあった性能、仕様になっているかどうかは確かに気になる。

 だが、実はもう1つ、日常の使い勝手や仕事の生産性に直結する重視すべきポイントがある。それはモニターの持つ“機能”だ。スペックシートからは見えにくいそんなモニターの“機能”によって、どう使い勝手が変わるのか?デル・テクノロジーズ(以下、デル)の40型ウルトラワイド湾曲面モニター「U4025QW」を例に解説していこう。

「Dell Display Manager」でウルトラワイドをフルに生かせる柔軟なウィンドウ配置

 アスペクト比16:9のオーソドックスなモニターと比べて、21:9などのウルトラワイドモニターは1画面に表示できる情報量が確実に多くなる。縦方向の解像度が同じ場合、横方向は概ね30%超の拡大だ。U4025QWの解像度は実に5,120×2,160ドット。つまり一般的なモニターとしては最大クラスである4K製品に対し、さらに横解像度が30%ほど高い計算だ。

24型16:9 フルHDモニター「P2422HE」2台(左)とU4025QWを並べたところ。U4025QWは単体でも16:9の4Kモニターより横解像度が3割ほど高い。そして、この写真の比較では、フルHD 2台よりも高解像度ながら設置面積は狭くて済む

 画面が広くなれば、複数のアプリケーションを並べて使いやすくなり、こなせる仕事量も基本的には増えていく。が、大量の情報を扱えるとしても、それによって作業効率が高まるとは必ずしも言えない。

 たとえば大画面のウルトラワイドでは、設置の仕方によっては特に左右方向の視線の移動距離が増えるなどして疲れやすくなる可能性がある。また、たくさんのウィンドウを開いて作業するときに、何がどこにあるのか把握しきれず、切り替えの手間が増えてかえって操作が非効率になることも考えられるだろう。

大量の情報を扱えるウルトラワイドモニター。ただ、当然ながら1つのウィンドウを表示しているだけだと、その性能を持て余してしまう

 Windows 11では、そういった問題を軽減できるように、ウィンドウの操作をサポートする「スナップ」機能やショートカットキーなどが用意されている。だが、デルのモニターの場合、それよりも高度なウィンドウ操作ができるソフトウェア「Dell Display Manager」(macOSではDell Display and Peripheral Manager)を利用できるのが強みだ。

Windows 11にはウィンドウ操作をサポートする「スナップ」機能などもあるが……

 Dell Display ManagerにはOSD的機能もあるが、OS上で動作する通常のアプリケーションで、対応するデルのモニター製品を使用しているときに有効になる。豊富な機能を備えているツールだが、ここで注目したいのは「Easy Arrange」という機能だ。

デルの現行モニター製品の多くが対応している専用ツールDell Display ManagerのEasy Arrange機能

 Easy Arrangeは、立ち上げているアプリケーションウィンドウの整列方法を柔軟にカスタマイズできるもの。あらかじめ用意されている多数の「レイアウト」の中から好きなプリセットを選んでおくと、アプリケーションウィンドウをドラッグするだけでそのレイアウトに沿って配置できる。

 画面を2分割、3分割するレイアウトは当然として、なんと最大12分割まで可能。Windows標準のスナップ機能とは操作手順が若干異なり、ウィンドウを移動し始めるとレイアウトの枠線がオーバーレイ表示され、枠の中にウィンドウを移動してドロップすれば、その枠の位置、サイズにウィンドウが配置されるという流れになる。

2分割から最大12分割のレイアウトまで可能
ウィンドウを移動し始めるとガイド線が表示されるので、配置したい枠内にドロップすればOK

 プリセットの枠サイズは固定されているが、それらをベースに細かくサイズ調整したユーザー定義のプロファイルを追加することもできる。また、特定の複数アプリケーションを指定レイアウトに一発で表示させる「Easy Memory」という機能も便利。PC作業中に必ず使うアプリケーションを手早く起動し、きれいに配置したいときに役立ってくれる。

プリセットの枠サイズを微調整してユーザープロファイルとして保存しておける
Easy Memoryを使えば任意のアプリケーションを任意のレイアウトで一発起動&配置することも

さらに「Dell Display Manager」でモニター設定を容易に変更

Dell Display Managerの機能と特徴

 Dell Display Managerが担う役割はほかにもある。ウィンドウ操作だけでなく、映像入力の切り替えや輝度、コントラスト、色の調整、解像度の変更、2台のPC画面を1画面内に表示するPIP(Picture in Picture)/PBP(Picture by Picture)の設定もできる。一般的製品ならモニター本体のボタンとOSDを使って設定するものだが、代わりにマウス(またはキーボード)操作で手軽に実行できるのだ。

通常はボタンとOSDで行なうモニター本体の設定だが……
Dell Display Managerを使うとそれと同等以上の設定が可能

 モニターの背面や底面に手を伸ばし、ボタン操作でメニューをたどって目的の機能を選ぶというのは、慣れてもそれなりに手間に感じる部分。それが画面上の直感的なUIでささっと手早く行なえるメリットは大きい。

 その上、Dell Display Managerには標準のモニター機能では実現できない、利便性を一段と高める仕組みも用意されている。その1つが「カラー」設定をアプリケーションごとに自動で切り替える機能だ。

Dell Display Managerのカラー設定の画面

 U4025QWは色温度の調整ができるだけでなく、sRGBやDCI-P3などの色空間に対応しており、Display HDRによるコントラスト豊かなカラーモードを選ぶこともできる。これらは通常、モニターの主な用途や、メインで使用するアプリケーション、もしくはユーザーの好みに合わせてどれか1つを選んでおくことが多いだろう。

豊富なカラーモードから選択できる

 ただ、用途ごとに最適なカラーモードが用意されているのなら、シチュエーションに合ったカラーモードを選んで使いたいもの。そうした時に、アプリケーションごとにカラーモードを自動で切り替えられるDell Display Managerの機能が活躍してくれる。

 たとえば動画配信サービスのアプリケーションを起動したときは「映画」モードに、画像編集ソフトを使うときは「Display P3」に、ゲームをプレーするときは「ゲーム」モードに、それ以外は「標準」モードに、といった切り替えが可能になる。手動切替の手間を省きつつ、常に最適なカラーモードで使えることで、効率よく、質の高い仕事ができるようになるはずだ。

アクティブなアプリケーションごとにカラーモードを自動で切り替える設定が可能

 ほかにも、映像入力の切り替えや、PIP/PBP時の画面入れ替え、Dell Display Managerの起動などにキーボードショートカットを割り当てて、各種機能を手元で素早く実行できるようにする仕掛けもある。これらを駆使することで、ウルトラワイドモニターの使い勝手は格段に向上すること間違いなしだ。

Dell Display Managerの頻繁に使いがちな機能はショートカットキーに割り当てられる

複数PCを使う(予定)なら「KVM」は必須!LAN経由で使える場合も

 ウルトラワイドモニターに限った話ではないが、これからモニターを選ぶにあたって、機能の有無を必ずチェックしておきたいのが「KVM」。複数のPCと、1セットのキーボード、マウスを1台のモニターに接続しておくと、映像入力の切り替えに応じてキーボード、マウスの操作対象PCも切り替えてくれるというものだ。

KVMは、2台のPCで1つのモニターを共有するときにぜひ使いたい機能
キーボード、マウスをUSB接続してKVMを有効にしたところ

 複数のPCを切り替えながら使いたいユーザー向けの機能なので、PCが1台しかない人には不要に感じられるかもしれない。が、将来的にデスクトップPCやノートPCを追加するようなことがあれば、KVMの有無はそれらの使い勝手に如実に影響を与えることになる。

 KVMがないと、2台のPCに対してキーボード、マウスも基本的に1セットずつ、計2セット必要になるため、デスク上のスペースがどうしても圧迫される。種類の異なるキーボード、マウスだと操作感も変わってしまうだろう。いずれも混乱を引き起こし、生産性を低下させる原因になりかねない。

 しかしKVMがあれば、先ほど説明した通り1セットのキーボード、マウスで2台のPCをコントロールできるようになる。PCが1台のときと同じ余裕のあるデスクスペースを確保しつつ、一貫した操作感も保てるようになる。

 U4025QWでKVMを有効にしたいときは、2台のPCからモニター側の映像入力とUSBアップストリームポートに接続し、ダウンストリームポートにキーボード、マウスを接続するだけ。

 また、USBポートにUSBカメラなどをつないだり、モニター側に用意されている最大2.5Gbpsの有線LANポートをルーターと接続したりしておけば、それらもキーボード、マウスと同じように切り替えられる(モニター内蔵スピーカーやオーディオ端子も同様)。

 ちなみに、モニター側に1Gbps超の有線LANポートを装備し、それも含めてKVMに対応しているモニターは珍しい。ここはU4025QWの大きな強みとも言える部分だ。

U4025QWの背面にあるポート類。映像入力のほかにThunderbolt 4、USB Type-C/Type-Aなどが並ぶ
最大2.5Gbpsの有線LAN接続による安定した高速通信を実現できる
U4025QWの底面を押し上げるとさらなる追加USBポートが出現

 それともう1つ、U4025QWで面白いのが「ネットワークKVM」も備えていること。キーボード、マウスをモニターに接続せず、つまりPC側にキーボード、マウスを接続した状態であっても、ネットワーク経由でもう一方のPC操作が可能になる機能だ。

Dell Display ManagerのネットワークKVMの設定画面

 ネットワークKVMは、たとえばBluetooth接続のワイヤレスキーボード、マウスを使っているときに活躍する。通常のKVMだとモニターの映像入力を切り替えるとき、それとは別にワイヤレスマウス、キーボード側のスイッチ(またはペアリングの再設定)でも切り替える必要があるが、ネットワークKVMであればその手間を省ける。U4025QWのKVMには、あらゆる環境に対応できる柔軟性があるのだ。

 また、ネットワークKVMを使用すると、クラスタ内のクライアントデバイス間でファイルを転送しながら、キーボードとマウスを共有でき、Windows-Macという異なったOS間でのファイルの共有もサポートされている。

 ネットワークKVMを含めたDell Display Managerについては、公式サイトに詳細な利用方法が公開されている。

不具合対応などサポート充実の、環境に優しい製品を選ぼう

U4025QWはMacにも対応

 ここまでモニターの“機能”の重要性について紹介してきたわけだけれど、仕事に使う電子機器であることを考えると、購入後のアフターサポートや、環境問題に向けた対応状況も気にしておきたい。

 デルのモニターのうち、今回取り上げたU4025QWを始めとするデジタルハイエンドシリーズや、ビジネス向けのPシリーズに関して言うと、ディスプレイパネルに1ピクセルでも異常(輝点)があった場合には無償で良品に交換してくれる「プレミアムパネル保証」が付帯している。メーカーによっては「仕様」として片付けられてしまうケースもあるなかで、これは安心感のあるサービスではないだろうか。

大画面高精細なモニターで不具合があるとがっかり。しかし、デルの一部製品は1ピクセルでも輝点があれば無償交換してくれる

 保証期間は標準で3年。その間に万が一故障が発生しても、デルの製品なら最短で翌営業日に一時的な代替品が送付される。最初にユーザーからメーカーに修理品を送付して、それから修理対応となると時間がかかって仕事にも影響するし、そもそも梱包サイズが大きくなる大画面モニターだと発送するのもひと苦労だ。サクッと正常品に差し替えて仕事を継続でき、その後に引き取り修理という流れになるデルのサポートは、多忙なビジネスパーソンにはありがたい。

 そして、近年のデルの法人向けモニター製品は、E1715Sを除く全ての機種がリサイクル可能な再生ダンボールで梱包されている。かさばるうえに廃棄にも手間取る発泡スチロールはほぼ排除されており、さらにはモニター本体に使われる素材も、すでに約85%の製品が再生プラスチックを使用する環境に配慮した設計となっている。

 加えて、デル製モニターは同社製PCやWindowsデバイスだけでなく、アプリケーションも含めMacにも対応しているのもポイントだ。

 なおデルでは、今回紹介したウルトラワイドのUシリーズ以外に、ビジネス向けのPシリーズでは通常の曲面モニターよりもカーブが浅く、ほぼフラットなパネルのタイプも取り揃えている。見え方のゆがみが少なく価格も手ごろなため、CADユーザーなどに非常に人気が高く、デュアルモニター代わりに購入するユーザーも多いとのことだ。

デルの法人向けモニター製品の梱包材はほとんどが再生ダンボール。梱包材の容積も劇的に削減されている

 大量導入することもある企業にとって、梱包材の容積削減とリサイクル性の改善、環境課題への対応は、導入のしやすさにもつながる部分。モニター製品のスペックを重視するのは大事だが、それ以上に機能やサポート、環境対応にも目を向けて、慎重に製品を選びたいところだ。

各種サプライも取りそろえ

 今回の本題とは関係ないが、デルはPC本体やモニター、キーボード、マウスなどの周辺機器にとどまらず、PC用バックパックなども取りそろえている。
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