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Windows 11の最新版「25H2」登場。現状は24H2とほとんど変わらず、違いが分からない……

Windows 11 25H2

 2025年9月30日、Windows 11の最新バージョンとなる「25H2」の提供が開始された。

 25H2は「大規模な機能更新」だった従来のアップデートと異なり、同社いわく「合理化された無駄のないセキュリティ重視の更新」としており、目を引くような派手な新機能は少なく、従来の24H2と機能的には同等となる。その概要と具体的な変更点をチェックしてみた。

Windows 11のサポート期間が更新される

 Windows 11 2025 Updateが公開された。年1回の機能更新プログラムの適用によってビルドが「26200」番台へと更新された最新版のWindows 11だ。

 ただし、段階的な展開のため、すべてのユーザーで利用可能なわけではない。 現状は、Windows Updateの「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」にしてしばらく待つか、Windows 11のダウンロードサイトから25H2のメディア(USBまたはISO)をダウンロードすることで利用可能になる。

入手手段①
Windows Updateで25H2が降ってくるのを待つ
入手手段②
25H2のインストールイメージを作る

 この更新により、Windows 11のサポート期間が更新される。現状はモダンライフサイクルポリシーでは、コンシューマ向けのHomeとProは基本的にリリースから24カ月となっており、2027年10月までサポート期間が延長される。

Windows 11 Home/Proのサポート期限。2025年10月1日時点では、25H2の記載はまだない

 本稿執筆時点では、以下のサイトで25H2の記載がないため、正確な日程は確定していないが、おそらく例年通り10月の第2週の火曜日となる2027年10月12日になると予想される。

24H2と共通であることの意味

  例年、10月の機能更新は、数々の新機能が実装されるのが伝統だったが、今回はそうではない。 25H2は、共有サービスモデルというアプローチが採用されており、最新バージョンでありながら、旧バージョンの24H2と多くの点が共通化されている。

 具体的には、24H2と25H2のように、複数のWindowsバージョンが同一のソースコードブランチから構築されるようになっている。つまり、基盤となるコードが共通となっているわけだ。

共有サービスモデルの概要

 これにより、セキュリティ修正プログラムや、ソフトウェア/ハードウェアの互換性など、OSのバージョン間の違いを吸収できるようになっている。

 実際、今回の25H2では、OSとしての更新内容の多くが旧バージョンの24H2の月例更新で無効化された形で先行配信されており、25H2では、イネーブルメントパッケージ(eKB)と呼ばれる小型のパッチを適用するだけで、更新が完了するようになっている。

 過去のメジャーバージョンアップは、OSを入れ替える作業だったが、OSとしての基本は共通化されているため、バージョン番号の更新と機能の有効化という最小限の更新だけで済むことになる。

  これは、更新の負担軽減に加え、「更新控え」を避ける目的もあるのではないかと考えられる。大規模な更新直後に発生しがちなトラブルや互換性の問題を敬遠し、あえて旧バージョンのまま使い続けるケースはよくあるが、今回の25H2は、実質的に24H2とほぼ同等なので、あえて更新を避ける理由が少ない。

 もしかすると、次の大規模な更新、つまり、将来的なWindows 12(?)の登場に備えて、市場のWindows 11のベースバージョンをそろえておきたいのではないかとも思えるが、それは考えすぎかもしれない。

25H2の新機能を紹介

 それでは、25H2の新機能を見ていこう。

 前述した通り、今回の25H2の新機能は地味だ。事前に噂されていたカテゴリ表示可能な新デザインのスタートメニューも、どうやら現時点では新機能には含まれていないようだ。

 現状、公式に公開されている新機能は以下のリンクで確認できる。本稿では、25H2のクリーンインストール環境を使って、これらの機能のうち、現時点でどれが実装されているのかを検証した(主にコンシューマ向け機能を検証)。

  結論を言えば、目立つ新機能はほぼない。

 ほとんどの機能が「段階的なロールアウト」に設定されているため、インストール直後の状態では、タイムサーバーが設定から変更可能になった部分や、Copilot+ PCのAIアクションなど、わずかな機能しか有効化されなかった。どのタイミングで新機能が有効化されるかは分からないが、全貌を把握するにはもう少し時間がかかりそうだ。

デスクトップ表示の変更(確認できず)

 「明るさ」「ボリューム」「機内モード」「仮想デスクトップ」などのハードウェアインジケータを表示できる場所をカスタマイズ可能になった。

エクスプローラー(有効化されているか不明)

 クラウド上のファイルに対してコンテキストメニューを表示するためのパフォーマンスを向上。

Windows共有(確認できず)

 共有先のアプリのうち、よく使うものをピン留めできるようになった。

設定画面(確認できず)

 [システム]の[詳細設定]を新設。従来の[開発者向け]からの変更。エクスプローラーでGitのブランチなどの情報を表示できるようになった。

入力(確認できず)

 キーボードショートカットの変更。「–(ダッシュ)」をWindows+マイナス、「—(Emダッシュ)」をWindows+Shift+マイナスのショートカットで入力可能。

アクセシビリティ(確認できず)

 ナレーターに点字ビューア―を実装。画面上のテキストと点字ディスプレイに対応。事前に点字サポートパッケージをインストールし、ナレーター起動後に、ナレーターキー(無変換かInsert)を押しながらBで表示可能。また、Wordでの脚注やコメント、テーブルなどに対応。

パスキー(確認できず)

 パスキーで、1Passwordなどのサードパーティ製の資格情報マネージャーを使用可能になった。

設定

コントロールパネルの設定が移行された

 従来、コントロールパネルでの設定が必要だった時間、言語、キーボード設定などの項目を設定に移動。たとえばタイムサーバーの変更が可能になった。

 このほか、プライバシー画面からBing検索履歴を直接管理可能になった。また、インストールされているアプリの一覧を読み込む速度が高速化された。

ゲーム関連(機材なしで検証できず)

 Xboxコントローラの操作性を改善。Xboxボタンを短く押すとゲームバー、長押しするとタスクビューを開く。さらに長押しで、コントローラの電源オフ。

テーマ(確認できず)

 ファイルコピーのダイアログボックスなどをテーマカラーに合わせて表示。現状は、ダークテーマ選択時でもファイルコピーのダイアログが白く、統一感がない。

Copilot+ PC向けの新機能を紹介

 続いて、Copilot+ PCの機能を見ていこう。こちらは、機材の関係でWindows InsiderのRelease Previewチャネルでの画面となる点をお断りしておく。

Click to Doのアクション(確認できず)

 Click to Doで、画面上で認識した情報を右クリックした際に、広く使われているAIアクションが表示される。また、要約を実行できるようになる。

設定での提案(確認できず)

 設定アプリで自然言語による質問をした際、対応する設定項目へのリンクが提案に表示される。

エクスプローラー

AIアクションを実行可能

 AIアクションを使ってエクスプローラーからファイルを指定して、直接画像の編集などのAI操作が可能になった。

 現状は、jpg、pngに対して、「Bingで画像検索」「フォトで背景をぼかす」「フォトでオブジェクトを消去」「ペイントで背景を削除」を選択可能。法人用アカウントでは、Microsoft 365のCopilotを利用してOneDriveやSharePointのドキュメントの要約も可能になる。


 と、まあ、更新履歴に記載されている新機能も少ないが、現時点で実装される機能はさらに少ない。無効化された機能を有効化する非公式ツールの「ViveTool」を使えば、上記の新機能のいくつかを強制的に有効化することは可能だが、基本的にはロールアウトを待つしかないだろう。

 ちなみに、以下の公式ブログ記事で、「This means that it contains all the recently announced features in Windows 11, version 24H2.(24H2で最近発表されたすべての機能が含まれている)」末尾の注に「Feature parity begins with the November 2025 security update.(機能パリティは、2025 年 11 月のセキュリティ更新プログラムから始まります。)」と記載されている。

 これは、24H2と25H2で機能パリティが確保される、つまり両バージョンで同じ機能が使えるようになるのが2025年11月のアップデートと読めるが、具体的にどういうことなのかは不明だ。

Windows 11 2025 Updateの登場について記載された公式ブログ。赤線部分の注釈として末尾に「Feature parity begins with the November 2025 security update.」とある

変更点を見つけるほうが大変

  以上、リリースされた25H2を検証してみたが、もともと新機能が少ないうえ、さらに段階的にロールアウトされるため、まだその実力が見えてこない印象だ。 使ってみた印象としても、ほぼ24H2と変わらず、むしろどこが変わっているのかを探すほうが難しい。

 更新のハードルが下がったうえ、最新バージョンで話題になりがちな不具合や互換性の問題も発生しにくいと考えられるが、その一方で目新しさや新鮮さには欠ける。とりあえず、インストールしておいて、段階的に新機能が提供されるのを待ってみるのがいいだろう。