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Amazonのサクラレビュー対策でアカ凍結された中国の越境EC会社、売上が45分の1に
2021年7月12日 17:25
5月に入ってから、AmazonにおいてAUKEYを始めとした多数の中国製品ブランドの公式ストアが突如アカウント封鎖となり、購入できなくなっている。この状況は7月に入ってからも変わらないわけなのだが、どうも今回Amazonの対策はかなり本気のようだ。
深センの天澤信息産業が7月6日に掲載した公告によれば、越境ECを主力ビジネスにしている同社傘下の有裸樹科技有限公司は、Amazonを始めとする大手プラットフォームの運営規則の厳格化により大きな影響を受け、有裸樹が保有するブランドのうち約30%に当たる約340個が凍結され、凍結された資金は約1.3億人民元(約22億円)に上るとした。
その一方でAmazonにおける越境ECは活発化しており、同社に関するネガティブなニュースなどと重なり、辞職を申し出る社員が多く、2021年1月1日に2,800人いた社員は現在1,400人程度と半減。管理層に至っては280人も辞職する事態となっている。
有裸樹はブランドや規模の縮小を試みたものの、想定以上のダメージを受けており、毎月の営業収入は、2021年1月の4,500万人民元(約7億7千万円)から、5月には100万人民元(約1,700万円)へと大幅に縮小した。同社は専門のチームを組んで、Amazonとアカウント凍結解除および資金回収の交渉を試みているものの、製品はAmazonの倉庫で差し押さえられたままであり、現段階では望み薄だという。
Amazonのレビュー規約について
ちなみにAmazonでのレビューについて、メーカーは新製品投入前にAmazonを通じてレビュワーに連絡し、サンプルを無償で送付、発売に合わせてレビューを投稿させてもらうことは可能である(早期レビュー取得プログラム)。しかしこの場合、レビューにおける「星の数」について、メーカーはコントロールできない。
そこで、中国の多くのメーカーはレビュワーに直接連絡をし、サンプル提供と引き換えに、星の数が多い高評価のレビューの投稿をお願いする手段に出た。これに加え、一部ブランドでは製品に「星の数を5つにしてもらえれば割引クーポンを提供する」といった旨を記載したカードを添付して好評を得ようとするものも登場。また、初期不良や不具合などで低評価をつけたユーザーに直接連絡をし、何らかのクーポンまたは製品と引き換えに高評価に変えてもらうといった要請をしたりしている。
これらの行為はAmazonのコミュニティガイドラインの中で明確に禁止行為として示されており、5月に入ってからの一連のブランド凍結は、このガイドライン遵守のための強化だ。
中国の経済誌「時代週報」の記事が報じたところによれば、打撃を受けたのは有裸樹だけでなく、AUKEYやMPOW(注:日本は対象外)など多数に渡る。インテリアメーカーの中にはリストラを行なわず、直接破産したところもあるという。
いずれにしても、今回Amazonのサクラレビューの対策はかなりの本腰だ。アカウントや資金凍結を食らったブランドは、Amazonの利用規約を自ら破ったため、残念ながら自業自得だとしか言いようがない。新たなブランドを立て、初心に帰って一からやり直す際には、今回の教訓を活かしてほしいものである。