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HORI、自社開発のデバイスでPCゲーミング市場に参入

~第1陣はマウス/キーボード/ゲームパッド/マウスパッド

左から、ゲームパッドの「EDGE 301」、キーボードの「EDGE 201」、マウスの「EDGE 101」。ブランド名のEDGEは“日本刀”から採っている

 株式会社ホリは2日、PCゲーム用デバイスのゲーミングブランド「EDGE」(エッジ)を発表し、マウスやキーボードなどのデバイスを投入。11月6日の発売を予定している。

 事前に開かれた説明会では、ブランド立ち上げの理由が語られ、実は何年も前から練られていた企画であることが明かされた。実際に、後述するキーボードのメカニカルスイッチに至っては、3年の歳月を開発に投じており、その本気度が窺える。

 家庭用ゲーム機の周辺機器を手がけてから、約30年もの歴史を築き、日本におけるゲームデバイスメーカーとしての自負を持つ同社が、PCゲーミングデバイスを意識してこなかったはずはないだろう。ホリはユーザーによるPCゲーム用デバイスの開発要望が以前からあったこと、そして近年盛り上がりを見せるPCゲームの市況を見極めた上で、参入を決意したという。

 現状PCゲーミングデバイスは海外メーカーの製品が中心であり、そこに日本から“切り込んで”闘わなければならない。ホリは「日本が古来から独特の製造法を持って世に投じた日本刀」のように、日本国内で開発およびデザインを展開するため、ゲーミングブランド「EDGE」を命名した。

 「EDGE」ブランドのデバイスは日本だけでなく、海外展開も視野に入れているとのことで、国内で発売後、順次海外販売も行なっていくという。また、今回は5製品の投入となったが、既に次のモデルにも着手しており、こちらは来年(2016年)の初め頃には形になるように開発を進めているとのことで、今後も目が離せない。それでは今回発表された製品を見ていこう。

EDGE 101 OPTICAL GAMING MOUSE

EDGE 101 OPTICAL GAMING MOUSE

 「EDGE 101 OPTICAL GAMING MOUSE」は、左右対称型の形状を採用した光学式センサー搭載のUSBマウス。税別店頭予想価格は7,980円の見込み。

 合計11ボタンを備えており、左右および中央の3つのボタンには自社製のマイクロスイッチ「EDGE-M01」を使用している。ゲーミングマウスではよくオムロンといったサードパーティ製のスイッチを採用するのが普通だが、ホリは元々はゲームのために開発されたわけではないスイッチを使うことに疑問を持ったとのことで、このマウスのために自社でスイッチを開発。FPSやRTSをプレイするユーザーからのヒアリングを行ない、“高速入力性”にこだわったスイッチに仕上げたという。

 実際にプロトタイプを触った感じでは、とホイール部分の中央ボタンの押し込みが他社の製品と比べてかなり浅く作られており、確かに入力速度重視であることがうかがえた。左右ボタンに関しては、他社製品と比べつつ押し込んでみないことには分からないというのが正直なところ。ここは実際にレビューして確認したい。

独自に開発したという左右クリックボタンのスイッチ
ホイールボタンにも独自スイッチが採用されている。入力のアソビはあまりなく、すぐに接点に到達する印象だった

 ソール部分にもこだわりがあり、一般にはテフロン樹脂が使用されるところに、ステンレス製のメタルソールを採用する。ゲームにもよるが、大抵プレイ中はマウスを激しく動かす必要があり、テフロン樹脂のソールは使用していくとともにソールが摩耗して本来の性能(滑り)が発揮できなくなっていくという耐久面での弱点を抱えている。ホリはその解答として、耐久性の高い金属(ステンレス)を採用した。現状日本にしかないという「フッ素潤滑めっき処理」技術が施されている。

 しかし、金属を使えば当然マウスの重量は増える。ホリによれば、日本では軽量マウスが好まれる傾向があるとのことから、この点についても検討を行なった。本製品の標準重量はケーブル抜きで130gと、重量級というほどではなく、ロジクールで言えばG402/502といった上位クラスのマウスと同程度に抑えられている。しかし、これは“25gの重り”を付けた状態での重さだ。重りを外せば105gの軽量マウスとして使用でき、重め/軽めのどちらの好みにも応えられるようになっている。

上端と下端に金属製のソールが使われている。真ん中部分は25gの重り
重りを取り外したところ(真ん中)。これで重量は105gになり、かなり軽量化される

 合計11個のボタンはそれぞれ、左/右クリック、中央ボタン(ホイールボタン)、左側面ボタン×2、右側面ボタン×2、DPI変更ボタン、プロファイルボタンとなっており、DPI変更ボタンとプロファイルボタンはホイール下部に配置されている。設定用のユーティリティが用意されており、各種ボタンに任意のキー割り当てることができる。なお、ホイールにチルト機能はない。

 DPIの設定範囲は50~6,400で、設定用ユーティリティから50DPI刻みで変更できる。リフトオフディスタンスも5段階で調整できるようになっており、ゲーミングマウスでは常識の各種設定を行なえるようだ。なお、ユーティリティはまだ開発途中であったため、実際にどのような項目が用意されるかは分からなかった。ただ、担当者の話ではソフトウェアも自社で作っているとのことで、ユーザーの反応を参考にしつつ、柔軟に対応していきたいと述べていた。この点は国内メーカーならではの強みになりそうだ。

ホイールの直下が、DPI変更ボタンで、さらにその下がプロファイルボタンボタン
左右の側面に2ボタンずつ配置。LEDが組み込まれており、色を変えつつ点灯するギミックを採用している

 マウスの主な仕様は、光学センサーがPixArts製のSDNS-3988、解像度は50~6,400DPI(50DPI刻み)、トラッキング速度200IPS、最大加速度50G、ポーリングレートは125/250/500/1,000Hz、対応OSはWindows Vista/7/8/8.1で、Windows 10は現在動作確認中。

 本体サイズは65×125×40mm(幅×奥行き×高さ)、重量はケーブル抜きで130g、重り取り外し時は105g。USBケーブルの長さは1.8mとなる。

EDGE 201 MECHANICAL GAMING KEYBORD

EDGE 201 MECHANICAL GAMING KEYBORD

 「EDGE 201 MECHANICAL GAMING KEYBORD」は日本語配列109キーのUSBフルキーボード。税別店頭予想価格は21,800円の見込み。

 EDGE 101(マウス)と同じく自社開発にこだわり、サードパーティ製スイッチは使わずに、独自のメカニカルキースイッチ「EDGE-K01」を実装している。こちらも高速入力性を重視しており、キーを押し込んでから入力が認識されるまでのアクチュエーションポイントは1.5mmで設計されている。ゲーミングキーボードでは1.5mm設計は珍しくないが、遜色なく使える性能を備えていると言える。スイッチの開発には3年を要したという。

正面
自社開発したというメカニカルキースイッチ
キーの厚みはかなり薄めで、アクチュエーションポイントは1.5mmの高速入力性重視

 本体はアルミ合金を使って設計されており、外枠部分はキーが完全に露出するフレームレスデザインを採用。本体左右にはダイヤモンドカットが施されており、キートップもブルーLEDで光るなど、高級感を演出している。これらの要素は2万円を超える価格に少なからず影響していると思われるが、第1弾となるキーボードはブランド認知のためにインパクトのあるハイエンドモデルを投入したかったという考えがあるようだ。

パームレストは取り外し可能
キーボードとパームレストの裏面
キートップは簡単に取り外せて清掃も楽。スイッチの頂点にはブルーLEDが実装されている

 ゲーム中でのCAPSLOCKキー、全角/半角キー、Windowsキーの誤入力を防ぐために「ゲーミングモード」を備えているのも特徴で、右Altキーの隣にある「FN」キーを押しながら「F10」キーも押せば、前述のキーを無効化することができる。また、こちらも専用のユーティリティが用意されており、特定のキーをだけ無効化したり、CAPSLOCKとCTRLキーを入れ替えたりといった細かい設定にも対応。もちろんマクロの設定もでき、プロファイル管理機能も備えている。

F10キーの場所に、CAPSLOCKキー、全角/半角キー、Windowsキーを無効化する「ゲーミングモード」発動ボタンが用意されている
ゲーミングモードに移行するにはAltキーの右隣にある「FN」キーを押しつつF10キーを押す

 主な仕様は、キーピッチ19mm、キーストローク3±0.2mm、押下圧55±20g、キー耐久性は7,500万回以上、Nキーロールオーバー/全キー同時押しに対応、ポーリングレートは125/250/500/1,000Hz、対応OSはWindows Vista/7/8/8.1(10は動作確認中)。

 本体サイズは440×190×22mm(同)、重量は950g(ケーブル含む)。

EDGE 301 WIRED GAMINGPAD

EDGE 301 WIRED GAMINGPAD

 有線接続のUSBゲームパッド「EDGE 301 WIRED GAMINGPAD」も発売予定で、税別店頭予想価格は3,480円の見込み。

 ゲームパッドのEDGE 301は、長年家庭用ゲーム機で培ってきた技術が活かされ、グリップの持ち心地、ボタンの押し心地、耐久性など、あらゆるノウハウが詰まった製品と言える。ボタンは250万回の耐久性を備えるが、実際のテストでは400万回までの動作を確認しているということで、他社よりも耐久性の面で勝っているとしている。また、L/Rのトリガーボタンのストロークが短く設計されており、ストロークが長く重いため使いにくいという意見が多い他社製品との差別化を図っている。

ユーザーの意見を反映し、トリガーボタンはストロークが短く設計されている
裏面

 ボタン数は13個で、十字キーやアナログスティック、トリガーボタンの実装は一般的なパッドと大差ないが、連射機能を搭載しているのが面白いところ。秒間5/12/20回の3段階で設定でき、ボタンを放しても連射状態を継続するホールド機能も備えている。

 本体サイズは154×105×65mm(同)で、重量は約195g。ケーブル長は1.8m。対応OSはEDGE 101/201と同じだ。

EDGE 401 GAMING MOUSEPAD -SOFT TYPE、EDGE 402 GAMING MOUSEPAD -HARD TYPE

下側がソフトタイプの「EDGE 401」で、上側がハードタイプの「EDGE 402」。後者は若干小さめに作られている

 ゲーミングマウスのEDGE 101の金属ソールの性能を最大限活かせるように、20種類以上の材質の中から相性がよいものを探し当てたというマウスパッドで、裏面には激しい操作でも安定感を維持するため、発泡ラバーが使われている。

 ソフトタイプ「EDGE 401 GAMING MOUSEPAD -SOFT TYPE」と、ハードタイプの「EDGE 402 GAMING MOUSEPAD -HARD TYPE」がラインナップされ、税別店頭予想価格は順に1,780円、2,180円の見込み。

 ソフトタイプのEDGE 401はポリエステル素材を採用し、滑りやすさと止まりやすさを重視しつつ、端面部分には耐久性向上のために、ステッチ処理が施されている。本体サイズは340×280×3mm(同)で、重量は約180g。

 一方、ハードタイプのEDGE 402は滑りやすさにこだわり、摩擦係数が最も低くなるように設計。滑走面はPVCで中間層はABS素材が使われている。EDGE 401と比較して、こちらは若干サイズが縮小化されており、本体サイズは260×220×3.5mm(同)となり、重量は約270g。

両製品とも厚みは3mm台だが、ハードタイプのEDGE 402の方が0.5mm厚い
EDGE 401には耐久性を向上させるためにステッチ処理を施している

(中村 真司)