SugarSync、クラウド型データ同期サービスを日本展開開始
~洗練されたUIと柔軟なカスタマイズ

SugarSyncのローラ・イーシーズ氏

5月20日 サービス開始



 米SugarSyncは20日、同名のクラウド型のデータ同期/バックアップ/共有サービスを日本国内でも提供開始した。これに合わせ、同社最高経営責任者のローラ・イーシーズ氏が来日し、サービス内容について説明を行なった。

 SugarSyncの基本的な機能は、クラウドサーバーを通じてデータのバックアップ、同期、共有を行なうというもの。すでに米国を始め、いくつかの国ではサービスが開始されており、個人/企業を含め、2PB以上のユーザーデータを保管。さらに、毎日5TBずつ増えているという。

 バックアップは、ExplorerのようなUIを持った独自のアプリケーション「SugarSyncファイルマネージャ」を使い、バックアップしたいフォルダやファイルにチェックを入れるだけ。初回バックアップ時や、大量のファイルをバックアップするときは、ファイルに優先順位をつけてアップロードすることもできる。また、バックアップされたフォルダやファイルのアイコンには専用のマークがつくので、Explorerからも対象であることが認識できる。もちろん、通信や保存は暗号化された上でなされる。

SugarSyncファイルマネージャのMac版任意のフォルダ/ファイルを指定できる

 SugarSyncの肝となるのは、データの同期機能。同期を行なうPCを登録すると、即座に同期が始まり複数のPCに同じデータが保存される。ファイルへの変更や、フォルダへの追加、削除などもリアルタイムで反映される。バックアップの時と同じように、任意のPCに対して特定のフォルダ/ファイルだけを指定して同期させることもできる。そのため、メインPCには全てのデータを持たせ、ネットブックなどHDD容量の少ないマシンには重要なファイルだけを同期させられる。アップロードされたファイルについては、各種ブラウザからもアクセスできる。

 SugarSyncのアプリケーションはWindows用とMac OS用があるが、PC以外にもAndroid、BlackBerry、iPhone/iPad/iPod touch、Windows Mobile向けも用意されており、これらのデバイスでもPCと同じようにデータの同期ができるほか、ファイルをメールに添付して送信することでアップロードさせる機能もある。スマートフォン用アプリケーションはいずれも英語版だが、iPhone/iPad向けは近日中、AndroidおよびBlackBerry向けは2010年中に日本語化の予定。

同期するPCを登録すると、各PCに対し、どのフォルダを同期させるかを全て指定できるiPadや各種スマートフォンにも対応
同期の実行はリアルタイムなので、ファイルを編集して、保存すると他のデバイスで見ても、その変更が反映されている

 また、各データは同期まではさせず、共有だけさせることもできる。任意のファイル/フォルダを共有すると、それらに対する一時的なリンクURLが作成されるので、そのURLをメールやメッセンジャーなどで転送すると、他のユーザーがダウンロードできる(共有を受けるユーザーはSugarSyncのインストールやアカウントは不要)。このURLは21日間のみ有効だが、「パブリックリンク」を作成することで、永久的に共有させることも可能。

 他人や公共のPCを使う際に便利な「WebSync」機能もある。実行すると、SugarSyncがインストールされていなくとも、Wordなどそのファイルのアプリケーションとともに、Javaアプリケーションが起動し、バックグラウンドで同期などを請け負う。ファイルの編集が終了すると、ローカルにダウンロードされた一時ファイルなどは全て削除されるので、ファイルを安全に扱うことができる。

 また、MP3ファイル(Android機では一部動画ファイルも)については、Webプレーヤーを使って、ストリーミング再生する機能もある。

SugarSyncのユーザー以外とも、ファイル/フォルダを共有できる
また、WebSyncを使って、そのファイルに変更を加え、同期させることも可能音楽ファイルのストリーミング再生機能も搭載

 企業向けのサービスもあり、この場合、企業の管理者が一括して複数のユーザーに対する共有設定などを行なうことができる。また、6週間前より開発者プラットフォームも提供しており、SugarSyncのAPIを他社のサービスと組み合わせて利用できるようになる見込み。

 クラウド型のバックアップについては、ローカル保存よりも時間がかかるため、躊躇するユーザーもいるが、イーシーズ氏は、「SugarSyncを使うことで、文字通り、いつでも、どこでも、どのようなデバイスでもデータにアクセスできるようになる」とそのメリットを語る。また、ノートPCが紛失したり壊れたりしても、データが失われたり、流出したりすることがないというメリットもある。

 利用料金は2GBまでのプランは無料という、いわゆる「フリーミアム」システムを採っている。この場合、同期できるPCは2台までだが、スマートフォンからは制限無くアクセスできる。有料プランは個人向けで最低容量の30GBが月4.99ドルか年49.99ドル、最大容量の500GBは月39.99ドル/年399.99ドル。PCの台数制限はない。企業向けは、100GB/3ユーザーで月29.99ドル/年299.99ドルより。

ブルームコンセプトの小山龍介氏

 発表会では、株式会社ブルームコンセプト代表取締役共同経営責任者の小山龍介氏がゲストに招かれ、SugarSyncの「ノマドワークスタイル」的活用事例などについて語った。小山氏は、ライフハック系書籍の著者で、SugarSyncのリアルユーザーでもある。

 ネットワークインフラが整備され、かつSugarSyncのようなクラウドサービスが登場したことで、ユーザーは時と場所を選ばず、それこそ喫茶店のような場所でも仕事ができるようになった。ノマドというのは遊牧民のことで、そういった自宅や会社以外の場所でも積極的に仕事をすることをノマドワークスタイルと氏は呼んでいる。

 実はこういった「第3の場所」での仕事は、人間の創造性をかき立てる効果もあるという。また、オープンな場所で仕事をする内に、社外の人脈とつながる可能性もあると指摘する。

 また、iPadが登場したことで、これまでiPhoneでは個人でしか同時に見られなかったものが、大きな画面で複数の人が同時に見られるようになり、そこでの対話が新しいアイディアを生むという効果もあると述べた。

(2010年 5月 20日)

[Reported by 若杉 紀彦]