Intel、9月22日~24日に開催予定のIDFの内容を予告
~32nm製品やJasper Forestなどの詳細が明らかに

9月14日 公開



 米Intelは報道関係者向けに会見を行ない、同社が9月22日~24日(現地時間)の3日間にわたり、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催する予定のIntel Developer Forum 2009で公開する予定の情報についての説明を行なった。

 Intel副社長兼デジタルエンタープライズ事業本部事業部長のスティーブ・スミス氏は「IDFでは32nmプロセスルールで製造される製品などについて詳細を語る」と述べ、例年通りIntelの今後の製品計画や現在開発中の新しい技術などについて語られることになりそうだ。

●12年目を迎えるIDF、イベントの内容は例年並みの規模に

 スミス氏によれば、今回で12年目を迎えるIntel Developer Forum(以下、IDF)は、やはり昨年来の世界経済の後退傾向による影響は不可避だそうで、若干の規模の縮小はあるようだ。

 世界経済のクラッシュには、こうしたテクノロジ系のイベントはすべて影響を受けており、もちろんIDFもその例外ではない。実際、今年の4月に北京でグローバルなイベントとして計画されていたIDF北京は、中国ローカルなイベントに格下げされてしまった。今回のIDF 2009でも、いつも報道関係者向けに開催されてきた前日のイベントがなくなるなどの影響を受けている。

 それでも「5,000人を超えるエンジニアや熱心なマニアなどが参加するイベントになる」という。また、イベントそのものの内容は、同社経営陣による7つの基調講演、フェローによる技術説明会、125を超えるセミナーなど、ほぼ従来規模の内容が維持されるとスミス氏は説明する。今回のIDFでは以下のような基調講演が行なわれる予定だ。

【表1】IDF 2009で予定されている基調講演
日付スピーカー肩書き内容
2009/09/22ポール・オッテリーニ氏CEOインテルのビジョン
パット・ゲルジンガー氏上級副社長デジタルエンタープライズ
ボブ・ベーカー氏上級副社長製造技術
2009/09/23ダディ・パルムッター氏上級副社長モビリティ製品
レネ・ジェームス氏副社長ソフトウェア・サービス
2009/09/24エリック・キム氏上級副社長デジタルホーム
ジャスティン・ラトナー氏CTO将来のテクノロジ

 例年の基調講演では、3日目に将来のテクノロジを説明するものだけが行なわれているのだが、今年はデジタルホーム関連の基調講演が3日目に行なわれることが従来との違いとなる。

●32nmプロセス製品などのお披露目の場に

 スミス氏はIDFで公開する内容のハイライトとして「我々はIDFで32nmプロセスルールに基づく製品について多くを語る。現在順調に開発が続けられており、大量生産に向けて最終調整の段階だ。第4四半期には大量生産を開始する」と、IDFの場において新しい生産技術である32nmプロセスルールにフォーカスした内容を語るだろうと述べた。

 スミス氏によると、「我々の32nmプロセスルールはHigh-K+メタルゲートをトランジスタの素材に利用したプロセスルールとしては第2世代となる。これによりピーク時の消費電力や漏れ電力を低く抑え、32/28nm世代の中ではもっとも小さなトランジスタを実現している」という。さらに「この32nmプロセスルールの世代は、高性能なCPUだけでなく、Intelとしては初めてSoC向けの製品にも利用していく」と、32nmプロセスルールで製造されるSoC(System On a Chip、すべての機能1ダイに統合した半導体のこと)などについて詳細を説明すると明らかにした。

 32nm世代の製品ではないが、ノートPC向けのNehalem製品となる「Clarksfield」、ネットブック向けの新チップ、MID向けの新チップとなる「Moorestown」やその後継となる「Medfield」、さらには並列コンピューティングを実現する「Larrabee」などについての説明などについても行なうという。

スミス氏が示したIDF 2009のハイライトを示すスライド32nmプロセスルールに関して詳しいことが語られる予定

●組み込み向けXeonであるJasper Forestでは27Wの消費電力削減を実現
Jasper Forestでは、マザーボードの小型化や消費電力の削減などが実現できる

 スミス氏は、32nmプロセスルールと並び、IDFでフォーカスするもう1つの製品である「Jasper Forest」(ジャスパーフォレスト、開発コードネーム)についても説明を行なった。Jasper Forestは、ネットワーク機器やストレージなどの組み込み向けに提供しているXeonプロセッサの後継製品で、2010年の早い時期に出荷予定となっている。

 現在Intelは、「Nehalem-EP」の開発コードネームで知られるXeonを、組み込み市場に出荷しているが、チップセットはTylersburgの開発コードネームで知られるIntel 5520+ICH10Rと、本格的なサーバーにも使えるものになっているなど、ややオーバースペックになっている。そこで、Jasper Forestでは、より統合を進め、マザーボードなども小型化できるため、消費電力が現行製品(Xeon L5228 2.13GHz+Intel 5520)に比べて、27W削減できるなどのメリットがあるという。

 スミス氏はこれ以上の詳細は明らかにしなかったものの、OEMメーカー筋の情報ではJasper Forestにはクアッドコア、デュアルコア、シングルコアの製品であり、DDR3のメモリコントローラが統合され、デスクトップ製品にはないQPI(Quick Path Interconnect)が実装されるなどの特徴があるという。単なる「Bloomfield」における「Lynnfield」や「Clarkdale」のような位置づけではなく、ややポジショニングの違う製品と言うことになりそうだ。

 これらの詳細などは、IDFの基調講演やセッションなどで明らかになると思われ、本誌ではIDFについて例年通り詳細なレポートをお伝えする予定だ。

(2009年 9月 14日)

[Reported by 笠原 一輝]