インテル株式会社は23日、都内でプレス向けに説明会を開催し、2009年後半にモバイル市場が新たなステージに入るとするビジョンを説明した。
同社 代表取締役社長の吉田和正氏は、現状について次のように説明した。
「ノートPCはデスクトップの置き換えなどで、市場の8割を占めるようになったが、そのサイズや重量によりモバイルコンピューティングを実現するものではなかった。一方で、ネットブックは手軽で大きなインパクトがあった。またWiMAXや3Gなどによる接続環境の普及や、マルチメディアコンテンツの増大などにより、CULVベースのプラットフォームに現実味が出てきた」。
そうした超低電圧版プロセッサを採用した「Ultra thin and light」、いわゆる超薄型ノートPCが、今後、モバイル市場を新たなステージへ導くという。
7~13型ノートへのニーズが高まっている | 超薄型ノートPC |
これを受けて、同社 マーケティング本部 本部長 江田麻季子氏は、ネットブックがベーシックな用途で使われるとともに、小型であったことから持ち運び用途でも使えたことを指摘。一方で、通常のノートPCが1台でさまざまな事を行なえるフルスペックのPCであったという。その間に、パフォーマンスとモビリティを両立できるセグメントがあると説明した。
そのセグメントについてより具体的に、10.3~13.3型の液晶を採用して持ち運びが可能、マルチタスク可能なパフォーマンスやHDコンテンツの再生、薄く軽くスタイリッシュなデザイン、優れたバッテリ駆動時間やファンレスデザインなどのポイントを挙げた。
これまでも同様に、パフォーマンスとモビリティの両立を謳う製品があったものの、それらとの違いは、一般的にPCを持ち運ぶ慣習が普及してきたこと、高いパフォーマンスを普及価格帯で投入できること、の2点だという。また、これらの背景としてWiMAXへの取り組みがあったことも指摘した。
インテル 江田麻季子氏 | 超薄型ノートPCの位置づけ | WiMAXへの取り組み |
CULV CPUの技術的な側面については、同社インテル技術本部 技術部長 土岐英秋氏が説明した。第1に、そのプラットフォームは、市場の要求に応えるために小型化されているという。
メインストリーム向けBGAパッケージだったPenryn SV+Cantiga GM+ICH9-Mの面積はトータルで3,342平方mmだったが、小型フォームファクタ向けBGAパッケージのPenryn ULV+Cantiga GS+ICH9M SFFは1,415平方mmへと縮小。パッケージの面積だけでなく、薄型のパッケージを採用したことでより薄型のマシンを実現可能になっている。
また、同氏は今後展開される製品が計画通りに開発されていることを紹介。2009年後半に投入されるLynnfieldとIntel P55 Expressの組み合わせは、Core 2 Quad Q9650と比較して、iTunesで14%、CINEBENCHで20%、SPECint rate_base2006で40%の性能向上があることを紹介。2010年には、32nmプロセスで製造されたWestmereに45nmプロセスのグラフィックスとメモリコントローラを統合したClarkdaleを投入。第4四半期から量産を開始する。
インテル 土岐英秋氏 | 小型化した超低電圧版プラットフォーム |
Clarkdaleは2010年登場 | 2チップ構成のNehalemアーキテクチャ |
●そのほか
ノートPCをHubとして無線パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)を構成する「My WiFiテクノロジー」がデモされた。ノートPCに搭載した1つの無線モジュールでインターネットに接続しながら、携帯電話やデジカメ、プリンタ、など最大8台までの機器と無線接続できるというもの。
具体的には、携帯電話で撮影した写真をPCに送信し、それをプリントアウトするという作業や、ロボットを無線で操作して撮影した写真をPCからブログにポストする様子がデモされた。
ほか、同社は、2009年7月11~12日に、毎年恒例のユーザー向けイベント「Intel in Akiba 2009 Summer」をベルサール秋葉原で開催する。
My WiFiテクノロジー | 携帯電話で撮影した写真をPCからプリントアウト |
ロボットを操作して撮影した写真をブログにポストするデモ |
(2009年 6月 23日)
[Reported by ]