ニュース
PC特需の「本番」到来。Windows 10終了とGIGAで出荷台数が倍増
2025年7月23日 11:05
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した2025年6月の国内PC出荷実績によると、出荷台数は前年同月比137.3%増の142万2,000台と、約2.4倍という驚くべき成長を遂げた。また、出荷金額も63.4%増の2,629億円と、前年同月の約1.6倍となった。
2025年10月14日のWindows 10のサポート終了(EoS)にともなう買い替え特需が法人向けPC、個人向けPCのいずれにおいても見られたのに加えて、教育現場向けのGIGAスクール構想第2期によるPC導入が本格化し始めたことが背景にある。
いよいよ国内PC市場の特需が「本番」を迎えたといえる。
6月の国内PC出荷は前年同月比約2.4倍。EoSやGIGAによる特需到来
同調査は、AppleやNECパーソナルコンピュータ(NEC PC)、レノボ・ジャパン、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)、Dynabookなど、国内で事業を展開するPCメーカー8社が参加している自主統計で、市場全体のカバー率は約6割と見られる。日本HPやデル・テクノロジーズ、ASUSは統計には参加していない。
2024年7月以降の出荷台数は、12カ月連続で前年実績を上回っており、最も高い伸び率は2024年10月の50%増となっていた。だが、2025年度に入ってからは、2025年4月が前年同月比25.5%増、2025年5月が13.6%増となっており、旺盛な特需が期待される中で、伸長率には力強さがなかった。
それが一転して、2025年6月には、前年同月比で約2.4倍という結果になったのだ。
JEITAによると、「2025年6月は、EoSによる需要が、法人向けPCに留まらず、個人向けPCでも好調だった。また、GIGAスクール向けPCの増加がみられた」とする。
同調査では、GIGAスクール向けのPCの出荷台数は公表していないが、発表された統計数値を詳細に見ていくと、GIGAスクール向けPCの出荷が大きく影響していることが推測できる。
GIGAスクール向けPCの仕様は、10~14型タッチパネルを採用しているため、JEITAの統計ではモバイルノートのカテゴリに含まれる。また、1台あたりの補助額が5万5,000円となっており、GIGAスクール向けPCの出荷増加は、市場全体の平均単価の引き下げに直結する。
その観点から見てみると、2025年6月のモバイルノートの出荷台数は、前年同月比250.4%増の95万7,000台となり、3.5倍もの成長となっている。それに対して、ノート型・その他のカテゴリは前年同月比39.2%増の33万1,000台に留まっている。モバイルノートに極端に集中していることからも、2025年6月の大幅な成長はGIGAスクール向けPCの貢献が大きいことが推測できる。
また、1台あたりの平均単価は、2025年6月実績で9万1,913円となり、2025年5月の12万4,028円から、わずか1カ月で大幅に下落している。ここには、5万5,000円以下のGIGAスクール向けPCが大量に加算された影響があると考えられる。
言い換えれば、GIGAスクール向けPCの大幅な出荷台数の上乗せが、2025年6月の国内PC市場の大幅な伸長を下支えしたと言ってもいいだろう。
2026年度までに合計で1,000万台規模の調達が見込まれるGIGAスクール需要が、いよいよ本格化したことを示す結果になったと言える。
ちなみに、JEITAの2025年度第1四半期(2025年4月~6月)の実績は、出荷台数が前年同期比63.4%増の262万9,000台、出荷金額が44.8%増の2,805億円。台数、金額ともに7四半期連続で前年実績を上回った。
出荷台数の内訳は、ノートPCが66.2%増の231万8,000台。そのうちモバイルノートが122.1%増の152万8,000台、ノート型・その他が11.8%増の79万台。デスクトップPCは45.4%増の31万2,000台。そのうちオールインワンが29.1%増の4万1,000台、単体が48.2%増の27万1,000台となった。
個人向けPCも7月は前年同月比44.7%増。EoSに向けた買い替え需要が本格化
では、Windows 10のEoSにともなう買い替え特需は、どれぐらいの勢いがあるのだろうか。これは別の数字から推測してみたい。
全国の家電量販店や、AmazonなどのECサイトからPOSデータを収集しているBCNの調査では、GIGAスクール需要が含まれないこと、個人向けのPC需要を対象にしていることから、個人ユーザーのWindows 10のEoSの動向を捉えやすい。
これによると、2024年11月以降、ほぼ毎月、前年同月比10%台の成長率で推移しており、EoS需要は着実に顕在化していたと言える。だが、2025年7月に入ると一気に需要が増加しており、7月1日~20日までの速報値では、前年同月比44.7%増と急伸長しているのだ。
7月に入って、EoSまで残り100日を切ったことで、個人ユーザーの買い替え需要が本格的に動き出したと見ていいかもしれない。2025年10月まではこの勢いが続くことになりそうだ。
こうして見ると、PC業界にとっては、待ちに待った「EoS」と「GIGA」による2つの特需が、いよいよ本番を迎えたとも言える。課題は、旺盛な需要に対する安定した供給力を維持できるかどうか。そして、利益を確保しながら事業を拡大できるかといった点になる。さらに、特需が終わったあとの2026年度以降の事業プランについても、今から準備が必要だろう。
「特需本番」が到来したことによって、国内PC市場は沸き始めているが、旺盛な需要への安定的な供給体制の確立や、その先の需要減少を考えると、単純に手放しでは喜べない側面もある。











![[Amazon限定ブランド]CCL い・ろ・は・すラベルレス 2LPET ×8本 ミネラルウォーター 無味 製品画像:1位](https://m.media-amazon.com/images/I/41h0MHfvhkL._SL160_.jpg)








