富士通株式会社は12日、個人向けPCの2011年春モデルを発表。これに合わせて、都内にある本社ビルで発表会を開催した。
今回発表されたのは、デスクトップが3シリーズ8モデル、ノートが6シリーズ13モデル。このうちデスクトップ3モデル、ノート6モデルはインテルの“Sandy Bridge”を採用。また、デスクトップとノートには1モデルずつ、AMDのFusion APUことAMD E-350を採用している。なお、各モデルの詳細については別記事を参照されたい。
佐相秀幸氏 |
冒頭では、同社 執行役員副社長の佐相秀幸氏が挨拶。まず、2010年の実績を振り返り、「スクールデューティやリプレース需要により、PC市場は2ケタの堅調な成長をみせた。その中で、富士通は“メイドインジャパン”にこだわり、ナノイー搭載PCや3D立体視対応PCなどをリリースして実力を底上げし、出荷台数で20%の成長を実現した」とアピールした。
そして2011年に関しては、大きな変化があらわれる年だと強調。特にスマートフォンを初めとするPCと携帯電話の連携が今後重要になってくるとし、「我々はPCと携帯が1つのチームになって基礎研究から開発まで行なっている。そこで生まれる強みを活かし、我々独自のPCと携帯電話のシームレスな連携が実現できるだろう」と述べた。
また、富士通のPCに対するビジョンは「ヒューマンセントリック(人間を中心としたコンピューティング)」であるが、2011年もそのビジョンに則り、新たな価値を人々のライフスタイルに提供していくとする。さらに、メイドインジャパンにこだわり、富士通ならではの機能を提供していきたいと述べた。
●人が天板に乗っても大丈夫な13.3型を主力製品に
斉藤邦彰氏 |
続いて、同社 執行役員 パーソナルビジネス本部長の斉藤邦彰氏が新製品の特徴を説明した。
FMVシリーズのコンセプトに関しては、佐相副社長も述べたように、「人が24時間生活する上でパートナーとなる存在」であるとし、イノベーションを通じてわくわく感のある製品、人にやさしい・役立つ製品、安心と安全、そしてエコフレンドリーの4つの価値を提案していく。
春モデルの主なポイントは3つ。1つ目はインテルの最新プラットフォームを採用した点。これによりハイビジョンムービーの編集や視聴に好適とした。2つ目は新入学/新生活向けの「SH」シリーズ。13.3型でモバイル可能なサイズと重量を実現しながらも高性能CPUを搭載し、“1台2役”を実現した。3つ目は地デジPCの強化で、アプリケーションの強化によりPCならではの楽しみ方を実現したという。
これに加えて、“メイドインジャパン”である点で、“匠”や“疾風”などをキーワードとして、「先進性」、「ハイクオリティ」、「人にやさしい・エコ」などを実現したという。
ライフパートナーとなるFMV | FMVのコンセプト |
春モデルのポイント | “匠”や“疾風”などをキーワードとしたメイドインジャパン |
インテルの新プラットフォームの採用 |
具体的に見ていくと、1つ目の最新インテルプラットフォームの採用では、クアッドコアCPUのCore i7-2630QMや、デュアルコアCPUのCore i5-2520M/2310Mの搭載により基本性能を高速化。その一方で、内蔵のグラフィックス性能も向上した。また、インテル ワイヤレス・ディスプレイ(WiDi)により、無線で映像を出力することも可能になった。
2つ目のSHシリーズは、15.6型ノートに対する不満をフィードバックして開発されたという。同シリーズは、バッテリの持ち、軽量さ、薄さ、小ささなど15.6型の課題を解消しながら、15.6型ノートと同じCore i5-2520Mや、明るくきれいな液晶を搭載。さらにハイビジョンムービーの再生や編集に耐えうる性能、インテルWiDiの対応などで、15.6型と同等の使い勝手を実現したという。
モバイル面の特徴としては、マグネシウム合金製の天板と薄型軽量なLEDをバックライト液晶の採用により、15.6型ノートよりも約40%軽い、最軽量時に約1.52kgの軽量性を実現。また、天板の全面加圧試験や落下試験なども行ない、モバイル用途に配慮した堅牢性も確保した。さらには、8時間以上の駆動時間や、WiMAXの搭載により、屋内/屋外問わず使えるノートを目指して開発した。
ここで、実際に天板にスタッフが靴を脱いでそのまま乗る、さらには佐相副社長自ら天板に乗るという大胆なデモが行なわれ。SHシリーズの堅牢性をアピールした。
15.6型に対する不満 | 15.6型と同等の性能と機能性を備えながらモバイルを可能にしたSHシリーズ | SHシリーズは光学ドライブを取り外し可能で、代わりにバッテリを搭載できる |
男性スタッフがそのまま天板に乗るデモ | 佐相副社長自らも天板に乗ってみせた | 発表後にはモデルさんにも乗ってもらった |
なお、SHシリーズは光学ドライブを搭載しているが、これを外してウェイトセーバーをつけることで約230g軽量化され約1.52kgとなる。また、このベイには増設バッテリを取り付けることができ、約3.6時間アップの約14.6時間の長時間駆動が実現する。
続いて地デジPCだが、TVにはないPCならではの楽しみ方を訴求していく。例として、TVを見ながらコメントを書きこんで、画面にオーバーレイされ他人と共有できる「ニコニコ実況」、番組に出てきたお店などの情報を検索できる「TVでた蔵」などを挙げた。さらにデジタル3波/ダブル録画/長時間10倍録画対応モデルの拡充、さまざまな地デジ対応PCのバリエーションの用意などにより、ユーザーの利用シーンに合わせて地デジPCを選択できるとした。
TVにはないPCならではの地デジを楽しみ方 | コメントを画面にオーバーレイしてインターネットで共有するニコニコ実況 |
番組に出たお店の情報を調べられる「TVでた蔵」 | 地デジ搭載モデルのバリエーション |
一方、FMVが掲げる、基本的な4つのコンセプトも踏襲。イノベーションでわくわく感のある製品として、新たに裸眼3D立体視対応PCの投入で対応した。ヒューマンセントリックの点では、一定時間の連続使用をPCが感知して、休憩を勧める「休憩おすすめタイマー」を搭載。また、PHシリーズでは約40秒でOSが起動するようになった。最後にエコに関する面では、消費電力を約50%低減する「ECO Sleep」機能を搭載し、シャットダウン時や休止状態時では必要以上の充電を防ぎ、バッテリにかかる負担を軽減したという。
なお、新FMVのメッセージも「デキルが、ココに。」を掲げ、CMには引き続き柴咲コウさんと唐沢寿明氏を起用した。
裸眼3D立体視対応PCの投入 | 一定時間の連続使用で休憩を勧める「休憩おすすめタイマー」 |
(2011年 1月 12日)
[Reported by 劉 尭]