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Razerのゲーミングマスク、「N95グレード」の虚偽表記で1億7,000万円の罰金

 米連邦取引委員会(FTC)は4月29日(現地時間)、RazerがN95グレードと称して販売された“ゲーミングマスク”こと「Zephyr」が、実際にN95グレードの有効性がなく、虚偽表示をしたとし、罰金として約110万ドル(約1億7,000万円)を課したと発表した。

 Zephyrは新型コロナウイルス(COVID-19)が流行した期間中に投入されたマスク。アクティブファンを搭載し息苦しさを解消できるほか、お得意のRGB LEDイルミネーションを搭載している。製品の価格は99.99ドルからだった。なお、開発時は「Project Hazel」というコードネームで、独自のマイク/アンプでこもりがちな声を外部にクリアに伝える機能が実装予定だったが、実際の製品は省かれたようだ。

 RazerはZephyrの効用に関して「N95グレード」として宣伝し、開発、マーケティング、および販売に携わる関連会社に対し表示や主張を行なってきた。ところがZephyrはN95の認定を行なう国立労働安全衛生研究所(NIOSH)へのテストにすら提出しておらず、認定されていなかった。

 NIOSHによるN95の認定がなかったことに加え、FTC法(米国連邦取引委員会法)では、FDAの事前承認なしに、製品がCOVID-19の感染の可能性を予防/軽減できるという主張を禁止している。また、主張を裏付けるのに適切かつ信頼できる科学的証拠がない限り、健康保護具に関す利点、性能、有効性、安全性、または副作用を表示することを禁じている。

 しかしRazerは当初、広告の中でZephyrがN95またはN95相当のマスクであることを、自社のWebサイト、TikTok、Twitter(現X)、Instagram、Facebook、Discord、YouTubeなどのソーシャルメディアで宣伝した。

 こうした虚偽表記の宣伝から、FTCはまずRazerに対して10万ドルの民事罰金を科したほか、マスクからの収益と同額の107万1,254.33ドルを米国に支払うよう命じた。FTCはこの金額を消費者への全額返金に充てるとしている。