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Google、自動でプレゼンスライドを作成する「Duet AI」。月額30ドルでプレビュー

Google Workspace向けのDuet AIが自動生成したスライド。

 Google Cloudは、8月29日から3日間にわたり、米国カリフォルニア州サンフランシスコ市のモスコーン・センターにおいて、年次イベントとなる「Google Cloud Next '23」を開催している。この中でGoogleは、同社が生産性向上ツール「Google Workspace」および「Google Cloud」向けに、生成AIサービス「Duet AI」のプレビュー提供を行なうことと発表した。

 Duet AIは、MicrosoftがMicrosoft 365向けに提供する「Microsoft 365 Copilot」の対抗版となる製品で、Workspace向けのツールになるスプレッドシート(Microsoft 365のExcelに相当)やプレゼンテーション(Microsoft 365のPowerPointに相当)に生成AIの機能を実装して、スライドをAIが自動で作成する機能などが追加される。

 GoogleはDuet AIの利用価格を月額30米ドルであると明らかにしており、7月に開催された「Microsoft Inspire」で発表されたMicrosoft 365 Copilotの30米ドルという価格にぶつけてきた形になる。

NVIDIAのジェンスン・フアンCEOも登壇したGoogle Cloudの基調講演

Alphabet、Google CEO ズンダー・ピチャイ氏

 Google Cloud Next '23は、コロナ前には年次で行なわれていたイベント、今回4年ぶりに対面で開催される。現地時間8月29日午前(日本時間8月30日未明)には基調講演が行なわれ、親会社になるAlphabetおよびGoogleのCEOであるズンダー・ピチャイ氏や、Google Cloud CEOのトーマス・クリアン氏が登壇して、Google Cloudの戦略などに関して説明が行なわれた。

Search Generative Experience

 ピチャイ氏は「トランスフォーマーモデルなどのLLMは非常に強力で、今後さまざまなビジネスなどを変えていく可能性がある。検索もその1つで、我々は生成AIを活用した検索のことを“Search Generative Experience”(検索生成体験)と呼んでいる」と述べ、生成AIがさまざまなビジネスを変えていっており、同社の主力事業である検索に関しても例外ではなく、今後同社の検索エンジンにも生成AIが活用されることで、よりよい検索体験を提供できるようになると説明した。

 引き続いて登壇したGoogle Cloud CEOのクリアン氏は、AIの処理を行なうハードウェア、ソフトウェア、サービスなどに関して説明を行なった。クラウド経由で提供する新しいインスタンスとして、「Cloud TPU v5e」を発表し、さらに既に発表していた「A3 supercomputer」というNVIDIA H100 GPUが利用できるインスタンスの一般提供開始を明らかにした。

Google Cloud CEO クリアン氏とNVIDIA CEO ジェンスン・フアン氏

 そのH100 GPUを提供するNVIDIAのCEOであるジェンスン・フアン氏がゲストとして呼ばれ、パートナーシップに関して説明を行なった。「Google Cloudは、我々が最近発表したDGX-GH200をクラウドで提供する最初のCSPになる」と述べた。

Duet AIは月額30ドルとMicrosoft 365 Copilotを意識した価格に

Google Meetの自動要約機能、会議終了後に自動で送ったりも可能に

 基調講演の中で、Duet AIというサービスのプレビュー提供開始を発表した(現時点では英語版のみ対応)。Duet AIは5月に開催した「Google AI」で構想を明らかにしたAIによる支援機能で、人間に変わって“無駄な作業”などを代行してくれる。

 Googleは、Google Workspaceという生産性向上ツールをSaaSツールとして提供しており、Microsoft 365と市場で激しい競争を繰り広げている。そのGoogle Workspaceの機能拡張としてDuet AIを計画しており、さまざまな自動化機能を実装していく。

Duet AIのチャットボットとやりとりをしながら
チャットボットに対して作成してほしいスライドの情報を文字で指示する
するとユーザーのクラウドストレージのデータから探してきてスライドを作成してくれる
作成してもらったスライドを開いて、修正も可能

 基調講演ではDuet AIのデモが行なわれ、プレゼンテーション(Microsoft 365のPowerPointに相当)において、テキストで指示をすると、ユーザーのクラウドストレージから必要なデータをAIが選択してきて、プレゼンテーションのスライドを自動生成する様子などが公開された。

 また「Google Meet」でも、音声の文字起こしが行なわれ、それがライブキャプションとして表示されることなどが可能になると明らかにされている。今後そうした機能を、どんどん実装していくという。

 Duet AIは、1ユーザーあたりの価格は月額30ドル。この月額30ドルという価格は、7月にMicrosoftが開催した「Microsoft Inspire」で発表されたMicrosoft 365 Copilotの価格と同じ。Microsoft 365 Copilotは、Duet AIと同じような機能が用意されているが、どちらも同じような価格体系になったことで、今後は機能競争などによりユーザーの獲得競争がより激化していくことになりそうだ。