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中国から偽のCisco製品を輸入した米企業CEOが逮捕。政府や軍でも被害

WithSecure(当時はF-Secure)が2020年に公開したCiscoの偽造品の調査報告書より。この写真が追加のチップ

 ニュージャージー州の連邦大陪審は8日(現地時間)、フロリダ・マイアミに住むOnur Aksoy氏(別名Ron Aksoy、Dave Durden)に対し、長年偽のCiscoのネットワーク機器を推定10億ドルを超える金額で販売したとし提訴したことを発表した。

 起訴状によれば、Aksoy氏は中国や香港などから数万台にのぼる偽造のCiscoデバイスを輸入し、新品だと偽って米国および海外顧客に販売した。少なくとも1億ドル以上の収入を生み出し、個人的な利益としても数百万ドルを受けとったとしている。

 中国や香港から輸入されたPro Network Entitiesのデバイスは、古かったり、低スペックの製品であったという。その一部は本来、(中古として)販売または破棄されるのだが、中国の偽造業者は、新しくアップグレードされた上位のバージョンとして本物に見せかけて変更を行なったという。

 具体的には、海賊版のCiscoソフトウェア、認証されていない低品質、なおかつ信頼性の低い部品を追加するとともに、Ciscoのソフトウェアチェックやライセンスコンプライアンス、認証を回避する対策を盛り込んでいるという。その後、高品質なCisco製品に見せかけるために、偽造されたラベル、ステッカー、ボックス、ドキュメント、パッケージなどを用意したとしている。

 Pro Network Entitiesによって販売されたこれらの偽造製品は、性能や機能、安全性などの問題に悩まされ、誤作動によってユーザーのネットワークに損害をおよぼし、場合によっては被害額は数万ドルに及んだという。顧客には病院、学校、政府機関、軍隊も含まれていたとしている。

 Aksoy氏は税関国境警備局(CBP)のチェックを回避するために、別名を使って書類を提出したり、中国の共謀者とともに貨物をより小さな小包に分割して異なる日に出荷したり、異なる2つの住所に送ったりといった手段を用いていた。CiscoはAksoy氏に対し、2014年から2019年まで偽造機器の売買をやめるよう7通の手紙を送ったが、弁護士に偽造文書を作らせ、このうちの2回に返答していたという。

 Aksoy氏は偽造品の取引など複数の罪で起訴され、6月29日にマイアミで逮捕された。