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Core i9-10900Kと比較して電力効率2.8倍。IPCでもIntelを圧倒するRyzen 5000

ダイレイアウトの変更

 米AMDは8日(現地時間)、最新のZen 3アーキテクチャを採用したRyzen 5000シリーズを発表。このなかで、同社のChief Technology Officer & Executive Vice President Technology and EnginneringのMark Papermaster氏が、Zen 3コアアーキテクチャの改善点について解説しているので、もう少し詳細にご紹介したい。

 Zen 3の最大のトピックは、コアレイアウトの刷新。製造プロセスこそ7nmとZen 2を踏襲しているが、Zen 2では1つのダイ(CCD)のなかで4つのコアと16MBのL3キャッシュがひとまとまりになっていたCore Complex(CCX)が2つある構成であったのに対し、8つのコアと32MBのL3キャッシュが1つのCCXの構成になった。

 これにより、1つのコアが直接アクセスできるL3キャッシュの容量が16MBから32MBに倍増。この改善は、とくにメモリレイテンシに敏感なゲーミング用途において有効で、より低いレイテンシで大容量なデータにアクセス可能となった。また、コア間の通信レイテンシも大幅に削減できたとしている。

Zenアーキテクチャの進化
Zen 3アーキテクチャ改善のポイント
【表】Zen 2とZen 3のコア比較
アーキテクチャZen 2Zen 3
CCXあたりのコア数48
CCXあたりのL3キャッシュ容量16MB32MB
CCDあたりのCCX21

 さらに、Zen 3はZen 2と比較してクロックあたりの命令実行数(IPC)を19%増加させている。これはIntelがデスクトップ向けCPUでこの4年間行なわなかったことであり(モバイル向けではIce Lake→Tiger Lakeで順当に伸ばしている)、この改善によりAMDは業界をリードするデスクトッププロセッサにおけるIPCを達成した。

 具体的には、浮動小数点/整数演算エンジンの命令発行数の向上による実行性能の向上と低レイテンシ化、それに伴うロード/ストア数の増加による実行エンジン性能向上、同社が“ゼロバブル”と呼ぶ分岐予測バンドの強化による遅延の削減、プリフェッチの改善など、フロントエンドからバックエンドにおよぶ完全なアーキテクチャの再設計によって、IPC向上を実現している。

IPCを19%向上できた内訳
同社が示すIPCの向上。この4年間、IntelはデスクトップCPUにおいてIPC向上を図らなかったという

 初代のRyzen 7 1800Xと比較した場合、Ryzen 9 3900XTでは2倍の電力性能比を実現していたが、Zen 3アーキテクチャのRyzen 9では2.4倍の電力性能比を達成。さらに、Intel最新のCore i9-10900Kと比較すると、じつに2.8倍もの電力効率を実現したと豪語する。

 発表会でデモされたCore i9-10900KとRyzen 9 5900Xの性能比較において、CINEBENCH R20による1スレッド性能では、Core i9-10900Kが「544」であったのに対し「631」と約16%高速であることがアピールされたほか、最新のゲームにおいては最大で21%高速であることが明らかにされた。過去のRyzen 3000シリーズとの比較では、最大26%高速であるとしている。

 同社のLisa Su CEOは、Ryzen 9 5900Xが世界最高のゲーミングプロセッサであるとしている。

初代Zenと比較して2.4倍、Core i9-10900Kと比較して2.8倍の電力効率を達成
シングルスレッド性能で確実にIntelを超えた。なお、この性能に関するパートの説明を担当したのはDirector of Technical MarketingのRobert Hallock氏
ほとんどのゲームでCore i9-10900Kより高速なRyzen 9 5900X