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使用済みパソコンの破棄が急増。コロナ禍で進む断捨離

 一般社団法人パソコン3R推進協会の調べで、家庭から廃棄される使用済パソコンが増加していることが明らかになった。

断捨離でパソコンを破棄

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛の影響などにより「おうち時間」が増加。部屋の片づけや断捨離などに時間を使う人が増えており、不要になったパソコンを廃棄するケースが相次いでいるようだ。

 パソコン3R推進協会によると、緊急事態宣言の発令とともに外出自粛が徹底された2020年4~6月における「家庭から廃棄される使用済パソコンの回収・リサイクル実績」は、89,208台となり、前年同期に比べて33.3%も上昇した。

 買い替え需要が顕在化し、廃棄されるパソコンが増加していた2019年10~12月および2020年1月~3月の実績を大きく上回る結果となっている。

 国内パソコン市場では、2020年1月のWindows 7のサポート終了に伴う買い替え需要と、2019年10月からの消費増税にあわせた駆け込み需要が発生し、2019年は過去最高の出荷台数を記録している。

 それに伴い不要になったパソコンを廃棄する動きも増加しており、同協会によると、消費増税前の駆け込み需要が活発化した2019年7~9月は前年同期比13.5%増の66,416台、Windows 7のサポート終了に伴う需要が顕在化してきた2019年10月~12月は前年同期比15.7%増の74,965台、2020年1月~3月は17.6%増の77,562台となり、同協会の想定通りに右肩上がりで拡大していた。

 だが、2020年4~6月の回収・リサイクル実績は、台数、伸び率ともに、これらを大きく上回る実績となった。とくに、ノートパソコンは、前値同期比40.5%増と大幅な伸びをみせている。

回収とリサイクル実績

 2020年4月~6月は、Windows 7のサポート終了および消費増税による家庭系パソコンの買い替えに伴う排出が続いていたのに加えて、新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛などで、退蔵していたパソコンの排出が増えたといえそうだ。

 実際、企業や調査機関が発表している各種調査を見ても、外出自粛期間中に、片付けや大掃除、断捨離、模様替えを行なった人は、5割~7割を占めるという高い水準にあり、家庭内にある不要なものを廃棄するといった動きがある。片付けの際に、すでに使わなくなったパソコンも、一緒に廃棄するといった動きが見られた推測される。

 2020年4月以降、在宅勤務用にノートパソコンが売れていることもあり、引き続き、自宅にある古いパソコンが廃棄される可能性もある。

パソコンのリサイクル方法

 パソコン3R推進協会は、「資源有効利用促進法」に基づいて、家庭で不要となったパソコンを回収およびリサイクルする「PCリサイクル」を促進する団体で、メーカーやディスプレイメーカー48社が加盟している。

PCリサイクルマーク

 パソコン本体に貼付している「PCリサイクルマーク」がついた家庭向けパソコンであれば、廃棄する際に料金を新たに負担することなく、廃棄できる。回収して資源に戻すまでをメーカーが責任を持って実施し、HDDを破壊するなどの処理作業を行ない、情報漏洩を防ぐ措置をとった上で金属などの資源に戻すため、安心だというメリットがある。

 今回発表した数字は、メーカー共通回収システムによって、会員メーカーが再資源化のために家庭から回収した使用済みパソコンの台数をまとめたもので、会員メーカーが個別に製品をリユースしたり、再資源化のために買い取りをしたりといった目的で回収した使用済みパソコンの台数は含んでいない。

 このほかに、2013年4月から、「小型家電リサイクル法」に基づく小型家電の回収・リサイクルも開始されており、これに則り、一部の家電量販店や約1,600の市区町村では、パソコンの回収が行なわれている。こちらの数字は公表されていない。

 パソコン3R推進協会が促進している「資源有効利用促進法」に基づくパソコンのリサイクルでは、廃棄するパソコンに「PCリサイクルマーク」がついていれば、メーカーに申し込むことで、無償で回収、リサイクルしてくれる。倒産や撤退などで、回収を行なうメーカーがないパソコンの場合は、同協会が有償で回収する。

 メーカーの問い合わせ窓口は、こちらのサイトで紹介している。

 メーカーに申し込むと、「エコゆうパック伝票」が郵送され、梱包したあとに、郵便局に戸口集荷を依頼するか、最寄りの郵便局に持ち込んで郵送。再資源化センターで再資源化されることになる。

 一方、「小型家電リサイクル法」に基づく回収では、役所やスーパーなどの店頭に設置された回収ボックスを利用した「ボックス回収」、小型家電回収日に回収する「ピックアップ回収」、小型家電の回収を行なっている一部量販店が店頭で実施している「店頭回収」、自宅から佐川急便が回収し、リネットジャパンが処理を行なう「直接(宅配)回収」を用意している。

 なお、量販店やパソコン中古ショップなどでは、不要となったパソコンを買い取りするサービスもある。