Windows 10 October 2018 Updateが配信再開

　米Microsoftは13日(現地時間)、Windows 10 October 2018 Updateの配信を再開したと発表した。October 2018 Updateのバージョンは「1809」で変更はない。

　同アップデートは10月3日より配信開始されたが、アップデートを適用した一部のユーザーからデータが消失したという報告を受け、配信を中断。調査したところ、新たに導入された不要ファイル削除のアルゴリズムに不都合があったとし(10月9日発表)、修正を行なった。

　今回、広範囲な内部検証に加え、Windows InsiderおよびOctober 2018 Updateを適用した数百万デバイスからのフィードバックと診断データの詳細の監視に時間をかけ、データ損失はこれ以上見つからなかったことから、配信の再開を決めたとしている。

　なお、April 2018 Updateでは最速の配信展開となっていたが、October 2018 Updateではデバイスのヘルスデータに基づき、ゆっくり展開する。アプリケーションの非互換性の問題などが発生しないよう、ユーザーが「アップデートの確認」を行なっても、互換性に問題がある場合は解決されるまでアップデートしないとしている。

　同日、MicrosoftでWindowsを担当するMichael Fortin副社長も、Windows 10の品質アプローチに関する見解についてブログに投稿した。

　Fortin氏によれば、今回のOctober 2018 Updateでのファイル消失問題は小規模ながらも深刻な問題であり、Windows 10が「Windows as a Service」と謳われて以来初のケースとなる。Windows 10はリリースごとに、品質測定結果の総計が改善傾向を示しているが、単一の顧客が更新プログラムで問題が発生した場合でも真剣に対応する必要があるとした。

　また、Windowsを開発するなかで、統計データやフィードバックを使用した品質改善のアプローチ、従業員自身が最新の内部バージョンのWindowsを使って業務をしている点、ドライバ、アプリ、ハードウェア、周辺機器などのパートナーと協業して最新アップデートの検証を行なっている点、Insiderを含む顧客からのフィードバックを得て開発している点、証拠となるデータ駆動型の意思決定などを採用している点を挙げた。

　Windowsの新バージョンの配信については、3つの原則に基づいて行なう。1つ目は機械学習モデルを使い、データが示す経験のあるデバイスのみ更新すること。2つ目は配信速度よりもアップデートの経験を優先させるため、ゆっくり展開する点。数パーセントの「早いもの好き」向けには早めに提供するという。そして3つ目は新たに発生した問題に対して注意深くモニタリングし学ぶこととしている。

　もっとも、今回のファイル消失問題はInsiderからのフィードバックで実装した機能が、同社が想定していなかった環境で実行されたことによって発生したもの。こればかりは、同氏が説明した品質アプローチで改善できるものではない。筆者としては、機能変更や機能追加を「しれっと」実装するのではなく、実装前により多くのユーザーに告知することが最善の解決策だと考えている。