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Xiaomi、初のスライド式全画面スマホ「Mi MIX 3」

~DxOMark Mobile Photoでスコア108を達成。初の5G対応モデルも2019年第1四半期に

Mi MIX 3(翡翠緑)

 中国Xiaomiは25日(現地時間)、前面の画面占有率を93.4%まで引き上げた全画面スマートフォン「Mi MIX 3」を発表した。中国での価格は、メモリ6GB+ストレージ128GBモデルが3,299人民元(約54,000円)、8GB+128GBモデルが3,599人民元(約59,000円)、8GB+256GBモデルが3,999人民元(約65,000円)。

 同日に中国・北京の故宮で発表会を開催し、同社の雷軍CEOが製品説明にあたった。

ネオジウム磁石採用のスライド機構

 初代Mi MIXシリーズが2016年に投入されてから2年が経過しているが、雷氏は「全画面スマートフォンの構想と実現は自体はわれわれが初であり、業界が追従している状態」だと誇る。その背景として、同社は2014年から全画面スマホを実現するための研究開発チームを立ち上げており、あらゆるソリューションについて討論を重ね続け、特許を出願してきたとした。

 具体的には、Appleの「iPhone X」などで実現しているノッチつきディスプレイや、OPPOの「Find X」やvivoの「NEX」で実現している自動昇降式カメラに関しても、特許も同社がすでに取得していたものであることを挙げた。

 一方、今回新たに発表された、画面全体が手動でスライドし、カメラモジュールが現れる機構も、2018年2月に特許を取得したものであることを明らかにした。じつは、同様の機構を採用したスマホとして、競合となるHuaweiも「Honor Magic 2」で実現しようとしているが、「実際に着想を得たのも、販売されるのはわれわれが先。もし(Honor Magic 2)が先だと言うのなら証拠を見せてほしい」と語った。

初代MIXの全画面特許
iPhone Xに採用されたノッチ付きディスプレイの外観もXiaomiの特許だという
カメラが飛び出す機構のXiaomiの特許
2018年2月に出願した、スライド式スマホの特許
全画面スマホの現状

 手動スライド機構を採用しながら筐体の厚さを抑えるために、Mi MIX 3では新たに6.39型のSamsung特注のSuperAMOLEDディスプレイを採用し、液晶からディスプレイ部の厚さを0.2mm薄くし、筐体全体の厚さを8.46mmに抑えた。なおこのディスプレイの解像度は2,340×1,080ドット、NTSC比103.8%の色域、6万:1の高コントラスト、600cd/平方mの高輝度などを実現している。

 また、ディスプレイ下部に内蔵されるアンテナも特注のものとし、Mi MIX 2Sからアンテナが必要なスペースを72%削減。底部を4.46mm短縮し、画面占有率を3.82%高めたとしている。

 スライド時の感触と機械的な耐久性を高めるために、2対のネオジウム磁石を内蔵し、その反発力を利用。一般的なバネ式が10万回耐久であるのに対し、30万回の耐久性を謳う。スライド時の効果音も複数用意し、選択できるようにしている。さらに、スライドによって電話を受け取ったり、指定したアプリを起動したりといったアクションも設定できるようになっている。

ディスプレイは従来の液晶からAMOLEDに変更
アンテナの特注により下部に必要なスペースを削減
画面占有率は93.4%になった
ネオジウム磁石によるスライド機構
過去のスライド端末はバネ式で、耐久性は10万回程度だった
30万回のスライド耐久性を実現
スライド時の効果音も5種類選択できる
スライドによってゲーム中にツールチップを呼び出しできる

Mi MIX 2SやMi 8と同じカメラモジュールだが画質がさらに向上

 背面カメラはMi MIX 2SやMi 8と同じモジュールとなっており、広角側はソニーIMX363/F1.8、望遠側はSamsung S5K3M3+/F2.4となっている。雷氏によると、2018年はカメラの画質に注力し、100人規模の開発チームを立ち上げたが、「フラグシップモデルは、トップスペックとなるカメラのハードウェアを用意し、じっくり腰を据えてソフトウェアでチューニングして画質を極めるため、あえて同じモジュールを採用した」という。

 ちなみにMi MIX 2S発表時は、DxOMark mobileのPhoto項目で101のスコアを取得したが、2日後にもHuaweiの「P20」にスコアで負けてしまった悔しさもあり、雷氏は開発チームにさらなるカメラ画質の改善を強く求めた。その結果、1,000人規模のAIチームが加わり、AIによる画質向上も追求された。

 今回AIによる写真機能の目玉の1つが「手持ち夜景モード」で、4軸光学手ブレ補正に加え、AIによる測光アルゴリズムと手ブレ補正、多重露出HDR、多重長時間露光などにより、優れた手持ち夜景撮影を実現するという。同氏はHuaweiのP20 Proを比較に挙げ、露出オーバー/アンダーが抑えられていることをアピールした(ただし、P20 Proのほうが優れているシーンもあるという)。

 加えて、960fpsのスローモーション動画撮影にも対応し、AIによってスローモーション時に自動的に音を補正し、シーンにあった音楽を挿入する機能を備えた。

 前面カメラはソニーIMX576による2,400万画素。暗所では画素4つを1つにして感光度を高める機能も備える。また、200万画素の深度検出用カメラも備えており、ボケのあるセルフィーも撮影可能。今回から新たに前面カメラによる動画撮影時でも、リアルタイムに背景をぼかすことが可能になった。

カメラモジュール
夜景ではP20 Proと比較して白飛びが少ないという例
旧モデルとライバルのDxOMark Mobileのスコア比較
Mi MIX 3SのDxOMark Mobileのスコア

セラミック筐体を踏襲、新色の宝石藍も

 技術面に加えて芸術面も見どころがあるMi MIXシリーズだが、今回はセラミック筐体を踏襲しつつ、スタンダードな黒モデルに加え、Mi MIX 2Sの後期に出た「翡翠緑」と、発表会場にもなった故宮博物院と共同で開発した「宝石藍」を追加。宝石藍は中国の長年の陶芸で培った藍色をベースとしている。

黒モデル
翡翠緑モデル
宝石藍モデル

 また、Mi MIX 2S発売時には、7.5WのQi対応無線充電器も投入したが、「無線充電が搭載されていることにそもそも気づいていないユーザーが多い」とし、この打開策として10Wの無線充電器を全ラインナップにバンドルした。

 Mi MIX 3はXiaomiの初の5G対応スマホとなる予定。現時点ではまだ基地局がないため投入できていないが、2019年第1四半期に欧州で発表・投入することを明らかにした。

 AI周りで新たに加わった機能として、周囲がうるさいときに通話が聞き取りにくい場合、すでに最大音量に達していても、音量+ボタンを1回押せば音量が27%上がる機能を搭載。AIによる演算で、音割れを抑えつつ音声を聞き取りやすくするという。

 左側面にAIボタンが新たに搭載され、長押しでAIアシスタント「小愛同学」が起動するようになった。小愛同学はバージョンアップにより、7種類の方言の聞き取りに新たに対応したほか、大声で話しかければ大声で返し、小声で話しかければ小声で返す機能を搭載した。

10Wの無線充電器が全モデルに付属
初の5G対応モデルとして2019年第1四半期に欧州で展開する予定
AIアシスタント「小愛同学」は大声で話しかければ大声、小声で話しかければ小声で返事される
このほか、Mi 8と同じデュアルバンドGPSを搭載し、43種バンド/226の国の地域で使用可能なワールドワイドバンド対応が特徴

 冒頭で述べたとおり、Mi MIX 3は3,299人民元スタートとなっているが、このところ為替レートの影響により人民元の価値が15%下がり、製造コストが上昇しているという。しかしXiaomiは内部の調整によりこの差額を完全に吸収し、ストレージ倍増+無線充電器で同価格を達成した。

 加えて、故宮博物院とコラボした限定モデルも、4,999人民元(約81,000円)で11月末に発売する。限定モデルでは故宮のシンボルである神獣「カイチ」を背面にあしらい、カイチの金箔貼り銅像ミニチュアを同梱。専用のパッケージに収納される。

 SoCはSnapdragon 845。バッテリは3,200mAhで、QC 4.0+充電をサポート。IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth、NFCも備える。本体サイズは74.69×157.89×8.46mm(幅×奥行き×高さ)、重量は218g。

各ラインナップ