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シャープ、画面に透明NFCアンテナを組み込んだ新ディスプレイ
2018年4月5日 13:58
シャープ株式会社は4月5日、透明なNFC(近距離無線通信)アンテナを搭載するディスプレイの開発を発表し、都内にて発表会を開催した。
NFCは乗車券や電子マネー、施設入場のセキュリティ、機器連携のペアリングなど、世のなかで広く使われている技術であり、センサーに対して対応スマートフォンやICカードをかざすことで通信が行なわれる。シャープが開発したこのアンテナは、ディスプレイ面にNFCセンサーが内蔵されており、画面にスマートフォンやICカードをかざすだけで通信が行なえるというもの。
発表会で登壇したシャープでディスプレイデバイスカンパニー開発本部 本部長を務める伊藤康尚氏は、たとえばコンビニなどで電子決済するさいのNFCセンサーは画面とは離れた位置にあり、新しくなったレジなど見慣れない場合にタッチ操作に戸惑うことがあるといった、現状のNFC利用の問題点を指摘する。
伊藤氏はNFCセンサーをディスプレイに内蔵させることで、「ここにタッチしてください」といった画面UIがよりわかりやすいものになるほか、デバイスの小型化を図れることもアピール。ディスプレイ面の特定の箇所のみをNFCセンサーにする製品を2019年に、ディスプレイ面すべてを感知可能にする製品を2020年に量産化する予定と伝えた。シャープはディスプレイとセンサーをセットにして普及を狙う。
今回の製品は技術的にはこれまで培ってきたタッチパネルの技術を進化させて生み出したものとのことで、理論的には液晶ディスプレイだけでなく、電子ペーパーといったほかの方式のディスプレイにも利用可能とする。ディスプレイ内部にアンテナ層を形成する透明なパネルを挟み込み、パネルには目視不可能な配線が張り巡らされている。シャープではこれを「メタルメッシュ技術」と呼び、アンテナ層の透過率は80%以上となっている。
NFCの媒体が画面に接近したさいに、アンテナ層にあるアンテナ線を高速にスイッチングし、位置検出アルゴリズムを働かせて媒体がある場所を特定しており、これらの動作は1秒以下で行なわれるため、利用者にストレスを与えることなく提供可能。また、数十個のNFCの複数同時認識もでき、発表会ではNFCが組み込まれたトランプを使ったデモを用意していた。
タッチパネル対応のディスプレイにも使用でき、その場合はタッチパネル層の上にアンテナ層を配置する。タッチ操作には支障を来たさないとしている。現状ではスマートフォン程度のディスプレイから42型サイズまで作ることができ、さらにサイズを拡大していく意向だ。
伊藤氏は、今回は小売店、車載器、アミューズメント、サイネージなどといった場所での活用を目指し、さらに開発を進めていくとした。