やじうまミニレビュー

RCAケーブルなどのレガシーコネクタ風Lightning保護カバー「エレコム CABLE MANIA」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
Lightningケーブルに装着したところ。まるでレガシーケーブルを使ってiPhoneを充電しているような外観になる

 2~3年前に登場して以来、量販店の店頭で急速にバリエーションを増やしているのが、Lightningコネクタを保護することで断線を防止する保護カバーだ。

 iPhoneやiPadに付属する純正のLightningケーブルは、コネクタ根元の強度がやや弱く、何度も曲げているうちにカバーが破れて断線にいたることが多い。そこで、Lightningコネクタの根元に取り付け、極度に曲がるのを防いでくれるカバーがもてはやされているわけである。シンプルなものについては今や百均でも取り扱いがあるので驚かされる。

 最近は、これらカバーに動物やアニメなどのキャラクターを取りつけた高単価な製品も登場しつつあり、量販店に行くと一面にズラリと並んでいたりもするわけだが、そんななかで登場した異色の製品が、今回紹介するエレコムの「CABLE MANIA(ケーブルマニア)」だ。

レガシーケーブルで充電するというシュールな光景

 これは電源ケーブル、RCAケーブルに加えて、ミニD-Sub15ピンのコネクタという、レガシーなコネクタを模した保護カバーだ。これらをLightningケーブルのコネクタの根元に取り付ければ、まるでiPhoneやiPadにRCAケーブルやミニD-Sub15ピンケーブルを差して充電しているかのような、シュールな光景がお目見えするというわけだ。

左からコンセント黒(型番:P-APLTDCNACBK)、ミニD-Sub15ピン(型番:P-APLTDCNDSUB)、RCAケーブル(型番:P-APLTDCNTV)。コンセントは白もラインナップされる。直販サイトの価格は各734円
Lightningケーブルのコネクタに装着して使用する。ちなみにいずれも実物よりわずかに小さい

 取り付け方は簡単で、PVC素材でできた本体裏側の切れ込みを指で押し広げ、そこにLightningケーブルの先端を挟み込むだけ。構造としては究極なまでに簡素で、かつあまり力を入れて押し広げすぎると、ケーブル装着後もすき間がぴったり閉じずに残ってしまったりもする。また塗装も微妙にずれていたりムラがあったりと、品質的にはガシャポンのフィギュアに近い。

 とはいえ、分類としてはジョークグッズと言って差し支えない製品なので、このあたりにとやかく突っ込むものではないだろう。これらを装着した状態で充電しているのを見た人がギョッとなって二度見してくれれば、製品としては成功だからだ。

本体は軟質樹脂(PVC素材)。裏側に切れ込みがある
指で押し広げると簡単に開く。あまり開きすぎると型がついてしまって復元に時間がかかる
純正のLightningケーブルを挟み込む。やや力が必要になるので、すでに破れかけているコネクタをはさむのはやめたほうがよさそうだ
装着完了。Lightningコネクタはがっちり固定されているわけではなく、簡単にスライドできてしまうので、抜くときはしっかり持って抜く必要がある
RCAケーブルの端子側(?)のアップ。中央がLightningケーブル
iPhoneのLightningコネクタに差しこむ
完成。このRCAケーブルの場合、実際につながるのは中央のコネクタだけだ
コネクタは実物よりひとまわり小さいとはいえ、iPhoneよりも厚みがある

 余談だが、本製品をはじめとしたLightningコネクタ保護カバーは、形状が統一された純正のLightningケーブルが多数普及しているからこそ成立している製品である。サードパーティ製品はコネクタの厚みが違うので適合しないし、同じ理由でUSB Type-C版などの登場も考えにくい。そもそもUSB Type-Cケーブルはコネクタに十分な強度があるので、ニーズがそもそもない。

 そんなこんなで「純正のLightningケーブルだけ」がターゲットという、そもそもがニッチの極致であるわけだが、それに加えて本製品はこのマニアックなチョイスである。古くからPCに慣れ親しんできたオールドファンから見て、じつにツボを突いた製品と言えるだろう。

マニアックな筋から支持、次の一手は?

 今回の「ケーブルマニア」、7月の発表時は、同時発表となった動物キャラクターの保護カバー2シリーズを差し置いてこればかりがネットニュースで取り上げられる珍現象が発生した。そのせいもあってか出荷は好調らしく(もともとロットが少なかった可能性もあるが)、最近になってようやくバックオーダーが解消しつつあるようだ。少なくともメディアおよび販売店からは、マニアックな支持を集めているようである。

iPhone Xs Maxに装着したところ。順にコンセント、ミニD-Sub15ピン、RCAケーブル

 もっとも(ここからはユーザー側ではなく作って売るメーカー側の視点になるが)、同社にとって判断が難しいのは、この反響をもとに、製品のラインナップをさらに広げるか否かだろう。こうしたマニアックな筋を対象とした製品は、調子に乗ってラインナップを拡充したとたんに、ユーザーからそっぽを向かれるケースも少なくないからだ。

 別のメーカーの話になるが、かつてある会社がアニメのキャラクターを用いたハードウェアを数量限定で発売したところ大人気となり、欲張って追加投入した第2弾で限定数を撤廃したところうってかわって見向きもされなくなり、その後数年にわたって滞留在庫と化し、事業としてはマイナスに転落した事例もある。

 本製品も、今回の反響に応えるかたちで、マニアックなラインナップを追加するのがよいのかどうかは難しいところ。ユーザーが今回の製品を見て「RS-232Cもほしい」、「SCSIならハーフピッチ50ピンがいい」などと盛り上がっているうちはよいが、これらを真に受けてラインナップを追加した場合にどうなるかは予測がつかない。

 とはいえ、ここまで一般的な形状だと、他社が同等製品をひっさげて参入してくる可能性も十分に考えられるので、せっかく本製品で掘り起こされたマニアックな市場を横取りされるのは、元祖としてはいい気はしないだろう。野次馬としては、このあたりの駆け引きも見ものという気がする。

iPad Pro 10.5に装着したところ。ホームボタンのあるモデルに装着したほうが違和感があって楽しい。順にコンセント、ミニD-Sub15ピン、RCAケーブル

 またこうしたアクセサリは、本体機器側の仕様変更で生産終了にいたる可能性もあるので難しい。2010年前後にちょっとしたブームとなりながら、iPhone 5でイヤフォンジャックが上部から下部へと移動したことで一瞬で廃れた、イヤフォンジャックに装着するフィギュアアクセサリの二の舞にならないともかぎらないからだ。

 折しもiPadのLightningコネクタがUSB Type-Cに置き換わるかもしれないとの噂もある現在、このあたりの判断も難しいところだが、もちろんこれは作って売る側の話であって、ユーザーにとってはおもしろいグッズが市場に増えるのは大歓迎だ。量販店店頭での在庫もそろそろ潤沢になりつつあるようなので、気になる人は探して手に取ってみてほしい。

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