やじうまミニレビュー

「スマートなプレゼン」を実現するプレゼンタ、ロジクール「Spotlight」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
Spotlight

 ロジクール株式会社は6日、「Spotlight Wireless Presentation Remote」を発表(ロジクール、レーザーポインタを“搭載しない”プレゼンタ)した。税別直販価格は12,880円。国内発売は22日の予定だが、発売前に製品を入手する機会に恵まれたので、製品レビューをお届けしたい。

 一般的にプレゼンタは、スライドの送り/戻し機能とレーザーポインタを組み合わせた製品で、一部の高機能モデルではタイマー(時間管理)機能を持つものもある。

 今回紹介するSpotlightは、レーザーポインタを持たず、マウスカーソルを操作することで同様の機能を実現した製品となっている。

 まず外観だが、アルミ製でシンプルなデザイン、かつ本体色がシルバー(そのほかスレートとゴールドもある)ということもあって、Apple製品のような見た目となっている。記者発表会でも「スティーブ・ジョブズのようなプレゼンを行なうには?」というキーワードがあったことからも、Apple製品を意識していることを窺わせる。

 搭載するボタンは全部で3つで、各機能は後述するが、上から順にポインタボタン、送りボタン、戻るボタンを備える。

 PCとの接続はBluetooth LE、または本体に収納可能なUSBレシーバー経由の2.4GHz帯で行なう。

 バッテリ駆動だが、満充電(充電時間1時間)なら3カ月充電不要で動作するという。記者発表会に参加した際に担当者に訪ねたところ、駆動時間の条件は非公開ながら、どちらの接続でも同じ駆動時間であるとの回答を得た。なお、急速充電にも対応しており、1分の充電で3時間動作するとしている。

 同梱されている紙を見ると、裏面のラバー部分を開けるとバッテリを交換できるようだ。ただし、「使用済みバッテリーの取り外し」と表記があることから、寿命がきてしまったバッテリを廃棄するためのものと思われる。

本体裏面
箱裏面
同梱物
USBレシーバ
USB Type-C
充電用ケーブル

 動作の仕様としては、腕を振った動作を本体に内蔵する加速度/ジャイロセンサーで検知し、マウスカーソルを移動させる。BluetoothでPCと接続後にデバイスのプロパティを確認したところ、汎用マウスとしても認識されていた。

 ここで1つ手間取ったのが、説明書が同梱されておらず、Bluetoothのペアリング方法が分からなかった点だ。Webページから説明書のPDFにアクセスできるので、そちらを確認する必要がある。ちなみにペアリングには、ポインタボタンと戻るボタンを長押しすれば良い。

ペアリングすると先端のLEDが点灯
Bluetoothで接続
マウスとしても認識されている
説明書

 Spotlightでは、レーザーポインタに代わり、プレゼン画面内で円の周りを暗くして目立たせる「強調表示」、円の中をズーム表示する「拡大」、丸で囲む「円」の3つのポインタ機能を備えており、専用ソフトウェア「Logicool Presentation」をインストールすることで、それらの機能を利用できる。ポインタ機能はポインタボタンの長押しで利用でき、ダブルクリックでそれぞれを切り替えられる。

 レーザーポインタと異なり、大きなエリアを指定できるため、聴衆がポインタを見失ったり、プレゼンター本人が見失うということがない。また、画面表示にオーバーレイする形のため、レーザーポインタの使えない液晶ディスレイや、電話会議なども画面キャプチャで全参加者が強調部分を示せるといったメリットがある。

 なおLogicool Presentationでは、前述のポインタ機能などのほか、詳細設定からポインタの速度調整、振動の強さを調整できる。

Logicool Presentation
詳細設定
Spotlightの設定
タイマー設定
ポインタ設定。それぞれの設定と無効化を設定可能
スライダで円の大きさ、その右となりのチェックボックスでカーソル表示の有無を設定できる。下に注意書きがあるとおり、カーソル表示時にはマウス左ボタン相当のクリック操作ができる
進むボタン長押し機能割り当て
戻るボタン長押し機能割り当て

 本体には振動機能があるため、指定時間の前に振動して通知する、終了予定時刻に振動するといった機能があるが、プレゼンをするユーザーのPCに時計を表示する機能もある。こちらは全画面表示のほか、最前面固定のウィンドウとしても表示できるので、PowerPointの画面などと共存可能だ。

時計表示
カウントダウン
このように最前面固定のウィンドウとして表示するほか、全画面にもできる

 今回は日本マイクロソフトが配布しているテンプレートを基に作成したスライドで、各種操作を行なってみた。なお、操作を行なっているのは一般的なモバイルノートPCである。

 送り/戻し操作と拡大機能は見てのとおり、スムーズに送り戻しを行なえる。拡大機能は動作フレームの低さを感じるが、ここのスムーズさはPCの性能にも依存しそうな印象を受けた。

送り戻しと拡大

 次は強調表示と、送りボタン長押しに「空白画面」を割り当てての操作だ。強調表示は拡大機能と異なり、ノートPCでも非常にスムーズに動作する。空白画面機能は、画面全体を黒で覆ってしまうというもので、いったんスライドを消し、聴衆の注意を自分に向けたい時などに有用な機能だ。

強調表示と空白画面

 前述のとおり、カーソル表示をしておけばクリック操作ができる。最近ではスライド内に動画のようなリッチコンテンツを挿入する場合も多く、クリック1つで再生停止を操作できるのは従来のプレゼンタにはない機能だろう。また、戻るキー長押しに音量調整を割り当てておけば、会場の環境に合わせ音量を調整できるのも、“スマートなプレゼン”にはもってこいの機能だ。

マウス操作と音量調整

 Webブラウザを使ってデモを披露するといった時でも、左クリックだけで完結する簡単な操作であれば、PCまで歩いて行かなくてもその場でマウス操作ができる。とはいえ、ドラッグ操作や右クリックができないので、マウスとして常用するのは厳しく、あくまでプレゼン時のサポートとして便利というものだ。なお、スクロールは送りボタン長押しに機能を割り当てて行なっている。

Webブラウザを操作

 職業柄、自身が登壇してプレゼンを行なう機会はないのだが、スライドを使ったプレゼンを受ける機会は非常に多い。

 そんな聴衆側としての意見としては、レーザーポインタは、大会場で大きなスクリーンになると見失いやすく、また高輝度なプロジェクタでは明るさが拮抗して視認性が低い。一方Spotlightなら、見失うこともなく、登壇者の指先の震え程度なら位置がブレることもないため、どこを指しているのかが明白だ。

 PCを利用してプレゼンを行なうことが大半となった今では、レーザーポインタを利用するよりも、本製品の操作形態の方がより自然だと感じる。

 難点を挙げるとすると、従来のレーザーポインタ搭載品の倍という価格面と、会場に置いてある本製品を接続すれば即使える、というわけではなく、各種ポインタ表示のために専用アプリケーションのインストールが必要な点だろう。同じ発表会で誰かが持っていても、その場ですぐに使いまわせないというのは、従来のレーザーポインタより利便性が劣っていると言えよう。

 可能なら、MicrosoftなどのOSベンダーと協力し、ドライバと同時にアプリケーションのダウンロード/インストールを行なうといった動作になれば汎用性が高まるのではないだろうか。


 簡単ながら、製品の紹介は以上となるが、最後に書いたとおり、PC接続機器となったが故の惜しい点もあったが、製品としての使用感は優れており、聴衆の1人としては、是非普及してもらいたいと思わせてくれる製品だ。

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