西川和久の不定期コラム

G-Tune「MASTERPIECE i1440PA1-SP-DOC-CL」

~ボタン一発でオーバークロック可能なモンスターマシン!

G-Tune「MASTERPIECE i1440PA1-SP-DOC-CL」

 マウスコンピューターは3月13日、ゲーミングブランド「G-Tune」のハイエンドPC「MASTERPIECE」シリーズをリニューアルした。最大の特徴はボタンのオン/オフで再起動せずリアルタイムにオーバークロックが可能になったことだ。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

ボタン一発でCPUとGPUをオバークロック!

 今回ご紹介する「MASTERPIECE i1440」シリーズは、構成により「ブロンズモデル」、「ブロンズモデル カスタム」、「シルバーモデル」、「ゴールドモデル」、「プラチナモデル」、「プラチナモデル カスタム」と6種類に分けられている。共通点は、アビーとコラボしたケース、Core i7-4770Kの搭載、そしてオーバークロック可能という点だ。

 それ以外のメモリ、ストレージ、GPUなどはモデルによって異なり、下位の「ブロンズモデル」で169,800円(税別)、最上位の「プラチナモデル カスタム」は、499,800円(税別)。なんと30万円以上の差がある。

 手元に届いたのは、最上位モデルの「プラチナモデル カスタム」。主な仕様は以下の通りだが、凄い構成だ。

G-Tune「MASTERPIECE i1440PA1-SP-DOC-CL」の仕様
CPUCore i7-4770K(4コア/8スレッド、3.5GHz、Turbo Boost時3.9GHz、オーバークロック時4.2GHz、8MB、TDP 84W)
チップセットIntel Z87 Express
メモリ32GB(8GB×4)、PC3-19200 DDR3(最大32GB/空き0)
ストレージSSD 2TB(1TB×2、RAID 0)、HDD 2TB(7,200rpm)
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
OSWindows 8.1 Pro(64bit)
グラフィックスGeForce GTX 780 Ti(3GB)×2(SLI)、DisplayPort、DVI-I、DVI-D、HDMI出力
インターフェイスGigabit Ethernet、PS/2、USB 2.0(前面×2、背面×2)、USB 3.0(前面×2、背面×4)、マルチカードリーダ、音声入出力、S/PDIF(コアキシャル×1、角型×1)
拡張スロットPCI Express x16×3(空き1)、同x1×4(空き1)
ストレージベイ5インチベイ×2(空き1)、3.5インチ×1(空き1)、3.5インチシャドウ×4(空き3)、2.5インチシャドウ×2(空き0)
電源1,200W(80PLUS GOLD)
サイズ/重量219×471×499mm(幅×奥行き×高さ)/約17.1kg
価格499,800円(税別)

 プロセッサは、Core i7-4770K。4コア/8スレッドでクロックは3.5GHz。Turbo Boost時3.9GHzまで上昇する。キャッシュは8MB、TDPは84W。末尾がKのSKUなので、倍率ロックフリー版となる。また水冷CPUクーラー(Cooler Master Seidon 120XL)を装備している。

 チップセットは、Intel Z87 Express。構成的にはH87チップセットと同じだが、倍率ロックフリー版のプロセッサをオーバークロック可能だ。メモリは8GB×4で最大の32GB搭載済み。ストレージは、プライマリにSSD 1TBを2基使いRAID 0とし計2TB、セカンダリに7,200rpmの2TB HDDも内蔵している。OSは64bit版のWindows 8.1 Proを採用。Windows 7 Professionalも選択できる。

 グラフィックスは、GeForce GTX 780 Ti(3GB)を2基搭載しSLI接続している。Keplerアーキテクチャの上位SKUだけに、SLI接続で使った場合の性能は期待できそうだ。この点については後半のベンチマークテストで検証してみたい。出力は、DisplayPort、HDMI、DVI-I、DVI-D。ミニD-Sub15ピンのアナログ出力が必要な場合は、DVI-Iから変換アダプタを使用する。

 インターフェイスはGigabit Ethernet、PS/2、USB 2.0(前面×2、背面×2)、USB 3.0(前面×2、背面×4)、マルチカードリーダ、音声入出力、S/PDIF(コアキシャル×1、角型×1)。

 拡張スロットは、PCI Express x16×3(空き1)、同x1×4(空き1)。ドライブベイは、5インチベイ×2(空き1)、3.5インチ×1(空き1)、3.5インチシャドウ×4(空き3)、2.5インチシャドウ×2(空き0)。電源は80PLUS GOLDの1,200Wを搭載する。

 標準構成でかなりのスペックなので、これ以上の拡張は考えにくいものの、まだ拡張できるだけの余裕はある。

 本シリーズ最大の特徴として、冒頭で書いた通り、前面パネルにあるオーバークロックボタンを押すだけで簡単にオーバークロックを出来ることが挙げられる。標準のTurbo Boostでは最大2コアが3.9GHzになるのに対して、本製品のオーバークロック機能は4コア全てが4.2GHzで動作するのだ。加えてGPUもパワーターゲットとクロックオフセットを変更することにより動作クロックが上昇、CPUとGPUトータルで性能をアップすることが可能だ。

 通常これらの調整はそれなりに知識が必要だが、ボタン1つでオン/オフできるのは、オーバークロックのハードルが低くなりうれしい。

 サイズは219×471×499mm(幅×奥行き×高さ)、重量約17.1kg。価格は499,800円(税別)。今どきのPCとしてはかなり高価と言えよう。ただ、ここまでくると完全に趣味の世界なので、気に入れば何でもありとなる。

左側面。電源をオンにすると、スリットの奥にある“GEFORCE GTX”のロゴが光って見える
前面。全体の質感は良い。赤いフチのアクセントも効いている。2層のアルミ合金で構成された前面パネルに512個の通気孔が開けられている
前面の一部を拡大したもの。マルチカードリーダ、USB 3.0×2、USB 2.0×2、マイク、ヘッドフォン、DVDスーパーマルチドライブ、HDDアクセスLED、電源LED、電源ボタン、オーバークロックボタン
背面。拡張スロット側にGeForce GTX 780 Tiが2基。出力はDisplayPort、HDMI、DVI-D、DVI-Iを備える
背面インターフェイスを拡大。USB 2.0×2、PS/2、S/PDIF(コアキシャル×1、角型×1)、USB 3.0×2、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、音声入出力。右側にコラボ製品であることを表す「G-Tune × Abee」のステンレス製エンブレムプレート
本体内部。前面側に水冷ユニット、その上下にドライブベイ、背面の下部に電源ユニット、中央にGeForce GTX 780 Tiが2基。SLI接続されているのが分かる
内部(CPU周辺)。水冷式なのでコンパクトにまとまっている。右側に4つのメモリスロット。8GB×4でフル装備済み
内部(ストレージ周辺)。左側(実際は上)にSSD×2、右側(実際は下)にHDD×1
GeForce GTX 780 Tiの表面。シルバーベースでアクセントとしてブラックが使われ、かなりガッチリしたユニットだ
GeForce GTX 780 Tiの裏面。側面にある「GEFORCE GTX」の部分が電源オンになると光る
電源ユニットは80PLUS GOLDに準拠した1,200Wのもの
付属品。キーボードはPS/2接続、マウスはUSB接続

 アビーとコラボしたケースは高級感たっぷりで非常に美しい仕上げだ。これだけクオリティは高いケースは久々にお目にかかる。メタリックな赤いフチも雰囲気を盛り上げている。またゲーミングPCにありがちなライトアップ相当はないものの、内蔵している“GEFORCE GTX”のロゴがグリーン色で浮き上がって見えるのもワザとらしくなく好印象。

 前面は上部に、マルチカードリーダ、USB 3.0×2、USB 2.0×2、マイク、ヘッドフォン、DVDスーパーマルチドライブ、HDDアクセスLED、電源LED、電源ボタン、オーバークロックボタンなど各ポートが集中。下側には512個の通気孔を設けることで、通気性を高めている。

 背面は、上から順にUSB 2.0×2、PS/2、S/PDIF(コアキシャル×1、角型×1)、USB 3.0×2、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、音声入出力。拡張スロット部分にGeForce GTX 780 Tiが2基。

 内部は中央にGeForce GTX 780 Ti 2基が陣取り、それだけでもかなりの迫力。上のドライブベイにSSDを2つ、下のドライブベイにHDDが取り付けられている。またCPUは水冷式なので、プロセッサ部分に大きなファンもなくコンパクトにまとまっている。

 発熱や振動は試した範囲では気にならないレベルに抑えられている。ノイズに関しては、主にファンの音になるが、ノーマル時で少し気になり、オーバークロック時で負荷がかかると、それなりの音量となる。前面、背面、(写真からは分からないが)上面、電源、そしてGeForce GTX 780 Ti×2と、計6個のファンがあるので仕方ないだろう。

ノーマルでも爆速だが、オーバークロックでさらに加速!

 OSは64bit版のWindows 8.1 Pro。メモリは32GBを搭載するうえ、ストレージはSSDのRAID 0構成なので、何をしてもストレスを全く感じない環境だ。なお今回はマシンの特性上、スタート画面やアプリ画面などは恐らく読者諸兄の興味の対象から外れていると思われるので、構成が分かる画面キャプチャとベンチマークテストを中心に掲載した。

 インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジーを使ったRAID 0の実態は「Samsung SSD 840 EVO 1TB」が2基使われている。C:ドライブのみの1パーティションで約1.85TBが割り当てられ、空きは1.75TB。D:ドライブは2TB/7,200rpm/キャッシュ64MBの「Seagate ST2000DM001」を搭載している。

 DVDスーパーマルチドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GH24NSB0」、LANはゲーミング向けコントローラの「Killer E2200 Gigabit Ethernet Controller」。マルチカードリーダはUSB接続だ。

起動時のデスクトップ。壁紙の変更と、左側にプリンストールアプリなどのショートカットが並んでいる
デバイスマネージャ/主要なデバイス。プライマリドライブは、インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジーを使ったRAID 0、セカンダリドライブは2TB/7,200rpm/キャッシュ64MBの「Seagate ST2000DM001」。DVDスーパーマルチドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GH24NSB0」、LANは「Killer e2200 Gigabit Ethernet Controller」
RAID 0のパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約1.85GBが割り当てられ、空きは1.75TB

 インストール済みのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「Fresh Paint」、「Hulu」、「NAVTIME、R25 for Windows8」、「じゃらん」、「ホットペッパーグルメ」、「ムビチケ」、「楽天gateway」など。

 デスクトップアプリは、「CyberLink Media Suite」、「CyberLink PhotoDirector 4」、「インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジー」、「G-Tune OC Boost」、「Killer Network Manager」、「ファイナルパソコンデータ引越し9 plus」、「マカフィーインターネットセキュリティ」。

 Windowsストアアプリは同社ではお馴染みの構成。デスクトップアプリは、サイバーリンクやシステムツール系の構成となっている。「G-Tune OC Boost」は画面キャプチャからも分かるように、オーバークロックの状態を表示するツールだ。

インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジー。2TB RAID 0の実態は「Samsung SSD 840 EVO 1TB」が2基
G-Tune OC Boost。オーバークロックの状態が簡単に分かる
Killer Network Manager。ゲーミング向け設定を行なえるよう、Ethernetデバイスとしては珍しくツールがある

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、3DMark、CrystalMark(4コア/8スレッドなので条件的に問題があり参考まで)の結果を見たい。全てSLIはオンにしている。カッコ内はオーバークロック時のスコアだ。またRAID 0構成のストレージ性能を見るためCrystalDiskMarkの結果も掲載した。

 winsat formalの結果は、総合 8.5(8.5)。プロセッサ 8.5(8.5)、メモリ 8.5(8.5)、グラフィックス 8.6(8.6)、ゲーム用グラフィックス 8.6(8.6)、プライマリハードディスク 8.5(8.5)。PCMark 8 バージョン2は4648(5160)。3DMarkはIce Storm 157467(177903)、Cloud Gate 28184(31691)、Fire Strike 15108(16167)。

 CrystalMarkは、ALU 89178(100720)、FPU 80060(89875)、MEM 98774(103003)、HDD 53926(56344)、GDI 24614(27446)、D2D 21601(23105)、OGL 47510(51764)。

 winsat formalはオーバークロックの有無で値は変わらなかったものの、ほぼ8.5と高いポジションで平均している。対してPCMark 8 バージョン2、3DMark、CrystalMarkは全て速くなっているのが分かる。ALUは滅多に出ない10万オーバー。PCMark 8 バージョン2は、おそらくこの連載では初の5万オーバー。3DMarkは、多くのPCでは重くてコマ送りのような表示になるFire Strikeも楽々こなしていた。

 オーバークロックオフで計測したSSD RAID 0のストレージ性能は、CrystalDiskMark Seq Read 1029:Write 924.0MB/sec、512K Read 756.1:Write 832.0MB/sec、4K Read 37.12:Write 97.99MB/sec、4K QD32 Read 617.8:Write 645.2MB/sec。こちらもかなり高いスコアだ。

 いずれにしてもこれだけ高性能なPCなので何をしても快適に使うことができる。この速度をそのまま維持してコストを抑えたいなら、SSDとメモリの容量を調整するといいだろう。

winsat formalの結果。総合 8.5。プロセッサ 8.5、メモリ 8.5、グラフィックス 8.6、ゲーム用グラフィックス 8.6、プライマリハードディスク 8.5
winsat formalの結果(OC時)。総合 8.5。プロセッサ 8.5、メモリ 8.5、グラフィックス 8.6、ゲーム用グラフィックス 8.6、プライマリハードディスク 8.5
PCMark 8の結果。スコアは4648
PCMark 8(OC時)の結果。スコアは5160
3DMarkの結果。Ice Storm 157467、Cloud Gate 28184、Fire Strike 15108
3DMark(OC時)の結果。Ice Storm 177903、Cloud Gate 31691、Fire Strike 16167
CrystalMarkの結果。ALU 89178、FPU 80060、MEM 98774、HDD 53926、GDI 24614、D2D 21601、OGL 47510
CrystalMark(OC時)の結果。ALU 100720、FPU 89875、MEM 103003、HDD 56344、GDI 27446、D2D 23105、OGL 51764
CrystalDiskMark(SSD RAID 0/OCオフ)。Seq Read 1029:Write 924.0MB/sec、512K Read 756.1:Write 832.0MB/sec、4K Read 37.12:Write 97.99MB/sec、4K QD32 Read 617.8:Write 645.2MB/sec

 以上のようにG-Tune「MASTERPIECE i1440PA1-SP-DOC-CL」は、Core i7-4770Kを搭載し、ボタン一発でオーバークロックが可能。そして、メモリ32GB、1TBのSSD×2台をRAID 0で搭載。さらに、GeForce GTX 780 Ti×2基をSLI接続したモンスターマシンだ。各ベンチマークテストも普通のPCではお目にかかることが出来ない爆速度。ゲームはもちろん、プロユースでのコンテンツ制作用途にもそのパワーは期待できる。

 価格は499,800円(税別)と、今どきのPCとしては高額であるものの、そこは趣味の世界。この記事を見て「おっ!」と思った人にお勧めしたい1台と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/