西川和久の不定期コラム

マウスコンピューター「LuvBook LB-L400S」
~バッテリが着脱可能な14型Ultrabook



 8月3日、マウスコンピューターは、59,850円からの14型Ultrabookを発表した。3タイプある中、ミドルクラスの「LuvBook LB-L400S」が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けする。


●安価な割に一通り揃った14型のUltrabook

 Ultrabookは、薄さはもちろん、起動(終了やスタンバイ)時間、バッテリによる長時間駆動……など、次世代のノートPCとして注目されているものの、まだIvy Bridge対応機種は出始めであり、メーカーとしてもこだわった機種が多い。その分、残念ながら価格も高目だ。

 そんな中、マウスコンピューターは、14型の液晶パネルを採用し、何と59,850円からと、6万円を切る価格でUltrabookを発表した。もちろん内容的に見劣りする部分は無く、Ivy Bridgeで第3世代のCoreプロセッサを搭載する。ストレージの種類や容量で3タイプあり、今回編集部から送られてきたのは真ん中のモデル。主な仕様は以下の通り。

【表】マウスコンピューター「LuvBook LB-L400S」の仕様
CPUCore i5-3317U(2コア/4スレッド、1.7GHz/
Turbo Boost2.6GHz、cache 3MB、TDP17W)
チップセットIntel HM77 Express
メモリ8GB/PC3-12800 DDR3 SODIMM(2スロット/空き0)
SSD256GB
OSWindows 7 Home Premium(64bit)SP1
ディスプレイ14.0型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット
グラフィックスIntel HD Graphics 4000、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth V4.0+LE
その他USB 3.0×1、USB 2.0×2、マルチカードリーダ、
音声入出力、100万画素Webカメラ
サイズ/重量344×240×21.0mm(幅×奥行き×高さ)/約1.76kg
バッテリ駆動時間最大約5時間
価格69,930円

 プロセッサはCore i5-3317U。2コア4スレッド、クロック1.7GHz、Turbo Boost時、2.6GHzまで上昇する。キャッシュは3MB、TDPは17Wと、ミッドレンジのUltrabookではお馴染みのSKUだ。

 チップセットはIntel HM77 Express。メモリは4GB×2の計8GB実装済。ストレージはSSD 256GBを搭載。掲載した写真からも分かるように、裏の小さいパネルが外れ簡単にメモリやストレージへアクセスできるためメンテナンスは容易だ。OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000。14型光沢の液晶パネルを搭載し、解像度は1,366×768ドット。出力はHDMI出力とミニD-Sub15ピンの2系統となる。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth V4.0+LEにも対応。Ethernetのコネクタも標準サイズで使いやすい。

 その他のインターフェイスは、USB 3.0×1、USB 2.0×2、マルチカードリーダ、音声入出力、100万画素Webカメラ。USB 3.0が1ポートしかないのは残念ではあるものの、ネットワークも含め、一通り揃っている。

 サイズは344×240×21.0mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.76kg。Ultrabookの規格中で液晶パネルのサイズが14型以上の場合、厚み21mm以下とされ、ギリギリ規格内だ。

 バッテリ駆動時間は最大約5時間。Ultrabookとしては珍しくバッテリが着脱式(219g)であり、もし不足であれば、予備を持ち歩く事が可能。ヘビーユーザーには嬉しい仕様と言えよう。

 価格は今回の構成で69,930円。ストレージだけ変更された下位モデルのLB-L400Bは、HDD 500GBで59,850円。上位モデルのLB-L400Xは、SSD 512GBで99,750円となる。また主なカスタマイズはProfessonal/Ultimateと、OSの種類のみ。ハードウェアの構成は変更できない(別途Officeセットモデルもある)。

天板はシルバーベースでだが、細かい模様が入っている正面側面左側にマルチカードリーダやストレージアクセスLEDなどを配置底面。Ultrabookとしては珍しくストレージやメモリへ簡単にアクセスできる
左側面。電源入力、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、HDMI出力、USB 3.0×1キーボードはアイソレーションタイプ。同社の仕様によるとストロークは約2mm右側面。ケンジントンロック、USB 2.0×2、音声入出力
キーピッチは実測で約19mmトップカバー&背面。後ろの丸い部分がバッテリ。着脱可能だACアダプタのコネクタはミッキータイプ。バッテリは結構細長い。重量219g

 天板はシルバーをベースに細かい模様が入っている。パネルの周囲が光沢ブラック、底は非光沢ブラック、他はシルバーとシンプルにまとめられている。

 多くのUltrabookでは高級感のある素材を使いプレミアム感を出しているものの、本機は安価なだけあって筐体も含め、エントリークラスのノートPCのような質感だ。裏側も普通のプラスチック。価格的に仕方ない部分であるが、逆にストレージやメモリへ簡単にアクセスでき、バッテリも着脱式。この点に関しては何もできないUltrabookが多い中、ポイントが高い。

 液晶パネルは光沢式だ。映り込みがあり、正面と斜めからの写真を比較すれば分かるように視野角は狭く、角度が付くとかなり暗くなってしまう。また発色やコントラストはクラスを考えると標準的。ただし、最小輝度でもそれなりに見え、バッテリが駆動時には役に立つ。

 キーボードはアイソレーションタイプで、キーピッチは約19mm。ストロークは約2mmと浅め。若干たわむものの、特に気になる部分は無い。パームレストも筐体サイズが大きい分、余裕がある。

 タッチパッドは物理的なボタンが無く、1枚板で先端の左右が傾きボタン替わりになるタイプだ。気になったのはこのボタンの部分。中央から指幅約1つ分までは普通に反応するが、端へ行くほど反応が鈍くなる。筆者の場合、割りと端で押すケースが多く、「あれ!?」と思う事がしばしば。この点は個体差の可能性があり、また押す場所(押し方)の癖もあるだろうから、何とも言えない部分だ。

 ノイズ、振動、発熱に関しては、TDP 17W、そしてSSD搭載機なので、試用した範囲では特に気にならなかった。

 ただサウンドに関しては、最大音量でも驚くほど音量が小さく、(BGMで軽く流す程度なら大丈夫だが)とても音楽や映像を楽しめるレベルでは無い。コンテンツを再生する場合は、ヘッドフォンや外付スピーカーが必要だ。

●Core i5とSSDで思った以上に快適作動

 OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。デスクトップはシンプル。内蔵グラフィックスとは言え、メモリが8GBあるので、特にストレス無く操作可能だ。SSDなので起動/終了も含め全体的な作動は速い。普段使いには十分だろう。

 ストレージのはADATAのSSD「SX910」を搭載。C:ドライブのみの1パーティションで、約230GB割当てられ、初期起動時の空きは203GBとなる。用途によると容量不足になる可能性もあるが、比較的大きいデータはUSB 3.0の外部ストレージに逃がせば困る事は無い。Bluetoothは「Realtek Motorola BC8 4.0LE Adapter」、Wi-FiもRealtek製だ。

起動時のデスクトップ。特に大型アプリケーションはインストールされておらずシンプルデバイスドライバ/主要なデバイス。SSDはADATA「SX910」。Bluetoothは「Realtek Motorola BC8 4.0LE Adapter」、Wi-FiはRealtek製C:ドライブのみの1パーティション。約230GBが割当てられている

 インストール済のソフトウェアは、「マカフィー インターネットセキュリティ」、「Windows Live Essentials 2011」、「Google Chrome」……と、ほとんど素のWindowsに近く、玄人受けしそうな構成だと言える。ドライバやツール類も特殊なものは見つからなかった。

Intelラピッド・ストレージ・テクノロジーElan Smart-PadIntel グラフィックス/メディア コントロール・パネル

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとPCMark 7、BBenchの結果を見たい。

 これまで使っていたCrystalMarkは、32bit版、最大4スレッドまで、NVIDIA Optimus未対応など、さすがに時代の流れにマッチしなくなったので、PCMark 7に変更した。ただし、過去のデータと比較する時、ある程度は参考になるため、しばらくの間、値のみ掲載する。特に今回はマシンスペック的に、4スレッド、内蔵グラフィックスなので、テスト対象としては特に問題は無いだろう。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 6.5。プロセッサ 6.9、メモリ 7.4、グラフィックス 6.5、ゲーム用グラフィックス 6.5、プライマリハードディスク 7.9。メモリとストレージが速く、その他は6.xでトータル的にはイメージ以上にサクサク動く。価格を考えれば文句無しか。PCMark 7は4194 PCMarksだった。

 CrystalMarkは、ALU 38064、FPU 37006、MEM 41641、HDD 44082、GDI 13851、D2D 2038、OGL 6495といった結果だ。

 BBenchは、省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残5%で12,648秒/3.5時間。最大約5時間にはとどかなかったが、それなりに良い値だ。予備にもう1本バッテリがあれば、外で結構長時間作業できるだろう。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合 5.9。プロセッサ 7.6、メモリ 7.9、グラフィックス 6.9、ゲーム用グラフィックス 6.9、プライマリハードディスク 5.9PCMark 7は4194 PCMarksBBench。省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残5%で12,648秒/3.5時間

 以上のようにマウスコンピューター「LuvBook LB-L400S」は、14型HD解像度の液晶パネル、Core i5-3317Uを搭載した厚み21mmのUltrabookだ。下位モデルが59,850円からと非常に安価で、着脱可能なバッテリ、ストレージやメモリへのアクセスが容易など、あまりUltrabookでは見かけない特徴を持つ。ただしその分、ルックスや質感は、現在各社が出荷している(高級モデルの)Ultrabookに劣るのも確かだ。

 それでも先の特徴を優先したい場合もあるはずだ。一般的なノートPCのようにある程度自由度を確保しているUltrabookを探しているユーザーの候補になりえる1台と言えよう。