西川和久の不定期コラム

Alder Lake-N最上位SKUのCore i3-N305を搭載したミニPC!「MINISFORUM UN305」

UN305

 MINISFORUMは5月8日、Alder Lake-N搭載のミニPC「UN305」および「UN300」を発表。Processor N100とCore i3-N305を搭載した2モデルある中、後者が編集部から送られてきたので試用レポートをお届けしたい。筆者初Alder Lake-N。楽しみながらのレポートとなった。

Alder Lake-N最上位SKUのCore i3-N305搭載!

 基本的に同社のミニPCは、Intelプロセッサ版とAMDプロセッサ版の2種類ある。今回ご紹介するのは前者でかつ、同社としては初採用のAlder Lake-N搭載機だ。

 モデル的にはプロセッサがProcessor N100(4C/4T/最大3.4GHz)と、Core i3-N305(8C/8T/最大3.8GHz)の2種類。最安価のN100/8GB/128GBモデルだと2万4,980円と言う、Windows 11 Proのコスト引いたらいくら残るの? 的なラインナップとなる。

 今回手元に届いたのは、最上位モデルのCore i3-N305/16GB/512GB。主な仕様は以下の通り。

MINISFORUM「UN305」の仕様
プロセッサCore i3-N305(8コア/8スレッド/クロック最大3.8GHz/キャッシュ 6MB/TDP 15W)
メモリ最大16GB(LPDDR5オンボード/増設不可)
ストレージM.2 2280 SSD 512GB/2.5インチSATA HDD/SSD(空き/7mm以内)
OSWindows 11 Pro(22H2)
グラフィックスCore UHD Graphics(32units)/HDMI×2(4K@60Hz)、Type-C(4K@60Hz)×1
ネットワークGigabit Ethernet×2、Wi-Fi 5、Bluetooth 4.2
インターフェイスUSB 3.1 Type-C(USB PD/DP Altモード対応)、USB 3.1×2、USB 3.0×2、microSDカードスロット、音声入出力
サイズ/重量136×121×39mm(幅×奥行き×高さ/ACアダプタ含まず)/0.44kg
価格3万6,780円から

 プロセッサはAlder Lake-NのCore i3-N305。同アーキテクチャとしては最上位のSKUとなる。最近N100なども含め安価でハイパフォーマンスとされ人気急上昇中だ。

 それもそのはず。第12世代のCore iから、PコアとEコアが導入され、うち高効率のEコアのみで構成したプロセッサで、パフォーマンスはSkylakeと同程度だと言われている。つまり第6世代以前のCore iより速いというわけだ(iGPUも強化されている)。8コア/8スレッドでクロックは最大3.8GHz。キャッシュ 6MB、TDP 15W。

 メモリはLPDDR5オンボードで8GBまたは16GB。従って増設不可。後から増設できないので、購入時点でどちらで行くか決める必要がある。ストレージはM.2 2280 SSDの128GB、256GB、512GB。後半のベンチマークテストのスコア的にSATA接続のSSDと同程度なので、気になる場合は購入後交換となるだろうか(ベアボーンはない)。加えて本体に7mm厚までの2.5インチHDD/SDDを搭載可能だ。OSはWindows 11 Pro。22H2だったので、この範囲でWindows Updateを当て評価した。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Core UHD Graphics(32EU)、外部出力用にHDMI×2(4K@60Hz)、USB Type-C(4K@60Hz)×1を備えている。もちろん3画面同時出力可能。

 ネットワークはGigabit Ethernet×2、Wi-Fi 5、Bluetooth 4.2。Wi-Fiが6ではないのは残念だが、替わりにこのクラスでもGigabit Ethernetが2つあるのは頼もしい。

 インターフェイスは、USB 3.1 Type-C(USB PD/DP Altモード対応)、USB 3.1×2、USB 3.0×2、microSDカードスロット、音声入出力。長らく同社のこのシリーズを触ってきたが、microSDカードスロットがあるのは筆者は初だった。

 サイズは136×121×39mm(幅×奥行き×高さ/ACアダプタ含まず)、重量0.44kg。価格は8GB/128GBで3万6,780円、8GB/256GBで3万9,180円。執筆時、メモリ16GBとSSD 512GBは項目から消えており価格は不明だ。同社によると記事掲載時点では在庫切れで入荷未定となっており、後日再販された際に改めて報告したい。

 確かに安いのだが、以前ご紹介した「MINISFORUM UM560XT」だと、Ryzen 5 5600H/16GB(SO-DIMM)/512GBで4万6,380円。本機の16GBモデルはおそらく4万円を超えるので、いくらも変わらないはずだ。そう考えるとパフォーマンス、メモリ交換可能、2.5Gigabit Ethernetなどを含め、個人的には安価なIntel Processor N100モデル(2万4,980円から)か、でなければUM560XT@Ryzen 5へ……というのが良いような気がする。

前面。電源ボタン、USB 3.1 Type-C(USB PD/DP Altモード対応)、USB 3.1×2
背面。USB 3.1×2、Gigabit Ethernet×2、HDMI×2、ロックポート、電源入力
左側面はmicroSDカードスロット、3.5mmジャック
裏面とiPhone 13 Pro。楕円の四隅にゴム足、その内側にVESAマウンタ用にネジ穴
内部とパネル。ゴム足4つを外すと内部にアクセスできる
付属品はACアダプタ(サイズ約75×45×3mm、重量173g、出力12V/3,000mA)、VESAマウンタ、HDMIケーブル、ネジ類
BIOS / Main。起動時[DEL]キーで表示
BIOS / Advanced
重量。実測で444g
いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続。前面にあるUSB 3.1 Type-CからType-Cケーブル1本で接続可能

 筐体はCNC金属製で結構ガッチリしている。iPhone 13 Proとの比較写真からも分かるようにコンパクトだ。重量は実測で444g。ACアダプタと合わせても617gほどなので持ち運びも楽々だ。

 前面は電源ボタン、USB 3.1 Type-C(USB PD/DP Altモード対応)、USB 3.1×2。リアはUSB 3.1×2、Gigabit Ethernet×2、HDMI×2、ロックポート、電源入力。そして左側面にmicroSDカードスロット、3.5mmジャックを配置。同社のシリーズで側面にポートがあるのは初めて扱った気がする。

 付属品はACアダプタ(サイズ約75×45×30mm、重量173g、出力12V/3,000mA)、VESAマウンタ、HDMIケーブル、ネジ類。さすがにEコアで構成したプロセッサだけに省エネ仕様で、ACアダプタがかなりコンパクトだ。

 内部へアクセスして、M.2 2280 SSDや2.5インチHDD/SDDを取り付けるには、収納している場所的に、パネル2枚外す必要がある。

 1枚目のパネルはゴム足を外せばそこにネジ。次はプロセッサ周囲に2枚目のパネルがあるので、四隅のネジを外す。基板が浮くので、Wi-Fi/BTのケーブルに注意しつつ取り外す。特に何かに引っかかてるわけでもなく簡単に外れる。これでやっとM.2 2280 SSDと2.5インチHDD/SSDベイのお目見えとなる。メモリは冒頭に書いたようにオンボード固定なので増設することはできない。

内部/表(アップ)。さらにパネルがあるので、四隅のネジを外す
内部/裏(アップ)。特に引っかかる部分もなく、基板ごとサクッと抜ける。基板側にM.2 2280 SSD。ケース側に2.5インチSATAマウンタおよびコネクタ

 ノイズや発熱に関しては、ベンチマークテストなど負荷をかけている状態でも全く気にならないレベルだ。この辺りもEコアの特性だろうか。ファンレスではないものの、静かなので、どこに置いても大丈夫だ。

性能はRyzen 5 5600H搭載の「MINISFORUM UM560XT」と比較してざっくり半分

 初期起動時、Windows 11 Pro標準のまま。壁紙の変更や追加されたアプリ/グループなどはない。今回初Alder Lake-Nだったのでどんな感じか気になったものの、ある意味普通。SSDが遅めなので不利なのだが、それ以外、通常用途は特に遅いと思うことはなかった。

 ストレージは512GB SSDの「KINGSTON OM8P0S3512F」。検索しても仕様は見つからなかったが、シーケンシャルリード/ライト共に500MB/sちょっとと遅めだ。C:ドライブのみの1パーティションで約479GBが割り当てられ空き448GB。

 Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiはIntelのDual Band Wireless-AC 7265、BluetoohもIntel製だった。

初期起動時のデスクトップ。Windows 11 Pro標準
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージは512GB SSDの「KINGSTON OM8P0S3512F」。Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiはDual Band Wireless-AC 7265、BluetoohもIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約497GBが割り当てられている

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。印のある項目は「MINISFORUM UM560XT」@Ryzen 5 5600H搭載と比較して半分前後(もしくはそれ以上の差)があるものとなる。

 Cinebench R23はシングルCPUこそ差はないものの、マルチコアでは4,705 vs 9,351。ちょうどこの差がほかの項目に影響している感じだろうか。またSSDがSATA接続程度の速度しかないのも少し痛い。

PCMark 10
PCMark 8
3DMark
Cinebench R23
CrystalDiskMark

 以上のようにMINISFORUM「UN305」は、Alder Lake-N最上位SKUのCore i3-N305を搭載、メモリ8GBまたは16GB、ストレージ128GB/256GB/512GBを選べるコンパクトなミニPCだ。Eコアベースなので省エネとなり、付属のACアダプタが小さく、ノイズや発熱も全く気にならないレベルに収まっている。

 パフォーマンスはこの価格帯なら文句なしだが、同レベルで「MINISFORUM UM560XT」@Ryzen 5 5600Hが買えてしまうため、ハイコストパフォーマンス狙いであればRyzen 5、できるだけコストを抑えるなら下位モデルのN100搭載機と言ったところだろうか。UN305に関してはちょっと立ち位置的に半端な感じがしないでもない。

 とは言え、Alder Lake-Nに興味がある人におすすめできる逸品なのには違いなく、この記事を読んで「お!」っと思った人に是非試してほしい1台だ。