西川和久の不定期コラム
OLED搭載で2万5,800円!カメラも完成度高しの「モトローラmoto g31」
2022年2月22日 06:17
OLED搭載で2万5,800円!
OLED搭載と聞くとミドレンジ以上に使われる綺麗なパネルという印象を持つ。実際、同社のOLED搭載機でこれまでご紹介したことあるのは2021年10月に発表した「edge 20」だ。Snapdragon 778G 5G/6GB/128GBの5G対応で5万4,800円。
ほかメーカーだと2020年6月の「Xiaomi Mi Note 10 Lite」、2020年8月の「Google Pixel 4a」、2020年11月の「OPPO A73」あたりが4〜5万円未満レンジとなる。型落ちで安くなっているのを含めるともう少しあるが、いずれにしても安価なエントリーモデルでOLED搭載機はない。
ところが今回ご紹介するmoto g31は、5G非対応だが、OLED搭載でなんと2万5,800円。SoCは試用したことがないのでパワーは不明だが、MediaTek Helio G85。メモリ4GB、ストレージ128GB、カメラも望遠がない以外は超広角/広角/マクロ/深度を装備し、これといってマイナスポイントはなく、驚くべきハイコストパフォーマンス機となる。主な仕様は以下の通り。
モトローラ「moto g31」の仕様 | |
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SoC | MediaTek Helio G85(2x Cortex-A75@2GHz+6x Cortex-A55@1.8GHz)、GPUにMali-G52 MC2を内包 |
メモリ | 4GB |
ストレージ | 128GB |
OS | Android 11 |
ディスプレイ | 6.4型OLED(2,400×1,080ドット) |
ネットワーク | Wi-Fi ac対応、Bluetooth 5.0、NFC(FeliCa未対応) |
SIM | Nano SIMカードスロット×2(1つはmicroSDカードと排他) |
対応バンド | 4G:LTE B1/B2/B3/B5/B7/B8/B18/B19/B20/B26/B28/B38/B40/B41 3G:W-CDMA B1/B2/B5/B8/B19 2G:GSM 850MHz/900MHz/1,800MHz/1,900MHz |
インターフェイス | USB 2.0 Type-C、3.5mmジャック、モノラルスピーカー、microSDカードスロット |
センサー | 指紋認証センサー、近接センサー、加速度計、環境光センサー、SARセンサー、ジャイロセンサー、eコンパス |
位置情報 | GPS、A-GPS、LTEPP、SUPL、GLONASS、Galileo |
カメラ | 前面 約1,300万画素(F値2.2) 背面 広角:約5,000万画素(F値1.8) 超広角:約800万画素 マクロ:約200万画素(F値2.4) 深度センサー |
防塵防水 | IP52 |
サイズ/重量 | 約73.9×8.55×161.9mm(幅×厚さ×高さ、最薄部)/約181g |
バッテリ | 5,000mAh |
カラーバリエーション | ミネラルグレイ、ベイビーブルー |
価格 | 2万5,800円 |
SoCはMediaTek Helio G85。2x Cortex-A75@2GHz+6x Cortex-A55@1.8GHzの計8コア。GPUにMali-G52 MC2を内包している。後述するベンチマークテストの結果を見ると、近いのはSnapdragon 670だろうか。搭載するスマホで有名なのはPixel 3a。いずれにしてもエントリークラスとなる。メモリ4GB、ストレージ128GB。64GBだとギリギリなので、使い勝手は随分違いそうだ。OSはAndroid 11。
ディスプレイは6.4型OLED(2,400×1,080ドット)。もともとOLEDはハイエンドに使われていたが、徐々にミドルクラスにも搭載し出し、遂にこの価格帯にまで落ちてきた。本機最大の注目ポイントとなる。
ネットワークはWi-Fi ac対応、Bluetooth 5.0、NFC。NFCは残念ながらFeliCa未対応。SIMはNano SIMカードスロット×2。ただし1つはmicroSDと排他となる。対応バンドは表の通り。5Gには対応していない。とは言え、2022年に入っても5Gはまだまだの状況。下手に5Gと4Gのスイッチングが入るとバッテリの減りが早いので、手持ちのiPhone 13 Proですら5Gを切ってる状況だ。従って4G Onlyでも特にデメリットを感じることは今のところないだろう。
インターフェイスはUSB 2.0 Type-C、3.5mmジャック、モノラルスピーカー、microSDカードスロット。センサーは指紋認証センサー、近接センサー、加速度計、環境光センサー、SARセンサー、ジャイロセンサー、eコンパス。位置情報はGPS、A-GPS、LTEPP、SUPL、GLONASS、Galileoを搭載。
カメラは前面が約1,300万画素(F値2.2)。背面が広角:約5,000万画素(F値1.8)、超広角:約800万画素、マクロ:約200万画素(F値2.4)、深度センサー。望遠は無いもののマクロと深度を装備している。
サイズは約73.9×8.55×161.9mm(幅×厚さ×高さ、最薄部)、重量は約181g。IP52に対応し、バッテリは5,000mAh。カラーバリエーションはミネラルグレイとベイビーブルーの2色。そして価格が2万5,800円。いくらエントリークラスとは言え、これだけのものを搭載してこの価格で利益はあるのかと心配になるほどだ。
手元に届いたのはベイビーブルー。写真からもわかるように角度によって色が変わって見える。筐体は厚過ぎず大き過ぎずちょうどいい感じに手に収まる。重量は実測で182g。6.4型としては標準的だろうか。
前面はパネル上部にパンチホール式の前面カメラ。フチは細過ぎず太過ぎず。背面は左上にカメラ群。左側面にSIMカードスロット。上側面に3.5mmジャック。右側面にアシストボタン、音量±ボタン、指紋センサー兼の電源ボタン。下側面にType-Cとスピーカーを配置。SIMスロットはイジェクトピンを使用するタイプで奥がSIM1、手前がSIM2/microSDとなる。
付属品はACアダプタ、Type-A/Type-Cケーブル、イヤホン、イジェクトピン、ケース。今時全部入りとは珍しい。ケースは保護と言う意味では付けた方がいいものの、見た目がイマイチで厚みも増す。
6.4型OLEDは、本体が安価でもさすがOLED。一度見てしまうと同クラスのIPS式液晶パネルがみすぼらしく見えるほど。もし量販店で見かけたら、周囲のスマホと比較してほしい。仕掛け的に黒(RGB:0/0/0)は発光していないので真っ黒。黒の締まりがいいとガラッと印象が変わる。また明るさは仕様上明記していないものの結構明るい。左/上の写真は通常輝度を最大にして撮ってるのだが、明るくて白飛びしそうな勢いだ。
発熱は試用した範囲では特に気にならなかった。サウンドは付属のイヤフォンではなく、SONY MDR-EX800STで視聴したところ最大だとうるさいほど。またバスドラのドスンが(いい意味で)妙に重みのある感じとなる。反面抜けはイマイチだがロック系には良さそうだ。スピーカーからの出力はパワーが不足気味だが中域中心で聴きやすい感じだ。モノラルなのが残念なところ。
全体的に2万5,800円のスマートフォンを触っている感は皆無。4〜5万円クラスと比較しても外観的には見劣りする部分はない。個人的には+1万円でもいいのでFeliCa、ステレオスピーカー対応して欲しいところか(逆にマクロは不要)。
価格を考えると十分な写り!
搭載しているカメラは、前面は約1,300万画素(F値2.2)。背面は広角:約5,000万画素(F値1.8)、超広角:約800万画素、マクロ:約200万画素(F値2.4)、深度センサー。標準設定時の出力画素数は順に3,120×4,160ドット、3,072×4,080ドット、2,448×3,264ドット、1,200×1,600ドットとなる。
広角の画素数が3,072×4,080ドットと、約5,000万画素の4分の1になっているのは、4つの画素を1つに扱い、発色や暗所に有利となるクアッドクセル技術を使っているためだ。マクロは切り替え直後のガイドによると4cmまたは指2幅本分(筆者だと約3cmとなるのでUSサイズ?)の距離が最適と表示される。
モードは、動画、写真、別メニューで写真はポートレート、カットアウト、スポットカラー、ナイトビジョン、シネマグラフ、パノラマ、グループ自撮り、ライブフィルタ、プロ、デュアル撮影。動画はスローモーション、タイムラプス。画面キャプチャからも分かるようにAI機能もあり、シーンによって切り替えるかの表示が出る。前面カメラに関しては、写真/ポートレートモードでフェイスビューティ Auto/ON/OFFにも対応している。
設定は、AI設定(自動スマイルキャプチャ/ジャスチャー自撮り/スマート構図/ショット最適化/低光量AI/Googleレンズ)、写真(背面・前面カメラの解像度/背面・前面カメラのHDR/自撮り写真をミラー表示)、ビデオ(手ぶれ補正)、撮影設定、保存設定。編集は独自のアプリはなく、Googleフォトを使う。
以下作例を日中、夜景、人物(前面/背面)と計22枚掲載する。基本HDRも含めAuto。バイクと恐竜のオブジェ、チューリップはポートレートモード。日中はほぼ全てHDR ONになっているようだ。人物はポートレートモードで前面カメラはフェイスビューティONにしている。あいにくの天気で銀レフを使ったこともあり、少し肌色が出てない感じだが、背景のボケも含め綺麗に写っている。
使用感は、起動、AF、保存……特にこれと言って気になる点はない。普通に撮影可能だ。逆に2万5,800円でこれだけ撮れれば文句の付けようもない。重箱の隅をつつく的な部分があるとすれば、(作例にないが)日中、HDRオフの時、シャドウが沈み過ぎる感じがしないでもない。
素のAndroid 11+Moto+αでわかりやすい操作性
初期設定は、基本全てスキップ、Wi-Fiでのセットアップとした。認証は顔と指紋に対応する。SIMは、APNを設定すると即開通する。
OSはAndroid 11。初期起動時、ストレージは128GB中19.86GB(若干の画面キャプチャを含む)使用している。IMEがGboard。同社は以前から素のAndroidを謳っており+αのアプリが入っている程度となっている。
ホーム画面は2画面。Dockに電話、メッセージ、Chrome、カメラを配置。1画面目はGoogleフォルダ、Duo、Moto、Playストア。2画面目はGoogle Pay、ニュース、Podcasts、設定。上から下へのスワイプで通知パネル、下から上へのスワイプでアプリ画面、壁紙長押しでホームの設定/ウィジェット/壁紙/スタイル……など操作は標準的なものとなる。
インストール済みのアプリは、「アシスタント」、「インタラクティブ壁紙」、「カメラ」、「カレンダー」、「ゲーム」、「スプレッドシート」、「スライド」、「デバイスのヘルプ」、「ドキュメント」、「ドライブ」、「ニュース」、「フォト」、「マップ」、「メッセージ」、「時計」、「設定」、「電卓」、「電話」、「連絡帳」、「Chrome」、「Dolby Atmos」、「Duo」、「Facebook」、「Files」、「Fit」、「FMラジオ」、「Gmail」、「Google」、「Google One」、「Google Play」、「Google Playムービー&TV」、「Home」、「Moto」、「Playストア」、「Podcats」、「YouTube」、「YT Music」。
Google標準アプリに加え、お馴染みMotoなどを加えた構成となっている。FMラジオは日本の周波数にも対応。
Snapdragon 670相当だがGPUは約倍速!
ベンチマークテストは簡易式でGeekBench 5とGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。GeekBench 5はSingle-core 352、Multi-core 1,325、Vulkanは1,241。Google Octane 11,738。
GeekbenchのAndroid Benchmarksによると近いのはSnapdragon 670だろうか? ただしVulkanに関しては約倍のスコアが出ているので、グラフィック性能はMediaTek Helio G85の方が上となる。Google Octaneは1万を超えているのでとりあえずOK。
バッテリ駆動時間は、明るさ、音量共に50%。Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ約14時間でバッテリが切れた。MediaTek Helio G85の特徴とバッテリが5,000mAhと言うこともありなかなか長持ちだ。
以上のようにモトローラ「moto g31」は、MediaTek Helio G85/4GB/128GB、そして6.4型OLEDを搭載したAndroidスマホだ。カメラは超広角/マクロ/深度にも対応。にも関わらず価格は2万5,800円。OLED採用機としては激安!
5Gに未対応なのが最大の弱点となるものの、現状を考えると特になくても困らない状況だ。
パワーやカメラはそこそこでいいので、とにかく画面が綺麗で安価なスマートフォンを探しているユーザーに是非使って欲しい1台と言えよう。