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マウスコンピューター「iiyama ProLite XB2783HSU」

~高性能スタンド採用の27型フルHD液晶

XB2783HSU
液晶サイズ27型
パネル方式AMVA+方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.311×0.311mm
表面処理ノングレア
バックライト方式LED
応答速度12ms(標準)、4ms(中間色)
コントラスト比3,000:1(標準、ダイナミックコントラスト有効時500万:1)
視野角水平178度/垂直178度
輝度300cd/平方m
表示色約1,677万色
走査周波数水平:30~80kHz
垂直:55~75Hz
チルト角度下5度、上22度
高さ調節130mm
スイベル左45度、右45度
ピボット機能あり
入力端子DVI-D×1
HDMI×1
ミニD-Sub 15ピン×1
ステレオミニジャック
USB 2.0アップストリームポート
出力端子サウンド出力
USB 2.0×2
スピーカー2W+2W
VESAマウント対応(100×100mm)
電源内蔵
消費電力34W(標準)
付属品DVIケーブル
HDMIケーブル
ミニD-Sub15ピンケーブル
USBケーブル
オーディオケーブル
電源ケーブル
本体サイズ622.5×230×400.5~530.5mm(幅×奥行き×高さ)
重量6kg

 マウスコンピューターは、iiyamaブランドの液晶ディスプレイ新モデル「ProLite XB2783HSU」を発表した。高コントラストで広視野角のAMVA+パネルの採用や、ピボット機構もサポートする高性能スタンドの採用しつつ、比較的安価な価格でコストパフォーマンスに優れる点が特徴となっている。発売時期は11月中旬を予定しており、価格はオープンプライス、直販価格は33,800円。

本体デザイン

 iiyamaブランドの液晶ディスプレイは、比較的シンプルなデザインのものが多く、「ProLite XB2783HSU」(以下、XB2783HSU)も同等のコンセプトを踏襲している。背面側は曲面となっているのに対し、正面からの見た目はほぼ直線的で、液晶ディスプレイとしてオーソドックスな、シンプルなデザインとなっている。また、筐体は非光沢となっており、本体の装飾や光の反射などに目を奪われることもなく、作業に没頭できるという意味では悪くないデザインだ。ただ、筐体素材の樹脂がそのまま感じられるため、高級感はない。

 本体サイズは、622.5×230×400.5~530.5mm(幅×奥行き×高さ)。左右と上部ベゼルが11.5mmと狭額仕様となっていることもあり、27型液晶ディスプレイとしてはなかなかコンパクトとなっているため、設置場所も確保しやすいだろう。

 XB2783HSUの特徴となるのが、スタンド部の仕様だ。スタンドは、130mmの高さ調節、下5度~上22度の範囲でのチルト角度調節、左右45度ずつのスイベル機構、縦画面でも利用できるピボット機構を備える、高機能なものとなっている。また、適度な固さが備わっており、ぐらつきが少ない点もポイントが高い。高さ調節は、最も低い位置でストッパーがかかるようになっており、ストッパーを外すには液晶部を下に押さえつつスタンド後方のボタンを押す必要があるため、この点は少々面倒に感じるが、全体的には非常に扱いやすいスタンドと言える。

 電源ボタンや操作ボタンは、液晶面下部右側に集められている。ボタンは物理ボタンを採用しており、しっかり押せる反面、下部に配置されているため、操作しにくく感じる場面がある点は少々残念だ。

液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の27型ワイド液晶を採用。パネルの方式はAMVA+方式。AMVA+方式は、一般的なVA方式と比べて、高コントラスト、広視野角、高透過率などの特徴がある。実際に画面を見ると、一般的なVA方式のパネルと比べ、視点を移動させた場合の発色の変化はかなり少なく、IPS方式のパネルと比べても、ほとんど遜色のない視野角が確保されていると感じる。

 バックライトはLEDで、輝度は300cd/平方mと十分な輝度を確保。コントラスト比は標準で3,000:1、ダイナミックコントラスト有効時で500万:1。視野角は上下/左右とも178度。応答速度は、標準12ms、中間色4msと、TNパネルと比べると高速ではないが、パネルの方式を考えると問題のないレベルと言える。パネル表面は非光沢処理となっており、外光の映り込みはほとんど気にならない。

接続端子

 映像入力端子は、DVI-D×1系統、HDMI×1系統、ミニD-Sub15ピン×1系統の3系統を用意。数は少ないものの、必要十分な端子が備わっており、不満は感じない。端子は、液晶背面に下に向かって取り付けられているため、ケーブル接続は少々不便だが、ピボット機構を利用して画面を縦位置にすれば、比較的楽に接続が可能だ。

 映像以外の端子としては、サウンド入出力端子とUSB 2.0ポートを備える。XB2783HSUでは2W+2Wのステレオスピーカーが搭載されており、HDMI経由とサウンド入力からのサウンドが再生できる。スピーカーの音質は特別高音質ということはないが、このクラスの液晶内蔵スピーカーとしては標準的。より高音質を求めるなら、サウンド出力を利用して外部スピーカーを接続した方がいいだろう。サウンド端子は、背面の電源コネクタ横に配置されている。

 USB 2.0ポートは、USBハブとして利用できるもので、背面にPCと接続するアップストリームポートが用意され、液晶左側面に2系統のUSB 2.0ダウンストリームポートを備える。USB 3.0対応なら、より幅広い活用ができるとは思うが、利便性を高めるという意味で歓迎できる。

OSD

 OSDは、構成はシンプルながら、設定できる内容はまずまず充実している。明るさやコントラスト、RGBカラー調節、色温度の変更など、基本的な設定項目はしっかり網羅されている。また、ゲーム、映画、テキストなどのプリセットが用意され、用途に応じて簡単に表示設定を変更して利用できるのも便利だ。さすがに、表示品質の優れるグラフィックス業務向け製品と比べると設定項目は少ないが、このクラスの製品としては必要十分で、不満を感じることはないだろう。

 OSDの操作は、ベゼル下部のボタンを利用するが、ボタンが横に並んでいることと、ベゼル下部に配置されているため、やや操作に戸惑うことがあった。OSD表示時に、表示項目に合わせてボタンの操作ガイドが液晶に表示される仕様を実現してもらいたかったように思う。

画質

 本製品は、価格的にメインストリーム向けに位置付けられる製品だが、表示品質はこのクラスの製品の中でもかなり優れる部類に入る。発色はかなり鮮やかで、Blu-rayなどのフルHD動画やデジタル一眼レフで撮影した画像もクオリティを損なうことなく表示できると感じる。パネル表面は非光沢のため、発色の鮮やかさは光沢パネルの液晶に対してやや不利だが、それでも十分に満足できる発色性能が確保されている。また、コントラストが高く、特に引き締まった黒が再現されている点は特筆すべき部分。安価な液晶では、暗い部分がやや明るく表示される“黒浮き”が目立つものも少なくないが、本製品では黒浮きがかなり低く抑えられており、暗い部分も引き締まった黒で表示される。一方で、暗い部分の階調もしっかり認識でき、暗い場面の多い映画なども細部までしっかり確認できる点は素晴らしい。

 視野角も十分に広く、多少視点を移動させても発色や輝度の変化は少なく、ほぼ気にならないレベルと言える。中央部と周辺部の輝度ムラもほとんどなく、発色の鮮やかさやコントラストの高さと合わせ、表示品質はかなり高いと言っていいだろう。

 それに対し、応答速度の遅さは若干気になった。特に、動画などで高速に画面がパンするようなシーンや、横に流れる文字テロップなどでは、残像が気になった。また、ゲームプレイ時にも、残像が気になる場面が多かった。同様に、ゲームプレイ時にも残像が気になる場面が多く、ややプレイしにくく感じることもあった。それでも、オーバードライブを有効にすれば、残像はかなり軽減されるので、動画視聴時やゲームプレイ時には、オーバードライブ機能を有効活用するべきだろう。それに対し、HDMI入力での表示遅延は比較的少ない方で、家庭用ゲーム機を接続してシビアな入力を要求されるゲームをプレイしてみても、ほぼ違和感なくプレイ可能だった。

 27型フルHDパネルを採用する製品としては、実売で3万円を切る安価な製品も存在しているが、本製品はそういった安価な製品よりも優れた表示品質を備えている点が大きな魅力となる。また、ピボット機構も備える高性能スタンドを採用している点も特筆すべき部分で、この価格帯の競合製品に対する大きな優位点となる。残像が気になる場面もあったが、表示品質や機能面など、トータルではこの価格帯の製品としてトップクラスの魅力を備えている。非光沢パネルのため映り込みも気にならず、文字入力作業も快適に行なえ、ビジネスからホビーまで、幅広い用途に対応できる製品だ。

 27型ではサイズが大きく設置場所が確保できないという場合には、同じAMVA+パネルや高性能スタンドを採用する24型モデル「ProLite XB2483HSU」もおすすめだ。

(平澤 寿康)