大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」

動かないなら誰の責任?子どもたちと島根富士通社長らが世界最軽量「FMV Zero」を組む

島根富士通で行なわれた「FMVパソコン組み立て教室」

 富士通クライアントコンピューティングと島根富士通は、2026年8月22日、島根県出雲市の島根富士通において、「FMVパソコン組み立て教室」を開催した。

 19回目を迎える今年(2026年)の組み立て教室では、20組の親子が参加。14.0型ワイド液晶搭載ノートパソコンでは世界最軽量となる634gを実現した「FMV Zero(WU5-K3)」と、35時間の連続稼働が可能な軽量モデル「FMV Note U(WU2-K3)」のいずれかを選択し、組み立てに挑戦した。

 「FMV Zero」を選んだ参加者が6人。「FMV Note U」を選んだ参加者が14人。FMV Note U は筐体からを3色の中から選択でき、ピクトブラックを選んだ参加者が8人、フロストグレーが1人、シルバーホワイトが5人だった。

 参加者の学年別内訳は、小学5年生が7人、小学6年生が5人、中学1年生が3人、中学2年生が2人、中学3年生が4人となっている。また、地域別では、島根県内からは7人が参加。そのほか、東京都、埼玉県、秋田県、愛知県、京都府、大阪府、山口県、愛媛県、福岡県、熊本県、鹿児島県からも参加していた。男子が13人、女子が7人の参加となった。

今回で19回目を迎えた。2006年から開催している
前日の設営作業の様子。すべてが社員による手づくりだ
開催前日には組み立て教室で使用するAMRの入念なチェックが行なわれていた
受付の様子。12時過ぎから参加者が来場し始めた
今回の組み立て教室が初披露の場となった等身大の「ふくまろ」。今後はイベントなどでも登場する機会が増えそうだ
ふくまろとともに、安来市のどじょうすくいキャラクター「あらエッサくん」も、参加者を出迎えた
写真撮影をする参加者たち。富士通クライアントコンピューティングの髙嶋執行役員常務がカメラマン役として大活躍
ショールームでは島根富士通の歴史にも触れることができる。歴代パソコンも展示されている

 また、今回のFMVパソコン組み立て教室では、初めての企画として、AIによるゲームづくり体験を行なった。FCCLの4人のソフトウェアエンジニアが先生役となり、バイブコーディングに挑戦。参加者たちは、AIと会話をしながら、コードを書かずに、25分間で、シューティングゲームを制作し、それぞれに工夫を凝らして、完成度を高めていった。

 開会式で挨拶した島根富士通の宮下浩之社長は、「今日は、FMVの最新モデルであるFMV ZeroおよびFMV Note Uの組み立てに挑戦してもらう。家庭や学校でパソコンを使う機会はあっても、パソコンを組み立てる機会はなかなかない。一部に難しい作業もあるが、社員がサポートする。自分の手で作ってもらい、ものづくりの面白さだけでなく、1つのモノを完成させる難しさと達成感を味わってほしい。

 また、組み立てだけでなく、工場を見学してもらうほか、今年はAIを使ったイベントを新たに用意した。これからの社会は、AIを理解し、どう使いこなすかが重要になる。最新のテクノロジーに触れて、楽しんでもらう機会にもした。島根富士通は、モノづくりの大切さや、技術の大切さを直接伝えることを重視している。今日の組み立て教室が、将来の夢や希望を実現するきっかけになることを期待している」と語った。

参加者による記念撮影の様子
組立会場に向かう参加者たち
入場する参加者を拍手で迎え入れる(左から)富士通クライアントコンピューティング 執行役員常務/COOの栗田克彦氏、富士通クライアントコンピューティング執行役員常務/コンシューマ事業本部長の髙嶋敏久氏、島根富士通の執行役員副社長の山根淳氏、島根富士通の宮下浩之社長
挨拶する島根富士通の宮下浩之社長

 午後1時から開始した組み立て教室では、島根富士通の社員がMCとなり、構成部品の役割を分かりやすく説明するとともに、FMVが、性能や丈夫さを維持しながら、1グラムでも軽くするためにさまざまな工夫を凝らしていることを紹介。

 実際の製造ラインでは、232点の部品によって組み上げる作業を、組み立て教室では44点の部品を使い、13工程によって組み上げることで、「出雲の匠」の技に挑戦してもらうと説明した。組み立て教室では90分間をかけて組み上げたが、製造ラインでは1台13分で完成させているという。

 説明のあとには、ドライバーを使って、ネジ締めの練習を行ない、いよいよ実際の組み立てを開始した。

 今回の組み立て教室では、急遽結成した富士通クライアントコンピューティング(FCCL)および島根富士通(SFJ)の経営陣による「ドリームチーム」(!?)が、本誌の取材に全面協力。FCCLの栗田克彦執行役員常務/COO、髙嶋敏久執行役員常務/コンシューマ事業本部長、SFJの宮下浩之社長の3人による「継投策」によって、世界最軽量の「FMV Zero」を組み上げることになった。

 現場では、「動かなかった場合の責任は誰が取るのか」といった緊急経営会議が開かれるなど、緊迫した(?)状況の中で作業がスタートした。

 写真を通じて、組み立ての様子を紹介する。

組み立て教室の会場の様子。20組の親子が参加した
先生役を務めた島根富士通の社員たち。1人の社員が、1組をサポートした
作業台の様子。すべて島根富士通の社員が設置した
FMV Zeroに搭載しているマザーボード
キーボード部となるCカバー。ここに部品を組み込んでいくことになる
液晶パネル。すでにAカバー(天板)に組み込んである
バッテリパック。世界最軽量モデルは2セルとなっている
底面となるDカバー
SSDなどの細かい部品はトレイの中に用意されていた
今回の組み立て教室で使用するネジ
ドリームチームの「先発」の役割を担ったのが、FCCLの栗田COO。厳しい表情で準備を開始
まずはパーツが入ったケースを受け取る
パーツが入ったケースは、AMRが運んできた。現在、島根富士通では15台が稼働中だという
パーツケースの中からCカバーを取り出す
テープをはがす作業から開始
キーボード部を支えるネジを締める。これによって剛性を高めている
実はこのネジはかなり小さい。製造ラインでは、専用ネジ締めロボットを使用し、1台あたり約70本のネジを締めている。ネジそのものを小さくすることで軽量化につなげている
続いてマザーボードを取り出す。約1300点の部品が実装されているという
マザーボードを取り付ける。ケーブルを挟み込まないように注意する
小さい金具を取り付ける
キーボードフレキケーブルの取り付け作業
マザーボードへのケーブル接続が続く。電源フレキの接続作業
ここまでで前半が終了。10分間の休憩だ
後半の最初の工程からは、FCCLコンシューマ事業本部の髙嶋敏久事業本部長が「中継ぎ登板」
スピーカーケーブルの接続という細かい作業からスタート
次に液晶パネルを取り出す
液晶パネルを置いて、本体を取り付ける。ここでも線を挟み込まないように注意
液晶パネルケーブルの接続作業
続いて、カメラケーブルの接続作業。難しい作業が続く時間帯だが、これらを見事にクリア
いよいよ島根富士通の宮下社長が登場。まさに「抑えの切り札」だ
相手が社長だけに、サポートする社員にも若干の緊張感が走る
髙嶋事業本部長が接続したケーブルを、宮下社長がテープで固定するという連携プレイ
アンテナケーブルの配線を行なう。ここでも細かい作業が続く
ヒンジ金具の取り付け作業
ヒンジ金具をネジ止めする
難しい作業が終わり、かなり余裕が出てきた宮下社長
SSDを取り付けて、ネジ締めを行なう
部品の組み込みが完了した「FMV Zero」
最後の仕上げは再び栗田COOが担当
バッテリパックの取り付け作業を行なう
4カ所をネジで固定する
特別な形状のネジを使用し、バッテリが外れにくいようにしている
「FMV Zero」をはじめとするPC全体の開発を統括しているプロダクトマネジメントセンターの小中陽介センター長(右)も、栗田COOの作業を注視
いよいよ最後の部品となるDカバーが登場
スピーカーケーブルの取り付け作業
Dカバーをかぶせる
底面のゴム足となる「モールドフット」を取りつける。左右で形状が異なる
モールドフットをネジで固定する。ネジで締めることで段差がなくなる
最後にDカバーを7本のネジで固定して完成だ
ここで完成した「FMV Zero」の重量を計ってみた
計量した結果は631g。公式数値の634gを下回っていた。もちろん部品の取り付け忘れはない
島根富士通の山根副社長のカウントダウンで、全員でスイッチオン
全員のパソコンが無事に起動した
完成した「FMV Zero」を手に持つ栗田COO
見事な「継投策」で完成した
組み立てが終わった後はイベントに参加。電動ドライバーを使ったネジ締め競争を行なった
製造工程の様子を親子で見学
お菓子を詰め込んで634gを目指すゲームも実施
634gの「FMV Zero」を何回も手に持って目指す重量を確認
組み立てたパソコンを使ったAIによるゲームづくり体験を行なった
VS Codeに話しかけて、ゲームを作り上げた
FCCLのソフトウェアエンジニアがサポートした
栗田COOもゲームを作り上げた
閉会の挨拶に登壇した富士通クライアントコンピューティング 執行役員常務/COOの栗田克彦氏
組み立て教室が終了し、全員で参加者を見送った

 閉会の挨拶で、栗田COOは、「参加者のみなさんのキラキラした目や、ネジを締めるときの真剣なまなざし、親子が笑顔で会話しながら作業を進める様子、そして、電源を入れて起動したときの歓声を聞いて、とても感動した。AIによるゲームづくり体験では、みなさんが柔軟な発想を生かして、独自に進化をさせたゲームがたくさん出来上がった。AIがモノづくりのパートナーになるということも知ってもらえたのではないだろうか。今日のイベントがきっかけになり、テクノロジーやモノづくりに興味を持ってもらえたらうれしい」と語った。

 また、栗田COOは、閉会後に本誌の取材に応じ、「私自身、パソコンの組み立てを初めて行なったが、小さなネジを使用して、0.1g単位での軽量化を実現したり、信頼性を高めるためにこだわった設計を施したりしていることなどを肌で感じることができ、いい機会であった。

 今回は、20組の親子に参加してもらい、日本の将来を担う子どもたちに、最新のテクノロジーやモノづくりの現場を見て、触れて、感じてもらえる場を提供することができた。この体験をきっかけに、製品を見て、こう変えたらいいんじゃないかという発想が生まれたり、新たな使い方を考案したりといったことにつなげてもらえたらうれしい。FMVパソコン組み立て教室は、これからも継続して開催していきたい」とした。

 FMVパソコン組み立て教室は、来年(2027年)も継続開催されると20回目の節目を迎えることになる。