オリンパス、中間決算でデジタルカメラの事業戦略を発表
~デジタル一眼レフ標準化フォーラムを来春設立

菊川剛 代表取締役社長
11月21日発表



●好調な決算ながらも、デジカメ、MOとも収益は悪化

 オリンパス光学機器株式会社は21日、2002年3月期(2001年度)中間期決算を発表した。

 これによると、中間期連結の売上高は2,480億7,300万円で、対前年比14%の増収。営業利益は164億4,000万円(対前年比13.3%増)、当期利益は62億400万円(対前年比17.3%増)で、「過去最高の増収/増益」(菊川剛 代表取締役社長)となった。

 しかし、分野別の営業利益を見てみると、デジタルカメラや銀塩カメラ、ICレコーダーなどを扱う「映像システムカンパニー」がマイナス40億4,000万円、内視鏡や顕微鏡などの医療機器を扱う「医療システムカンパニー」が244億5,500万円、工業用光学機器やMOドライブを扱う「産業システムカンパニー」が3億7,200万となっており、利益が出ているのは医療システムと産業システムのみ、という状況になっている。

 映像システムカンパニーでは、デジタルカメラと録音機の売上高がそれぞれ26.6%増、11.8%増となっている一方、銀塩カメラは4.9%減となっている。売上高が伸びたデジタルカメラでも、価格競争により利益率が低下したうえ、C-2100 Ultra ZoomやC-21T.commuなど不人気機種の在庫消化が進まないこと、などが損益の原因となっている。

 また、産業システムカンパニー全体では売上増となっているものの、トップシェアを誇るMOドライブは市場全体の低迷と価格競争により、対前年比-5.9%の売上減となっている。

 こうした状況や、9月11日の同時多発テロなどの影響を考慮し、通期での見通しは売上高が5,100億円(対前年比9.3%増)、営業利益が360億円(対前年比1.4%)、当期利益は110億円(対前年比6.7%減)となっている。特にデジタルカメラは112億円の赤字と見込まれている。

●デジタル一眼レフ標準化フォーラムを来春設立

小島佑介
映像営業本部長 執行役員

 中間期実績で増収/減益で営業利益の「足をひっぱった」(小島佑介 映像営業本部長)形となり、通期見通しも赤字となったデジタルカメラ事業については、小島映像営業本部長より今後の事業戦略が説明された。

 まず、デジタルカメラの出荷台数は2001年以降も伸びるとしながらも、ソニー、富士フイルム、コダック、キヤノンとオリンパスの5社で合計90%のシェアを占める「サバイバル」レースとなる予測を提示。特に米国でトップシェア、国内でもオリンパスと熾烈なシェア争いを繰り広げるソニーや、国内で両社を急追するキヤノンを意識した発言が聞かれた。

 これに対応するため、本年度は在庫対策を進め、商品ラインナップを「コンセプトが明快で、量販店の店頭で説明不要なもの」(小島本部長)に絞り込む。ラインナップについては、現在低価格帯に偏りが見られるため、各価格帯に1機種ずつ置き、C-700で好調の10倍ズーム機も強化する、といった具体的な発言があった。

 さらに、中長期的に「開発/製造を銀塩カメラと統合し、効率化を図る」、「サプライチェーンやカスタマーリレーションの強化」、「開発/生産における構造改革」、「新規ビジネス」、「各種アライアンスの強化」などの対策をとる。

 特に新規ビジネスの1つとして、オリンパスの強みである「CCDとのマッチングを考慮した高性能なレンズの開発力」を活かし、レンズの外販にも乗り出すことを発表した。

 さらに、アライアンスの1例として「デジタル一眼レフの標準化」を挙げた。これは、デジタル一眼レフのCCDサイズやマウントを標準化する構想で、同社はこの規格に基づく製品を来年2月のPMAで発表することを、今年4月に明らかにしている。また、すでに日欧米の有力メーカーの賛同を得ており、来春にはフォーラムを立ち上げたい、とした。

 なお、CCDに関しては自社投資のメリットが無いため、従来どおり自社生産は行なわないとした。

□オリンパス光学機器のホームページ
http://www.olympus.co.jp
□ニュースリリース
http://www.olympus.co.jp/Profile/KS34/index.html
□関連記事
【4月27日】オリンパス、一眼レフデジタルカメラを来年2月のPMAで発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010427/yamada2.htm

(2001年11月21日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]

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