COMDEX Fall 2001レポート

Compaq、Northwood/Brookdale-G搭載の省スペースPCを発表
~7.4リッターのスリムな筐体

会期:11月12日~11月16日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center


CompaqコンピュータのEvo D500 Ultra-Slim Desktop

 HPとの合併が何かと話題になっているCompaq Computerは、COMDEX Fallの会場において記者会見を開催。同社が2002年に導入予定の、0.13μm版Pentium 4(コードネームNorthwood)搭載Small Form Factor(SFF:省スペース)デスクトップPCを報道陣に公開した。

 今回発表されたEvo D500 Ultra-Slim Desktopは、ケースの容積が7.4リッターとなっている。Pentium 4を搭載したマシンとしては、現時点で最小である日本IBMのNetVista M41 Slimの7.5リッターを若干下回っており、実際に登場すれば世界最小のPentium 4搭載マシンになる可能性を秘めている。



●「歴史を作るマシンになる」とCompaqのキャラウェイ副社長

 記者会見にはCompaq Computer(以下Compaq)の副社長兼アクセスビジネスグループジェネラルマネージャのジェリ・キャラウェイ氏、さらにはIntelの主席副社長兼セールス&マーケティング事業本部ディレクタであるマイク・スプリンター氏などIntel、Microsoftの関係者が姿を見せ、記者会見に参加した。

 キャラウェイ氏は「Compaqは'82年に28ポンドのポータブルPCを出荷した。それまでPCはでかくて大きい箱だったのだが、これは現在のわずか3ポンドのウルトラポータブルのノートブックへの第一歩となった。さらに、近年ではiPAQという完全にレガシーフリーのPCをいち早く出荷するなど、そうした面でのリーダーであり続けてきた。今回のEvo D500もそうした歴史を作るマシンとなるだろう」と述べ、新しいPCのプラットフォームを切り開いてきたCompaqの歴史を振り返り、今回発表されたEvo D500 Ultra-slim Desktopもそうしたマシンになるだろうと誇らしげに語った。

 確かに、これまでCompaqはPC/AT互換機の歴史を切り開いてきた。米国で32bitのx86であるIntel 386ファミリー搭載製品をいち早く出荷するなど、常にPC/AT互換機メーカーのリーダーであり続けてきた。

 日本でも、'92年の10月に、当時、NECのPC-9800シリーズに比べて圧倒的に安価な価格設定がされていたProLineaシリーズを発売し、テレビでも取り上げられるほどの大きな騒ぎになったのを覚えているユーザーも少なくないだろう。

 続いて挨拶したIntelのスプリンター氏は、この製品はIntelの新しい0.13μm版Pentium 4をターゲットにしていることを明らかにし、「これから我々が投入する0.13μmのPentium 4は、高性能なだけでなく消費電力が低くなっている。したがって、ノートPCはもちろんのこと、こうした省スペースデスクトップなどにも優れたソリューションとなるだろう」と述べ、0.13μmのPentium 4がこうした市場に向いている製品であると強調した。

 また、Intelが「Compaqと共同でこうしたマシンが抱える消費電力や熱設計の問題を解決すべく開発を行なった」と述べ、IntelがOEMメーカーが協力して“消費電力が多い”“設計するのが大変”という冠がついてしまうPentium 4の熱設計周りの問題を解決したということをアピールした。

Compaqコンピュータ 副社長兼アクセスビジネスグループジェネラルマネージャ ジェリ・キャラウェイ氏 Intel主席副社長兼セールス&マーケティング事業本部ディレクタ マイク・スプリンター氏


●ノートパソコンの技術を使いデバイスはノートパソコンと共有可能

 今回発表されたEvo D500 Ultra-slim Desktopはいくつかの特徴を持っている。

 1つは米国では珍しい、非常に小さなケースを採用していることだ。たとえば、日本では、容積10リッターを切る非常に小さい省スペースデスクトップPCも決して珍しいわけでない。特に、企業向けでは7リッターや8リッターというケースを採用した省スペースデスクトップPCをよく見かける。

 Pentium 4を搭載した省スペースデスクトップPCと言えば、日本アイ・ビー・エムのNetVista M41 Slimが現時点では最も小さく、9月11日のIntel 845チップセットの発表会で話題となった。が、米国では、省スペースPCはあまり人気が無く、これまでも米国のPCメーカーは積極的に製品を投入しなかったか、ないしは投入してもあまり売れなかった。

 米国で省スペースな製品がはやらない理由は、米国は国土が大きく家やオフィスが広いため必要ではなく、逆に国土が狭くオフィスや家が狭い日本では省スペースが好まれると説明されてきた。

 米国のPCメーカーを代表するCompaqが、こうしたマシンを発売するというのだから、米国でも省スペースPCが受け入れられる下地ができてきたと考えることができる(ちなみに、後述する日本アイ・ビー・エムのNetVista M41 Slimは米国では発売されていない)。

 今回Evo D500 Ultra-slim Desktopは、そのNetVista M41 Slimよりも容積で0.1リッター小さなケースとなっており、高さが32cm、奥行き33cm、厚さが7cmと日本でも十分通用するぐらいの省スペースとなっている。

 今回は内部を見せてもらえなかったため、どういう構成になっているかはわからなかったが、実はこのマシンは、マシンの底部から吸気しているようだ。というのも、立てて利用する場合、マシンは付属の台座に乗せて使うことになる。この時、台座からはやや浮く形になっており、下にあいている吸気用の穴から吸気し、マシンの後面にある電源のファンから排気するという形になっているようだ。

 また、デバイス類はCompaqのEvo Notebookシリーズと共用できるようになっている。デバイス用のMulti-BayとIEEE 802.11b準拠の無線LANモジュールなどを取り付けるMulti-Portがそれで、すでにEvo Notebookを持っているユーザーであれば、ノートパソコンとデバイスを共有できる。

 基本的にはシリアルポートやパラレルポートなどは用意されていないレガシーフリーのデザインになっているが。オプションでこうしたレガシーポートをつけるモジュールが用意されており、レガシーのデバイスを使っているオフィスでもそれを装着することで対応することが可能になっている。

横置きにした状態。台座からはずすことで横置きで使うことができる。なお、動いていたのはCeleronを搭載したマシンだった Evo NotebookのMulti-Bay用のCD-ROMドライブ、DVD-ROMドライブ、CD-RWドライブなどを利用することができる マシンの上部にはEvoシリーズで使われているMultiーPortを取り付けて利用することが可能。これはIEEE 802.11b準拠の無線LANモジュールを取り付けたところ

マシンの背面。オプションのレガシーポートを取り付けた場合 Multi-Portのオプションとレガシーポートのオプション


●「日本は特殊な市場なので、企業向けだけではない展開もあり得る」とキャラウェイ氏

 本製品の登場時期だが、キャラウェイ氏は「CPUはPentium 4とCeleronの2ラインを用意する。Celeronに関しては次の四半期には投入が可能だが、Pentium 4に関しては来年の半ば以降」と述べた。また、「チップセットにはグラフィックス統合型のBrookdale-Gを採用するため、それの登場を待って投入する」とも付け加えた。つまり、実際にはPentium 4を搭載したEvo D500 Ultra-slim Desktopが登場するのは2002年の第3四半期に、Brookdale-Gが登場した後、ということになる。このため、価格などは現時点では不明だ。

 そうした意味では、Pentium 4搭載製品はまだまだ遙か先の話であり、今回の発表はプラットフォームのお披露目という意味合いが強そうだ。

 現在のCompaqはコンシューマ向けのブランドであるPresarioシリーズ、企業向けのブランドであるEvoシリーズとそれぞれ別の製品を展開している。今回発表されたEvo D500はEvoとついているため、企業向けに投入される製品となる。

 しかし、「日本は特殊な市場なので、別の展開もありえる」とキャラウェイ氏は述べており、日本ではコンシューマ向け製品として投入される可能性は十分にありそうだ。なお、現時点では日本市場への具体的な投入時期、価格などについては未定であるということだ。

□COMDEX Fall 2001のホームページ(英文)
http://www.key3media.com/comdex/fall2001/

(2001年11月14日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]

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