COMDEX Fall 2001レポート

Dell、モバイルPentium III 1.2GHz搭載B5ノートを展示
~富士通、Handspringなども注目製品を展示

会期:11月12日~11月16日(現地時間)
会場:Mirage Hotel


 米国ラスベガスにおいて開催中のCOMDEX Fallは、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長兼CSAの基調講演から実質的にスタートしている。すでに各メーカーによるオープニングレセプションやパーティなどが行なわれており、華やかなCOMDEX外交がそこかしこで展開されている。

 正式には開催前日となる本日は、モバイルやデジタルカメラ関係の製品を集めたDigitalFocus and MobileFocusが、ラスベガス市内のMirage Hotelにおいて開催された。会場では、COMDEXには参加していないPCメーカーも含めて多くのメーカーが参加しており、多くの注目製品が展示されていた。本レポートでは、MobileFocusにおいて展示されていた注目のサブノート、PDAなどについてのレポートをお届けする。


●DellはモバイルPentium III-M 1.2GHzを搭載したB5サイズサブノートを展示

 Dellのブースでは、CPUにモバイルPentium III-M 1.2GHzを搭載したB5サイズのサブノートPCが展示されていた。製品名はLatitude C400で、現在B5向けノートパソコンとして発売されているLatitude L400( http://www.dell.co.jp/jp/jpn/soho/products/spec_latit_l400_notebooks.htm )の後継となる製品。これまでは低電圧版のモバイルPentium III 700MHzが搭載されていた。

 重量は4セルバッテリとの組み合わせで3.6ポンド(約1.63kg)、6セルバッテリとの組み合わせで3.8ポンド(約1.72kg)となっており、サイズは290×239×25.4mm(幅×奥行き×高さ)で、B5ファイルサイズと考えていいだろう。

 バッテリ駆動時間は6セルで3時間45分、オプションの16セルバッテリパックを使った場合、7~8時間程度のバッテリ駆動が可能になると言う。液晶ディスプレイは10.4インチTFT液晶で、解像度はXGA(1,024×768ドット)となっている。なお、オプティカルドライブはオプションで、DVD-ROM、CD-RW、DVD-ROM/CD-RWコンボドライブを専用ケーブルで外付けする形式になっている。

 C400に搭載されているのは、低電圧版ではなく、通常のA4サイズのフルサイズノートPCなどに採用されているモバイルPentium III-M 1.2GHzで、昨日発表( http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011112/amd.htm )されたモバイルAthlon 4 1.2GHzと並びノートPC用としては最高峰のCPUだと言ってよい。これまで、B5サイズサブノートのほとんどは、消費電力の問題から低電圧版や超低電圧版という、いってみれば特別版のCPUを利用してきた。

 その主な原因は熱設計上の制限からきていた。たとえば、低電圧版モバイルPentium III-MのTDP=熱設計電力(放熱機構の設計時に利用する電力量、この数字が大きければ大きいほど、熱設計は難しい)800MHzで9.8W、超低電圧版モバイルPentium III-M 700MHzで7Wとなっている。

 これに対して、通常版のモバイルPentium III-M 1.2GHzのTDPの値は22Wであり、実に12W以上も高い。つまり、その分放熱が難しいのだ。本体のケースが小さいB5サイズでは、やや大柄のA4サイズに比べて放熱がシビアであり、これまで消費電力が低い低電圧版や超低電圧版のモバイルPentium IIIないしはモバイルPentium III-Mが利用されていた(実際のところLatitude L400も低電圧版モバイルPentium III 700MHzが採用されていた)。

 おそらく、モバイルPentium III-M 1.2GHzでも問題なく放熱できるように、熱設計上の工夫がされていると考えることができるだろう。残念ながら、担当者に聞いてもどのような工夫が具体的にされているかはわからなかった。

 また、本製品はチップセットにIntel 830Mチップセットが採用されている。Intel 830Mチップセットは、内蔵グラフィックスの有無などで3つの種類があるが、Intel 830Mは内蔵グラフィックスの機能を持った製品で、本製品でも内蔵グラフィックスが利用されている。

 830Mに内蔵されているグラフィックスコアは、Intel 810/815ファミリーに内蔵されているIGT(Intel Graphics Technology)コアの拡張版になっている。IGTに比べてIntel 830Mに内蔵されている拡張版IGTは32bitカラーのサポート(IGTは24bitカラーのみ)、2パイプライン/1テクスチャで1クロックに2テクスチャを描画可能(IGTは1パイプライン/1テクスチャ)という仕様になっており、3Dグラフィックスの性能が大幅に向上しているのが特徴といえる。

 このほか、標準でEthernetポートが用意されているほか、Mini PCIスロットに無線LANカードを挿入して利用することも可能だ。

 Dellの展示員によれば、日本にも本製品が投入される予定があるということだ。実際に、どのようなタイミングで投入されるか、また価格は現時点では不明だが、ハイエンドな性能をモバイル環境でも利用したいユーザーには気になる製品と言うことができるだろう。

デルコンピュータが展示したLatitude C400。モバイルPentium III-M 1.2GHzを搭載して1.6kg強は十分賞賛に値する オプションで用意される16セルバッテリ。標準バッテリをはずして、代わりにマシン底部に取り付ける

マシンの後面と、左側面


●富士通、超低電圧版モバイルPentium III-M 700MHzを搭載した重さ1.3kgのLifeBook Bシリーズを展示

 富士通の米国子会社であるFujitsu PCは、同社のLifeBookのB5サイズサブノートである、LifeBook Bシリーズを展示した。

 LifeBook Bシリーズは日本では企業向けモデルとして発売されている、LifeBook MCシリーズ( http://www.fmworld.net/product/hard/blb0110/spec_mc.html )の後継となる製品で、重さは2.9ポンド(約1.32kg)、オプションの大容量バッテリをつけた時には3.3ポンド(約1.5kg)で、サイズは252×217×32mm(幅×奥行き×高さ)となっている。

 液晶ディスプレイは10.4インチのTFT液晶(XGA、1,024x768ドット)で、グラフィックスチップはATI TechnologiesのRAGE MOBILITY-M1(8MB内蔵)となっている。

 CPUには、超低電圧版のモバイルPentium III-M 700MHzを採用している。バッテリによる駆動時間は、標準バッテリで2.5時間、大容量バッテリとの組み合わせで5時間となっている。液晶の裏側に出っ張りがあり、これが無線LANのアンテナになっている。

 無線LANを搭載したモデルは12月に出荷される予定であるということだ。なお、オプションでポートリプリケータが用意されており、これにドッキングするような形で利用することができる。このため、自宅ではケーブルを接続して利用し、外ではワイヤレスのモバイルPCとして利用できる。

 なお、日本での販売の予定だが、計画はあるということだ。ただ、現時点では時期や詳細は決まっていないと説明された。

富士通のLifeBook Bシリーズ。超低電圧版モバイルPentium III-M 700MHzを搭載している オプションのポートリプリケータ 中央部にある出っ張りが無線LAN(IEEE802.11b準拠)のアンテナ

本体右側面と左側面


●Handspring、携帯電話が付いたVisorこと「Treo」を展示

 HandspringはOSとしてPalm OSを採用した携帯電話であるTreo(トゥレオ)を展示した。

 TreoはGSM(米国、欧州、アジアでは900/1,900MHz、ヨーロッパ、アジアでは900/1,800MHz)方式の携帯電話に、Palm OSのPDA機能を持たせたものだ。画面は4bitグレースケールで、解像度は160×160ドット。サイズは110×69×18mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は153gとなっている。バッテリ駆動時間は通話2.5時間、スタンバイが60時間となっている。

 バージョンは2つあり、1つはTreo 180で、もう1つがTreo 180gだ。2つの違いは文字入力方式の違いだ。180gが通常のPalmと同じようにグラフィティを利用した文字入力を行なうのに対して、180はQWERTY配列(PCと同じ配列)のミニキーボードにより入力する形になっている。ちょうど現行ザウルスのような小さいキーボードがついている形状を思い浮かべてもらえればいいだろう。

 基本的には、通常のPalm OSであるので、基本的なアプリケーションである住所録、予定表などはPalm OS搭載のPDAとして使うことができる。

 また、HandspringのBlazerがWebブラウザとして搭載されており、そのままWebサイトにアクセスすることができるほか、WAP、cHTEMLにも対応しているので、i-modeのサイトを閲覧することも可能だ(ただし、日本語には対応していないので、実際には難しいだろう)。

 価格は399ドルで、米国では2002年に販売が開始されるという。なお、携帯電話の部分がGSMであるため、もちろん日本での販売の予定はない。携帯の部分を日本の方式に適合するようにして日本で変更する予定は今のところないとのことだが、Palmユーザーが少なくない日本でもぜひとも製品化してほしいところだ。

 このほか、IntelのブースではLG電子のWindows CE Embeddedを搭載したCDMA電話機なども展示されていた。

HandspringのTreo 180。QWERTY配列のキーボードがついていて、文字入力はキーボードで行う。グラフティモデルの180gもラインナップされている ちゃんとスケジュール表はPalm OSのものとなっている。なお、Palm OS標準で用意されているAddress bookはPhone bookに変更されていて、住所録から直接ダイヤルも可能になっている

Intelブースに展示されていたStrongARM/206MHzを搭載したLG電子のWindows CEを搭載した電話、PDAの複合機。電話をかけるには少々大きすぎなような気もするが……

□COMDEX Fall 2001のホームページ(英文)
http://www.key3media.com/comdex/fall2001/

(2001年11月13日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]

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