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Microsoft、Messenger搭載のWindows XP RC1を公開 |
PC Experience部門のGeneral ManagerのJohn Frederiksen氏 |
米Microsoftは、6月18日にサンフランシスコで行なったプレスカンファレンスにおいて、Windows XPのRC版を公開した。また、β2からRC版での変更点などが説明された。
MicrosoftのPC Experience部門General ManagerのJohn Frederiksen氏は、「RC1(製品一歩手前のバージョン)を7月4日までにβテスターやプレビュープログラムに参加している人たちに届ける予定にしている」と語っていた。その後のスケジュールとしては、RTM(PCメーカーなどに配布される製品版)を第3四半期中に(発売日のスケジュールからみて、9月上旬)、そしてリリースは10月25日になっている。
RC1版での大きな変更点は、Windows Messengerの搭載とHome Editionでのマルチモニター機能の再サポートだろう。当初、Windows XP Homeでは、マルチモニター機能はサポートされないと発表されていたが、βテスターからの意見により、復活することになった。
RC1から新たに搭載されたWindows Messengerの画面 |
Windows Messengerは、今までMSN Messengerとして提供されていたインスタントメッセージ機能をWindows XPの標準機能として提供する。Windows Messengerは、単なるテキストチャットだけの機能ではなく、Microsoftが以前リリースしていたNetmeetingの機能も内蔵している。このため、コミュニケーションをしている相手と音声によるチャット、CCDカメラなどを利用した映像も送りあう事ができる。さらに、アプリケーションを2台のPCで共有してみて、作業を行なったり、デスクトップ自体を共有することもできる。
Windows Messengerの最大の特徴は、各機能をAPIとしてアプリケーションベンダーに公開することだろう。これにより、アプリケーションベンダーは、Windows Messengerの機能を取り込んだ独自のアプリケーションを開発することができる。また、Windows Messengerのインスタントメッセージの部分は、XMLのデータ形式になっている。
さらに、インスタントメッセージのウィンドウをHTMLなどでビジュアル化し、サーバーから特定のXMLデータを送るだけで、単なるテキストチャット以外の用途が考えられる。たとえば、eBayなどのオークションサイトに登録されている品を競り落とそうとしたときに、インスタントメッセージの画面上に金額を入力し、もし他のユーザーが自分の提示した金額よりも高い金額を提示したときは、インスタントメッセージで通知するようにしておくこともできる。これなら、セリの期限間際に何度もブラウザをリロードして、価格を確認する必要もなくなる。
Windows Messengerは、Microsoftが推し進めている「.NET(ドットネット)」アーキテクチャーの一翼を担うものといえるだろう。現在は、単なるPeer to Peer(P2P)アプリケーションでしかないが、来年Windows XPのサーバー版といえるWindows 2002 Serverがリリースされた時点では、特定のユーザーにWindows Messengerでデータやメッセージを届けるサーバー機能が追加される予定だ。
なお、AOLが提供しているインスタントメッセージングAIMとの互換については「交渉がまとまらなかった」とQ&Aセッションで述べている。
Winodws Messengerでアプリケーションを共有した場合 | Windows Messengerで通信を行なうときには、画面の左隅にポップアップ・ウィンドウで接続要求がきたことを知らせる |
もうひとつ面白かったのがネットワーク機能だろう。この機能は、RC1で追加された機能ではないが、実際に802.11bなどの無線ネットワークを利用したデモが見せられた。複数のステーション中、デフォルトでどのステーションにアクセスするのかなどのセッティングができたり、無線のコネクションが切れたときに自動的に別のステーションを検索して、アクセスするローミングの機能なども、デモを交えて紹介された。
この他、Windows XPではUniversal Plug & Play(UPNP)をサポートしているため、UPNP機能を持ったGatewayとPC間で自動的にIPアドレスやDNSなどの情報をやり取りして、もっともネットワークとしてベストな状態に、自動的にセットしてくれる。さらに、現在開発されているGateway(Arescom、メルコ、D-Link、Linksys、Intelなど)では、NAT Traversalという機能を付け加えることで、イントラネットの中で起動されたアプリケーションが必要とするポートをダイナミックに空けることができる。これにより、オンラインゲームなどを行なうときに、いちいちGatewayの設定を変更してポート番号をオープンにしていたことが、イントラ内部でアプリケーションが起動しているときに、必要なポートを空けることができる。これにより、さまざまなアプリケーションがセキュリティを考えて利用することができる。このNAT Traversalという機能は、Windows XPのFirewall機能にも搭載されている。
Microsoftは、日本国内でも、今月もしくは7月の最初の週に、RC1版をベースとした説明会を開く予定にしている。Winodws XPの日本語版のリリースに関しては、明言されなかったが、開発側としては、米国でRTMのリリース後、1週間以内に日本語版のRTMも完成できるとしている。スケジュール的には、米国との同時リリースも可能だが、マーケティング戦略から11月上旬になる模様だ。
Windows XPのリリースまでのタイムスケジュール | Windows Messengerでの通信相手は、無線LANカードの入ったノートPCとヘルメットにCCDカメラをつけたプロダクトマネージャーのMark Lee氏 |
スタートメニュー | WindowsMedia Playerでは、MP3をサポート。プラグイン形式で、他の圧縮形式や他社のMP3エンコーダーを追加できる | リッピングしたCDは、タイトル名、アーティスト名以外にCDのジャケット写真もダウンロードされる(現在は、米国で発売されているタイトルのみ) |
□Microsoftのホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/
□Windows XPのホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/windowsxp/
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/link/winxp_i.htm
(2001年6月19日)
[Reported by 山本雅史]
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