JEITA、周辺機器類の出荷実績を発表
~CD/DVDドライブは過剰在庫、大容量FDDは激減

3月1日 発表



 業界団体である社団法人電子情報技術産業協会(JEITA、庄山悦彦会長=日立製作所社長)は、2000年(1~12月)の情報端末装置出荷実績および2003年までの需要予測を発表した。

 今回発表の対象となったのは、ディスプレイ、プリンタ、磁気記憶装置、光ディスク装置、イメージスキャナ、OCRの6ジャンル。一部ジャンルを除いて、全世界の市場規模および日本における市場規模について、2000年の実績と2003年の市場規模の予測をしている。



●CRTは17インチが中心に、生産量は減少へ

 ディスプレイ市場は、大きくCRTディスプレイと液晶ディスプレイに分割しているが、2000年はいずれも順調に市場を拡大させた。

 CRTディスプレイは、全世界で1億1,255万台(前年比13%増)が出荷され、そのうち国内市場では、台数ベースで73%増の519万台、金額で39%増の1,480億円となった。

 当初は前年を下回ると予測されたものの、低価格CRTが予想を上回る売れ行きを見せたのが堅調に拡大した要因。サイズ別では、2000年までは15インチが246万4,000台と、17インチの227万2,000台を上回っていたが、2001年以降はこれが逆転すると予測、2001年出荷予測で15インチが200万8,000台に対して、17インチが226万4,000台に達するとしている。だが、2001年以降は、国内のCRTディスプレイ市場が縮小傾向に向かうと見られ、2003年には国内で368万2,000台で、年率11%ずつ減少すると見ている。


●LCDは15インチが中心、国内では28%増

 一方、市場拡大が見込まれるのは、液晶ディスプレイで、2000年は全世界で44%増の676万台。国内では28%増の281万台、金額では14%増の2,638億円となった。2003年には全世界で2,417万台、国内では604万台としている。

 ディスプレイ全体に占める液晶ディスプレイの比率は、全世界規模の出荷数量で見た場合、2000年の4.6%から、2003年には15.3%にまで拡大することになる。

 日本における液晶ディスプレイの出荷比重が最も高いサイズは15インチで、2000年実績で213万9,000台。これに対して14インチ以下は56万3,000台、16インチ以上は11万3,000台となっている。


●インクジェットプリンタ伸びるも、単価が減少

 プリンタ市場は、全世界で8,690万台(同20%増)、金額では4兆2,607億円(同9%増)となり、国内では805万6,000台(同30%増)、5,601億円(同14%増)となった。コンシューマ利用だけに留まらず、企業での利用も増加しているインクジェットプリンタは、国内で641万4,000台(同37%増)と、なかでも好調な動きをみせている。

 ただ、「世界各地と比較しても、日本におけるインクジェットプリンタの価格下落が最も激しい」(同協会)としており、日本における台数の伸びが37%増に対して、金額の伸びは22%増どまりとなった。

 プリンタのみ2004年までの予測値を発表しているが、2004年のプリンタの総出荷は、全世界で1億2,881万台、4兆2,768億円、国内では1,200万台、6,483億円。そのうち国内のインクジェットプリンタは、984万台、2,197億円と予測した。

 今後の動向のなかで注目されるのは、パソコンへの接続に加えて、デジタルカメラ、携帯電話、ゲーム専用機、デジタルテレビなどに接続されるプリンタの増加だという。

 現在は、「パソコン以外への接続利用は誤差の範囲」(同協会)とまだ少ないが、「今後は見逃せない市場の1つで、こうしたパソコン以外への接続が可能になることで汎用性が広がり、プリンタの価格低下にも好影響を及ぼすはずだ」と予測している。

 また、汎用化とともに、リビングにおいても遜色がないデザインのプリンタが登場するとの期待も明らかにしている。


●光ディスクは供給過剰、徐々にDVDへ移行

 一方、光ディスク装置は、CD-ROM装置、DVD-ROM装置、CD-R/RW装置、CD-R/RW+DVD-ROM複合装置、追記書換型DVD装置(DVD-RAMなど)、追記書換型DVD+CD-R/RW装置、3.5型MO装置、その他追記書換型装置(PDなど)の8つにわけて集計している。

 8つの製品をあわせた市場全体では、1億8,855万台(同45%増)となっており、パソコンの総出荷量と比較しても1,400万台程度の過剰供給となっている。「パソコン出荷量に比較して、20~30%増程度は通常の範囲と見ているが、韓国メーカーなどの過剰供給が問題となりそうだ」としている。

 実は、昨年前半まではインターネット利用の拡大などに支えられてパソコン需要の増大が見られ、ドライブ部材の不足が指摘されていたが、昨年夏以降、需要が停滞したことで、市場には過剰在庫があるという状況。

 「国内メーカーは、3月の年度末に一気に在庫を処分することも考えられるが、海外メーカー分の在庫が問題。この過剰供給を解消するためには約6カ月を擁すると見られ、2001年はそれほど出荷が伸びないだろう」と分析している。

 2003年に向けては、CD-ROM装置は徐々に減少していく傾向にあるが、その一方で、CD-R/RW+DVD-ROM複合装置(いわゆるコンボドライブ)、追記書換型DVD装置(DVD-RAMなど)、追記書換型DVD+CD-R/RW装置が高い伸びをみせると予測している。

 なお、2003年の光ディスクの市場全体では2億4,180万台に達すると予測している。


●HDDの増加続く、日本では1/3が2.5インチに

 磁気記憶装置では、HDDが全世界で1億9,503万台(同18%増)、日本では1,981万台(同37%増)の出荷実績となった。

 サイズ別でみると、国内では2.5インチHDDが736万台(同35%増)、3.5インチHDDが1,245万台(同37%増)。HDDの全出荷台数にしめる2.5インチHDDの割合は、全世界の集計では17%であるのに対し、日本では37%となっている。これは、日本におけるノートパソコンの比率が高いことで、2.5インチHDDの出荷比率が高いことが影響している。今後は、米国市場でも薄型デスクトップなどの拡大が予想されることから、2.5インチHDDの比重が高まると予測している。


大容量FDDが前年比77%減と低迷

 FDDは2000年に全世界で1億2,747万台であったものが、2003年には9,975万台と減少する。特に、一時期話題となった大容量FDDの落ち込みが激しい。大容量FDDは、2000年で前年比77%減の271万台と大幅な落ち込みを見せており、その後も下落傾向が続き、2003年には92万台とFDD全体の約1%に留まると予測している。

 なお、イメージスキャナの国内における出荷台数は165万6,000台、金額で330億円。2003年には、265万5,000台、395億円。OCRの国内総出荷は、2000年が16万台(同14%増)、156億円(同0%)、2003年が22万5,000台、215億円と予測している。

□JEITAのホームページ
http://www.jeita.or.jp/
□ニュースリリース
http://it.jeita.or.jp/statistics/intelterm/2000/index.html

(2001年3月1日)

[Reported by 大河原 克行]

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