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Windows Media 8 β版ファーストインプレッション
Windows Media 8の変更部分としては、AudioとVideoのクオリティアップにある。Windows Media Audio(以下WMA)7では、「64KbpsでCDクオリティを実現している」とMicrosoftでは説明している。しかし、実際にはCDと同程度のクオリティのサウンドを楽しもうとすると96kbpsぐらいが必要になる。MP3の128kbpsに比べれば低ビットレートで実現しているとはいえ、看板に偽りありと言える。 WMA8では、中速度のサウンドクオリティをアップしている。これにより、48kbpsでCDクオリティ近くを、64kbpsでCDクオリティを実現している。逆にいえば、56kbps以下をターゲットにして改良されていないようだ。これは、ほとんどのインターネット接続が56kモデムが最低の条件になっていることを前提にしている。WMA8は、今後主流になってくるADSLや光ファイバーなどのブロードバンド・インターネットをターゲットにしたコーデックといえる。 厳密な計測器によるテストをしたわけではないが、WMA8の64kbpsのコンテンツでも、CDに非常に近いクオリティをもっている(若干、ダイナミックレンジが圧縮され、低音に力がなくなっているようには感じる)。64kbpsでのストリーミング・オーディオは、ISDN回線などではちょっときついが、ADSLなどでは十分にリアルタイムに再生可能なコンテンツといえるだろう。 Windows Media 8の最大の変更点は、Videoコーデックだろう。ビデオコンテンツにとって中程度のビットレートでも高いクオリティの映像が見ることができる。 実際、Windows Media Video(WMV) 8では、250kbpsでVHSに近いクオリティ(320×240、24fps)、500kbpsでDVDに近いクオリティ(640×480、24fps)を実現している(800kbpsならほとんど、DVD並みになっている)。10MbpsをターゲットにしているMPEG-2に非常に近いクオリティの映像が800kbpsで実現できるのはすごい。
もうひとつ重要なのは、WM8のデコーダーの機能アップだろう。WM8のデコーダーは、2パスのエンコードシステムを採用している。これにより、より高いクオリティのビデオやサウンドを作ることができる。さらに、Variable Bit Rate (VBR)機能により、ストリーミングでビデオやサウンドを再生しているときに、インターネット回線が細かったり、トラフィックが混雑していて、パケットの再送が頻繁に起こるときには、自動的に再生するビットレートを下げていく。これにより、ユーザーの環境に見合ったストリーミング再生が可能になっている。 このように、WM8は低ビットレートよりも、ADSLなどがターゲットにしている600kbpsから1Mbps以上のブロードバンドをターゲットにしたコーデックといえるだろう。この意味では、ブロードバンド元年となる2001年に必要なプラットフォームといえる。
□Microsoftのホームページ(英文) (2001年1月25日)
[Reported by 山本 雅史] |
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