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ソーテック、リバイバルプランを発表
~低価格路線への事業集中を明確化

99,800円のソーテック WinBook WL

12月6日発表



 株式会社ソーテックは6日、今後のリバイバル計画を明らかにした。

●15万円以下の低価格ノートPCに注力

 同社の大邊創一社長は、「業績悪化の背景には、製品ラインアップをハイエンドからローエンドまで広げすぎたこと、ノートPCの流れに乗れなかったこと、サービス体制が不十分だったことがあげられる」として、これらの改善を骨子とした計画を示した。

ソーテック 大邊創一社長 ラインアップの広げすぎなどを業績悪化の要因とした

 製品ラインアップについては、「ソーテックに対するユーザーの期待は、低価格で品質の高い製品である。これまでに比べてラインアップを絞り込むと同時に、15万円以下の領域にターゲットをあて、4年前に99,800円のデスクトップPCを出した時と同じイメージを作りたい」とした。

 ノートPCおよびデスクトップPCともに、10万円前後から15万円を下回ったものに主力製品を限定。第1弾として投入した99,800円の低価格ノートPCは現在、数週間待ちの人気ぶりだという。

 1月末にも、15万円以下の14型あるいは15型液晶ディスプレイを搭載したノートPCを投入する計画を明らかにしたほか、順次、10型液晶搭載のノートPC、ディスプレイ一体型のAV機能を搭載したデスクトップPCを来年春にも投入する予定を明らかにした。また、さらに薄型、軽量化したタブレットPCも投入する計画。タブレットPCを除いて、価格レンジは、129,800円、99,800円、69,800円の3つを主軸にする考え。

 ここ数年、デスクトップPCのイメージが強かった同社だが、低価格ノートPCの販売に力を注ぐことで、ノートPCの比率を約4割まで上昇させており、この比率を50%にまで高めたいとしている。

 なお、Baniasについては、「低消費電力やコストの面で問題がある」として、搭載機種の投入には慎重な姿勢を示した。

ラインアップを15万円以下の製品に集中

●サービス向上とeホーム製品進出でV字回復を

 懸念材料となっていたサービスに関しては、サービス子会社のソーテック・イー・サービスに109人を出向させる。「パートや契約社員による対応ではなく、ソーテック社員による対応が可能になった。コールセンターの電話接続率も48%と、平均して2回に1回はつながるようになった。

 また、韓国での生産は現在、1機種に絞り、全体の2割程度にまで縮小。あとは台湾ベンダーに移行しており、初期不良率も昨年の1.8%から今年は0.8%まで低下している。信頼回復には時間がかかるが、成果はあがりつつある」とした。

 新たな取り組みとしては、「eホーム製品群」と位置づけた周辺機器群の投入を推進する。

 玩具メーカーのタカラとの協業によってチョロQにメモリースティックを搭載したMP3プレーヤーや、ホームサーバー製品、PCに蓄積されたデータなどを無線LANによりテレビで閲覧できる周辺機器を投入する計画を示した。

初期不良率は改善された eホーム製品群を投入

2002年上期決算

 なお、すでに発表されている同社の2002年度上期の連結決算は、売上高が前年同期比23.6%減の158億9,900万円、営業損益はマイナス37億4,100万円、経常損益はマイナス37億9,300万円、当期損失がマイナス89億8,900万円となった。

 また、通期見通しは、売上高が442億500万円、営業損益はマイナス51億6,100万円、経常損益はマイナス43億6,100万円、当期損失がマイナス47億2,900万円と赤字を見込んでいる。

 「販売管理費69億円を34億円に削減するなど、売上高が390億円に留まっても黒字が出る体質への改善をすすめている。粗利率も現在の9.3%から13.0%に改善したいと考えている。これによって来年度には、赤字からの脱却を目指し、V字回復を目指す」(大邊社長)としている。

売上高390億円で黒字を出せる体質を目指す リバイバル計画により2003年には赤字脱却を目指す

●米国でも低価格ノートは人気、ブランド力回復が課題

 一方同社は、米国でのソーテックブランドPCの販売を拡大することを目的に新たに設立した、米国PC販売会社のソーテックアメリカへ出資する。出資額は51万ドルで、出資比率は51%になる。

 大邊社長は、「ボリュームを追求する上では、欧米への展開も不可欠。すでに10月から米国での展開を開始しており、99,800円の低価格ノートPCは日本同様に品薄状態となっている。今月末までに5万台を生産するが、日本に3万台、米国に2万台を予定している」とした。

 ソーテックの赤字脱却は、来年度以降に持ち越されたが、経営体質の改善による効果が徐々に出始めているのは確かだ。だが、ソーテックブランドに対する信頼感が、依然として回復していないのはやはり大きな問題だ。この点に関しては、大邊社長自身も、「慌てずに、じっくりやっていくしかない」という長期戦の構えを示している。ブランド力の回復が、同社の業績回復のスピードに大きな影響を与えるのは間違いないだけに、このあたりの手だてをもう少し明確にすべきだろう。

□ソーテックのホームページ
http://www.sotec.co.jp/
□2002年上期決算短信(PDF形式)
http://www.sotec.co.jp/ir/data/20021119b.pdf
□関連記事
【10月15日】ソーテック、99,800円のノートPC
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1015/sotec.htm

(2002年12月6日)

[Reported by 大河原克行]


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PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
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