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松下電器、V字回復に強い自信
~2002年度上期決算で成果

松下電器産業株式会社の中村邦夫社長

10月30日発表



2002年度上期の連結決算

 松下電器産業株式会社は、2002年度上期の連結決算について発表、売上高は前年同期比4%増の3兆5,372億円、営業利益は前年同期の赤字から1,211億円増の454億円に、当期純利益は873億円増の178億円となり、「破壊と創造」で挑んだ事業構造改革が成果をあげ、V字回復に大きな一歩を進めたことを示した。

 同社の中村邦夫社長は、「昨年度は多額の赤字を計上したが、考えられる限りの構造改革を実施してきた。この結果、今年度は、社会に公約した“通期で1,000億円”は確保できる見通しが出てきた。V字回復へのベクトルは上向いてきた」とした。

●AV機器とカーエレクトロニクスが好調、PDPの売り上げが5.7倍に

 商品部門別では、AVCネットワーク社が前年同期比6%増の2兆557億円。そのうち、映像・音響機器は前年同期比15%増の9,639億円と2桁台の大幅な伸びを見せた。

 「映像・音響機器は、テレビ、ビデオ、DVDレコーダーが高い伸びを示した。AV機器は業界全体で3%減であるのに対して、当社は20%増となった。過去10年間、松下はシェアを漸減させてきたが、ここにきて急速にシェアを上げてきた。この勢いを続けたい」(川上徹也取締役)とした。

 PDPの売上高が前年同期比575%増となったのを始め、DVDが46%増、ムービーが15%増、テレビが7%増となった。

 情報・通信機器も前年並の1兆918億円。第1四半期に、NTTドコモ向けのi504が落ち込んだことが響いたが、カーエレクトロニクス事業が好調に推移した。

 白物家電が含まれるアプライアンス事業は、前年同期比2%減の5,951億円、インダストリアル・イクイップメントは、5%減の1,386億円、デバイスは7%増の7,478億円となった。

 今年度、88商品を選定しているV商品は、上期に79品目を投入、4,700億円を売り上げた。

AV機器が好調 上期のV商品販売実績

 「利益面では2%程度の押し上げに貢献しているはず。年間では1兆円をV商品で売り上げたい」(川上取締役)。

●北米とIT需要の低迷で、通期予想はやや下方修正

通期見通しを修正

 また、同社では、2002年度の年間売上見通しを修正した。売上高は7兆800億円(前年比3%増)から、微減の7兆500億円としたものの、国内に関しては、3兆4,500億円から3兆4,600億円の微増。また、営業利益は1,000億円と変わらないものの、税引き前利益で880億円から1,050億円へ上方修正、当期純利益で420億円から370億円へと下方修正した。

 「10~12月は不透明感があり、とくに北米市場の落ち込みが深刻だ。パソコン、AV機器などが大幅な価格下落を見せ、携帯電話も伸びが止まった。IT関連需要が回復しないのは大きな問題。それがデバイス事業にも大きく影響しはじめた」(中村社長)として、「今回の修正はデバイス、携帯電話、北米景気の3つがポイント」(川上取締役)という。

 分野別にはAVCネットワークが売上高で4兆1,000億円(前年比1%増)、営業利益で660億円(前年比1,177億円増)、アプライアンスが売上高で1兆2,100億円(前年比3%増)、営業利益で530億円(前年比149億円増)、インダストリアル・イクイップメントが売上高で2,900億円(前年比2%減)、営業利益で50億円(前年比495億円増)、デバイスが売上高で2兆1,540億円(前年比9%増)、営業利益で490億円(前年比1,450億円増)とした。

●事業再編で、ドメインごとの責任を明確に

 一方、同社では、来年1月1日からスタートする事業再編に対応した「新たな経営システムの概要」について発表した。

 「経営の仕組みを抜本的に変え、キャッシュフロー型の経営とする」(中村社長)、「20世紀の事業部制から、21世紀のドメイン別経営で成長戦略を加速させる」(川上取締役)というものだ。

 AVCネットワーク、アプライアンス、デバイス、その他、および日本ビクターという形でセグメント体系を構築、さらに、AVC、固定通信、移動通信、カーエレクトロニクス、システム、環境システム、FA(生産システム)、健康システムの各ドメインごとにドメイン会社を設立する。また、自主責任をもたせるために、新賦課費体系の導入、出資・配当制度の見直し、業績評価基準の改訂とともに、単独事業ごとや国内中心だった資金管理制度を変更し、グローバルキャッシュフロー重視および連結経営を徹底させる。

事業再編の概要

 「これまでは、売上比率に関わる賦課費体系となっていたことから、製品が売れると、本社が儲かるという仕組みだった。これを本社の役務に対する固定費とすることで、製品が売れれば事業部が儲かるという仕組みとした。また、配当基準を単独ベースの資本金をもとにした考え方から、一律の配当制度とすることで、赤字事業でもこれらの費用を徴収するという仕組みに変更することで、赤字事業の選択と集中を促す」(川上取締役)とした。

 新たな松下電器の体制では、ドメインごとの自社責任経営体制を明確に打ち出しており、「今後は、破壊と創造の『創造』に軸足を置き、成長力、収益力を高めていきたい」(中村社長)と、新たな体制がV字回復の原動力になると強調した。

□松下電器産業のホームページ
http://www.matsushita.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn021030-1/jn021030-1.html

(2002年10月30日)

[Reported by 大河原克行]


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