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富士通、再度大規模なリストラを敢行
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富士通の高谷卓代表取締役副社長 |
10月29日発表
富士通株式会社は、2002年度中間期連結決算を発表、売上高は前年同期比9.9%減の2兆1,503億円、営業損益はマイナス232億円、経常損益はマイナス654億円、中間期純損益はマイナス1,474億円の「大きな赤字」(富士通 高谷卓代表取締役副社長)決算となった。
●HDD対策は事業撤退で割高に
今回の純損益の大幅な赤字は、国内の人員整理を中心としたリストラ対策、およびデスクトップパソコン用HDDのトラブルによる特別損失が大きく影響している。
高谷副社長は、「HDDのトラブルに関する対策では、現在、顧客と折衝している分の費用も含めて製品不具合対策費用として、250億円を計上した。デスクトップパソコン向けHDD事業に関しては、昨年の段階で事業そのものから撤退しているため、対策を行なうためには他社からHDDを調達しなければならず、割高になっている。今年度中には、不具合分をすべて回収したい」とした。
また、リストラに関しては、「昨年度大幅なリストラを実施し、一度終了宣言をしたが、通信キャリアの需要が低迷し、IT投資意欲も回復しないどころか、むしろ減少している。二番底の様相だと感じている。今回もう一段のリストラを実施し、事業構造改善費用として1,500億円を計上し、退職者で7,100人、関連会社への転職で1,200人、職種転換で700人の合計9,000人を対象とする。今回の人員対策でリストラで完全に打ち止めにしたい」とした。
今回のリストラでは国内5,400人を対象としており、従来は海外法人を主な対象としていたのとは大きく異なっている。
●パソコン台数は漸減/横這い
上期の部門別の決算内容は、ソフトウェア/サービス部門の売上高が前年同期比1.5%減の9,180億円、営業利益は前年同期比6.6%増の515億円。
中小・中堅企業などのSI事業が減速しており、その傾向は第2四半期も継続しているという。ソフトウェア/サービス部門の内訳は、ソリューション/SIが0.1%減の4,032億円、インフラサービスが2.5%減の5,148億円となっている。
プラットフォーム分野が、売上高が前年同期比21.9%減の7,697億円、営業損益はマイナス308億円。中でもサーバー関連が「大口の案件がなかったことが響いて」(高谷副社長)、前年同期比21.6%減の1,917億円と大幅なマイナス。だが、通期では60億円の黒字の見通し。
パソコン/携帯電話は、3.6%増の3,077億円となり、携帯電話、パソコンともに黒字決算。しかし、携帯電話が前年度上期の102万台から今年度上期は182万台と大幅に伸張しているのに対して、パソコンは、258万台から251万台へと減少しており、成長に貢献したのは携帯電話によるもの。「手持ちの資料がないが、パソコンはわずかな減少か、横這い」とした。
パソコンの今年度見通しは、国内が255万台(前年実績258万台)、欧州が299万台(同304万台)、北米が12万台(同12万台)、アジアが12万台(同9万台)。合計では、578万台(同583万台)の計画。デスクトップパソコンとノートパソコンの比率は47%対53%になると見込んでいる。
電子デバイスは、売上高が前年同期比2.4%減の2,890億円、営業損益はマイナス231億円、金融向け事業は売上高が前年同期比9.1%増の550億円、営業利益は28.4%増の25億円となった。
●業績見通しも下方修正
なお、同社は、今年度通期の業績見通しを下方修正した。売上高は当初計画の5兆円から4兆8,000億円に下方修正、経常利益は50億円の黒字と当初計画通り。当期純利益は当初のゼロから、特別損失の影響でマイナス1,100億円の赤字へと大幅な下方修正を行った。
同社では、「2度にわたる大規模なリストラによって、自己資産を大きく減少させた。来年度にかけて、聖域を持たずにあらゆる資産を有効活用して、減少した資本をカバーしたい」(高谷副社長)として、この点でも構造改革をすすめる考えを明らかにした。
□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□ニュースリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2002h/
(2002年10月29日)
[Reported by 大河原克行]
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