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米Dellのデル会長が来日「日本でこれだけ売れると思わなかった」
~プリンタなどへの参入を表明、Tablet PCは様子見

Dell Computerのマイケル・デル会長

10月28日



 米Dell Computer(Dell)のマイケル・デル会長が来日、「10年前に日本に参入した時には、ここまで成功するとは思っていなかった。今は、胸を張って日本での成功を誇れる」などとコメントした。

●世界でも日本でも好調

Dellのシェア

 デル会長は、まず世界の経済環境が厳しいことを指摘、「特にテクノロジー分野が大きな影響を受けている」と前置きしながらも、「当社は、厳しい市場環境にあっても、常に市場シェアを伸ばし続けてきた。ダイレクトモデルが受け入れられていること、市況が鈍化した時に、それを見通し、柔軟に体質を変えることができるという点が、世界で唯一、利益とシェアを伸ばしているメーカーになれた要因」とした。

 '98年第3四半期には、全世界で5.8%だったシェアが、今年度第3四半期には16%にまで拡大。「この5年間で176%の成長を遂げた」と話した。また、今年度は、あらゆる地域で成長しており、収益で22%の伸び、営業利益は36%の成長を遂げると同社では予測している。

 また、日本市場に関しては、「10年前、参入したときには日本でこれだけ売れると思わなかった。すばらしい現実になった」として、国内市場で5位となった事実をあげ、「5位という順位は、日本のメーカー以外ではトップになった」とコメントした。

 最新四半期の出荷台数は、前年同期比15%増となり、業界全体との差は19%もあると、依然として好調な点を示した。これを受けて、同社日本法人の浜田宏社長も、「第2四半期は4位、第3四半期は5位となったが、通期では4位を確保できると思う」と強気の姿勢を見せた。

●今後はエンタープライズ事業に重点

 Dellが、日本において成功を収めている要因の1つとして、リピート率の高さがある。デル会長によると、'99年にDellの製品を購入したユーザーのうち93%が今でもデルの製品を使用しているという。

 デル会長は、「日本では、顧客の声を聞くという点にフォーカスしており、その成果が表れている。また、店頭でパソコンを販売する“DELL Real Site”は日本で始まったプログラム。また、Dimension 4500やLatitude X200のように、日本のお客の声を反映した製品もある。コンシューマ向けの販売で、80%がオンライン販売によるものだという点でも、日本が先進的である。今回新たに、OptiPlex SX260を投入したが、これも日本の市場ニーズを反映したものだ。こうした省スペースの要求は、日本市場からしか出てこないが、実際にものが出来上がると、あらゆる地域で高い評価を得る。今回の製品も同様の結果になるだろう」とした。

 また「今後、売上規模を2倍に拡大させる考えだが、そのほとんどがサーバー、ストレージなどのエンタープライズ向け製品によるものになるだろう」とし、エンタープライズ事業が今後の重要な柱となることを強調した。

 同社は、サーバー、ストレージ、サービスの「3つのS」を重点課題として、国内市場においてもエンタープライズ領域への展開強化を図っているが、これを加速させる。

会見で発表されたOptiPlex SX260 事業規模を倍増 3つのS

●日本ではプリンタなどに参入

日本法人デルコンピュータ株式会社の浜田宏社長

 一方、浜田社長は、日本における取り組みについて語り、その基本的な考え方として、「法人向けデスクトップおよびノートパソコン事業を核に、エンタープライズ領域、コンシューマ分野、そして周辺機器事業へと、3方向に取り組みを広げていく方針」を示した。

 エンタープライズ分野では、EMCとの提携によるストレージ事業の拡大、デルテクノロジーコンサルティングによるサービス事業の拡大をすすめる一方、コンシューマパソコン分野では、今年から積極的なテレビCMなどにより事業拡大を図り始めた。

 「法人向け事業で培った実績によって、コンシューマ分野においてもデルならば安い、人に勧められる、高い価格性能比が提供されるという安心感が出てきた。コンシューマで事業が行なえるベースができた」として、今年から力を注いだことを示した。

 また、周辺機器事業としては、来年にはプリンタおよびネットワーク機器を投入する計画を明らかにし、日本においても新たな分野に乗り出す姿勢を見せた。

 一方、米国で開始したホワイトボックス事業に関しては、「中小企業などでホワイトボックスを導入している企業に対して、ブランド製品を買うような形にできないかという目的をもった実験的な取り組み。日本を始めとして米国以外の国に展開する予定はない」(デル会長)と日本での展開を否定、また、Tablet PCへの参入については、「パイロットがどうなるかを見極めている段階。現時点では、主流になるのか、ニッチなものになるのかは判断がつかない。ただ、当社としては、ハイボリュームのマーケットを狙っていきたい」として、すぐに参入する意向がないことを示した。

 さらに、コンシューマ向けに積極的な広告投資をしているが、この成果が出なかったときには、日本からの撤退があるのか、との質問に対しては「日本市場から撤退する可能性はない」と断言した。

□Dell Computerのホームページ(英文)
http://www.dell.com/
□関連記事
【10月28日】デル、壁掛けも可能な省スペースPC「OptiPlex SX260」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1028/dell2.htm

(2002年10月28日)

[Reported by 大河原克行]


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