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IDF 2002 Fall Japan デモ・ショーケースレポート


IDF 2002 Fall Japan開幕
~ワイヤレスMMX、Digital Media Adapterを展示

会期:10月22日~10月24日
会場:赤坂プリンスホテル



 インテルの開発者向けイベント「Intel Developer Forum 2002 Fall Japan」が22日開幕した。今回のIDFでは16の技術トラックが用意されるが、その内容はネットワークプロセッサやワイヤレスなど、ネットワーク/モバイル系にフォーカスした形となっている。

 実際の製品をデモンストレーションするショーケースでは、技術トラックの内容に即した実機を展示。ネットワーク/モバイル系以外にも、「PCI Express」や「Digital Media Adapter」、未発表の超低電圧版Celeron 400MHzなどが展示されるなど、新技術/製品が目白押しとなっている。

 各ブースには同社の技術者が立会い、説明を行なっているため、詳しい話を直接聞ける絶好のチャンスとなっている。なお、PC Watchでは明日以降行なわれる基調講演の模様なども追って紹介する。


■XScale用拡張命令「ワイヤレスMMX」の実機が展示

 プロセッサ関連では、Hyper-Threading Technology対応Pentium 4の展示は見られず、代わりにPDA/モバイル向けのXScaleに関係した展示/デモが多数見られる。

 その1つが、9月に発表されたばかりの「ワイヤレスMMX」。ワイヤレスMMXは、XScale用のマルチメディア拡張命令で、XScale PXA250ファミリと互換性を持つ。

 会場では実機によるMPEG-4デコードのベンチマークを実演。その内容は、ワイヤレスMMXをOFFにした状態では55fps程度だったのが、ONにすると85fps程度にまでパフォーマンスが向上するというもの。

 担当者によれば、ワイヤレスMMXによって単にパフォーマンスが向上するだけでなく、低いCPUクロックで従来のXScaleと同等のパフォーマンスが発揮できるため、消費電力の低下にも繋がるという。

 そのほかの展示では、XScaleコアとネットワークコントローラを内蔵したネットワークプロセッサ「IXP425」の開発評価キットや搭載実機などがデモ/展示されている。

「ワイヤレスMMX」対応XScaleのベンチマークデモ。残念ながらプロセッサはノートPCの裏側の黒いケース内に隠されており、その姿を確認することはできなかった。ベンチマークでは、リアルタイムにCPUのクロックを上下させたり、ワイヤレスMMXをON/OFFして、パフォーマンスの差異を示していた XScaleコアとネットワークコントローラを内蔵したネットワークプロセッサ「IXP425」の開発キット(写真左)。XScaleコアでネットワーク以外の処理を行なうことで、パフォーマンスが向上するほか、VoIP、ファイヤーウォール、ルーターなど業務用から家庭用製品まで幅広くカバーできる。右はCPU部分の拡大写真。大きく見えるのはBGA用のソケットを実装しているためで、本来は基板に直付けされる
こちらも、IXP425の開発キットによるIPv6のデモ。XScaleコアでIPv6のトンネリング処理を行なっている。ちなみに、デモ機には「.NET Standard Server」がインストールされていた MPEG-4のソフトウェアデコードのデモ。デモ機には東芝の「GENIO」を利用。ノートPCからIEEE 802.11bでMPEG-4動画をストリーミング転送していたが、滑らかで美しい画像を表示していた

□関連記事
【9月11日】Intel、携帯/PDA向けのXScale用拡張命令「ワイヤレスMMX」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0911/intel.htm


■新アーキテクチャ「OSD」も展示されたストレージ系

 ストレージ系は展示数こそ少ないものの、未発表のドライブや新アーキテクチャのファイルシステムなどがデモされている。

 インテルはSerial ATAコントローラのラインナップとして「IOP303 I/O」、「Intel 31244」などを揃えている。前者は64bit/66MHz PCIおよびRAID 0/1/0+1/4/5に対応し、後者はPCI Expressに対応。

 デモでは、未発表の富士通製2.5インチSerial ATA HDDを含む、6台の異なるベンダーのドライブを4枚のSerial ATAカードに接続。互換性の高さや、ケーブリングの簡易性などをアピールしていた。

 また、現在インテルらが推奨する次世代のファイルシステム「Object-Based Storage Devices (OSD)」も展示/デモされている。

 OSDはこれまでブロック単位で管理されていたファイルを、オブジェクト単位で管理するファイルシステム。

 担当者の説明によれば、「セキュリティについて、従来のファイルシステムとOSDでの違いを図書館での本の管理に例えて説明すると、従来のファイルシステムは図書目録にセキュリティをかけている状態。この場合、目録を改竄されないよう保護しても、実際の本は盗まれる可能性がある。しかしOSDでは本自体にセキュリティをかけるため、本は盗まれない」という。また、データアクセス速度の向上にも繋がるとしている。

 OSDは既存のOS/ハードウェア上でも動作し、会場ではOSDに対応したLinuxマシンが展示されている。ただし、NTFSなどと同レベルのファイルシステムのため再フォーマットが必要。現時点ではまだワーキンググループで仕様などを策定している最中で、具体的な市場投入時期などは未定。

「Object-Based Storage Devices (OSD)」対応のLinuxマシン。OSDはWindows OSも含め、既存のOS/ハードウェア上でも動作する Intel製Serial ATA/RAIDコントローラ「IOP303 I/O」を搭載したインターフェイスカード「SRCS14L」。64bit/66MHz PCIバス用で、RAID 0/1/0+1/4/5に対応。ドライブは4台まで接続可能
ベンダーの異なる4枚のSerial ATAカードと6台のHDDの接続/動作デモ。互換性の高さをアピール。また、従来のパラレル用フラットケーブルと比較して、ケーブリングが圧倒的にスマートなのが分かる ちなみに、6台のドライブの1台は未発表の富士通製2.5インチSerial ATA HDD。担当者によれば今年末から出荷が開始されるという


■その他、市場投入の間近さを感じさせる新技術のデモ

 そのほかの新しい技術としては、「Digital Media Adapter」や「PCI Express」などがデモされている。

 Digital Media Adapterは、デスクトップPCとネットワーク接続され、デスクトップPCに記録された映像や音楽ファイルを一般のTVやステレオなどに出力するための小型クライアント。

 会場では3台のDigital Media Adapterが用意され、それぞれが同時に1台のデスクトップPCにアクセスし、同時に異なる音楽や画像を再生していた。市場投入予定時期は2003年で、2004年には動画を扱えるものも登場予定だという。

3台並べられた「Digital Media Adapter」。スピーカの上に乗っているのが本体。中央の本体はアンテナが出ているが、これらのデモ機はいずれもEthernetでホストとなるWindows XP PCに接続されている。本体前面およびリモコンで操作可能 Digital Media Adapterの画面。「Pictures」や「Music」を選択すると、ホストにある映像や音楽を再生できる。表示にはTVを、音楽の再生にはステレオを利用する ホストの画面。ホストのOSはWindows XPのみ対応。接続されているDigital Media AdapterのIPアドレスや、動作状況などが把握できる
NEC製の「PCI Express設計検証ツール」。デモ機ではPCI Express 4Xモードで2台のPC間でデータ転送を行なっていた(写真左)。写真右は検証ツールの裏側。検証用のプローブが多くつながれている 未発表の「超低電圧版Celeron 400MHz」。コアはTualatinコアで、FSBは100MHz、L2キャッシュは256KBを搭載する。コア電圧は、従来の650MHz品より0.15V低い0.95V。TDP(熱設計電力)は最大4.2Wと650MHzの約半分。組込機器向け用のプロセッサ

□IDF 2002 Fall Japanのホームページ
http://www.intel.co.jp/jp/developer/idf-j/

(2002年10月22日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]


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