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英ARM、新アーキテクチャの組込CPU「ARM11」
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ARM1136コアの概要 |
組込CPUのIP(Intellectual Property=知的資産)企業である英ARMは、新アーキテクチャ「ARMv6」に基づく組込CPUコア「ARM11」のライセンスを開始、12月に出荷すると発表した。
ARM11はARMv6アーキテクチャを採用した初のCPUコア。ARMv6アーキテクチャでは、SIMD命令によるマルチメディア処理能力の向上、マルチプロセッサのサポートなどが図られているという。前アーキテクチャでサポートしてきた圧縮命令セット「Thumb」やJava実行機能「Jazelle」、DSPは引き続きサポートされる。
ARM11ファミリーには「ARM1136J-S」コアと同製品に浮動小数点演算機能を付加した「ARM1136JF-S」コアが用意される。動作速度は0.13μmプロセスで製造された場合、最低でも400MHz、将来90nmプロセスで製造した場合は1GHzに及ぶという。
8ステージのパイプラインを持ち、4~64KBのデータキャッシュ/命令キャッシュと、アプリケーションが管理できる「TCM」と呼ばれるメモリを搭載可能。必要な回路にのみ電力を供給するクロックゲート技術により、「ドーマントモード」と呼ばれる省電力機能を備える。また、32KBずつの命令/データキャッシュと浮動小数点演算ユニットを搭載し、0.13μmプロセスで製造した場合にダイサイズが8.5平方mmと小型化も図っている。 対応OSはWindows CE.NET、Symbian OS、Linux、など。PDA、携帯電話といったモバイル機器のほか、デジタルカメラやセットトップボックス、カーテレマティクス機器の組込CPU、ルータなどのネットワークプロセッサとしての用途が考えられている。
同時に、ARM11コアによる開発を支援するプラットフォーム「ARM11 PrimeXsys」を用意する。同プラットフォームにはメモリコントローラ、割り込みコントローラ、カラーLCDコントローラ、UARTなどが含まれるほか、USBやBluetooth機能、MPEG-4などのデコード機能を拡張することもできる。
発表会には同社のデビット・コーミー CPUプロダクト・マネージャが出席、Intelの組込CPU「XScale」との競合について「XScale、ARM11の両方とも技術的には似ており、パフォーマンスも同等。しかし、Intelのみが実装するXScaleと違ってARM11はどんな半導体メーカーでも実装可能であり、実装メーカー、OEMパートナーにより広い選択肢を提供できる」としている。
90nmプロセス/1GHzまでのロードマップ | PrimeXsysプラットフォームは拡張可能 | ARMのデビット・コーミー CPUプロダクト・マネージャ |
□ARMのホームページ(英文)
http://www.arm.com/
□アーム(日本法人)のホームページ
http://www.jp.arm.com/
□ニュースリリース
http://www.jp.arm.com/kk/02/021015.html
(2002年10月22日)
[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]
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