鈴木直美の「PC Watch最新記事キーワード」
第214回:8月19日~30日


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8月19日

■■ 松下電器、SD/PCカードスロット搭載の昇華型プリンタ「SV-AP10」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0731/hotrev172.htm

●SD-Picture
●SISRIF(Still Image, Sound and Related Information Format)

 SDA(SD Card Association)が策定したSD(Secure Digital)メモリカードのデジタルスチルカメラ用フォーマット規格。SISRIFは、JEIDA(※1)が策定したPCカードをデジタルスチルカメラに応用するための規格。

 SDメモリーカードは、東芝、松下、SanDiskが共同で開発し、SDAが管理する小型メモリカード規格。規格は、メモリカードそのものの仕様やインターフェイスを規定した物理層の規格、メディアを管理するためのファイルシステムの規格、メディアを利用するアプリケーション用のフォーマット規格、著作権を保護するセキュリティ規格で構成される。SD-Pictureは、この中のアプリケーションフォーマットの1つで、Exif/DCFを用いたデジタルスチルカメラ用の規格である(※2)。

 SISRIF(邦題は「デジタルスチルカメラ68ピン規格」)は、PCカードを使うデジタルスチルカメラ向けにJEIDAで標準化されたもので、上位2層にあたるファイルシステムとアプリケーションフォーマットを規定。PCカード自体が既にデジタルスチルカメラには使われなくなってしまったが、初期のリコーの製品などにこれが採用されており(画像はJ6I[JEIDA DSC 68pin Image]という拡張子のファイル)、現在も一部の画像ソフトやプリンタなどがサポートしている。

 デジタルスチルカメラをはじめとする静止画を扱うデバイスでは、高圧縮で品質の高いJPEGが広く利用されている。Exif/DCFやSISRIFでは、圧縮/非圧縮の両方を扱うことができるが(音声なども使用可能)、主体となる圧縮画像には、このJPEGの技術が使われている。JEPG自体は、様々なアプリケーションに適用できるコア技術であり、いくつかの圧縮符号化方式と、生成するビットストリームを規定。実際にアプリケーションに応用するためには、使用する符号化方式やカラーモデルなどの基準を設けたり、附帯情報の格納方法なども検討する必要がある。

 Exifは、これら規定を含んだJPEGベースのアプリケーションフォーマットで、圧縮画像には離散コサイン変換(DTC~Distributed Transaction Coordinator)を用いたベースラインのJPEGを使用し、カラーモデルはYCbCr(4:2:2または4:2:0)とRGBを規定。

DCFは、メーカーや機種間の互換性を高めるために、Exifの仕様をさらに厳密にした

もので、例えば、フォルダやファイル名、付加する情報なども明確に規定している。

附帯情報は、JPEGのストリーム内に、規格に準拠した形で格納しており、色空間情報などの画像そのものの情報はもとより、カメラや撮影情報、印刷情報、GPSの位置情報、サムネイルなども格納できるのが大きな特徴である。

 一方のSISRIFでは、画像データそのものの扱いは非常に寛容で、再生に必要なパラメータ情報を格納する。例えばDCFでは、画素を正方形、色空間をsRGBに限定しているが、SISRIFでは自由であり、JPEGの符号化方式なども特に制限はない。情報の格納は、ファイル先頭に最低限のヘッダを付ける方式であるため、SISRIF未対応のアプリケーションは認識できなかったり、複号化できなかったり、正しく補正できなかったりすることも多い。

※1 JEIDA(Japan Electronic Industry Development Association~日本電子工業振興協会)。2000年11月にEIAJ(Electronic Industries Association of Japan~日本電子機械工業会)と統合し、現在はJEITA(Japan Electronics and Information Technology Industries Association~電子情報技術産業協会)。

※2デジタルスチルカメラ以外のアプリケーションには、画像を扱う「SD-Image」、デジタルビデオカメラ向けの「SD-Video」、音楽用の「SD-Audio」、音声用の「SD-Voice」などが、それぞれ規定されている。

【参考】
□SDメモリカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000323/key113.htm#SD
□PCカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980120/key14.htm#pcmcia
□Exif(Exchangeable Image File Format)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971202/key9.htm#exif
□DCF(Design rule for Camera File system)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000921/key136.htm#DCF
□Exif Print
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0314/key200.htm#EXIF
□JPEG(Joint Photographic Experts Group)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980715/key38.htm#JPEG
□JFIF(JPEG File Interchange Format)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981217/key58.htm#JFI


8月29日

■■ ナナオ、タッチパネル装備の15型TFT液晶
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0829/nanao.htm

タッチパネル(touch pannel)

 直接指で触れて操作するポインティングデバイスで、一般にはディスプレイの前面に取り付ける、あるいは一体化している透明なパネルを指す。

 タッチパネルは、文字通り指で操作するタイプで、スタイラスペンなどの専用の入力装置を使うタイプは、デジタイザあるいはタブレットという。また、画面に取りつけるタイプのほかに、単なる操作パネルを指す場合もあり、画面タイプは特にタッチスクリーン、小さな操作パネルはタッチパッドと呼ぶことも多い。PDAやTabletPCのディスプレイ、銀行のATMや駅の券売機でおなじみの画面一体型ポインティングデバイスで、マトリックス状の特定の座標を検出するタイプをデジタル方式、任意の座標を検出できるタイプをアナログ方式といい、動作原理から、光学方式、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式式、電磁誘導方式などに分類される。

 光学方式は、パネルの上下と左右にLEDの発光素子と、フォトトランジスタの受光素子を並べたタイプで、パネルの表面に光線をマトリックス状に放射。指などで遮光した位置を検出する。原理的に非接触なので、z軸(パネル方向に押す強さ)の検出はできないが、遮光性のものなら指以外でも操作できる。

 抵抗膜方式は、2枚の透明導電膜をわずかにスペースを空けて重ね、指などでパネルに触れて、通電した位置を検出する。具体的には、一方のパネルは左右、もう一方は上下に電極を付ける。横方向に電圧をかけてもう一方のパネル側でこれを検出すると、指などでパネルに触れた横方向の接触位置によって抵抗が変わるので、横方向の座標が電圧として検出できる。同様に、電圧の印加と検出を切りかえれば、縦方向の位置がわかるという仕掛けだ。耐久性に若干難があるが、一点を押さえられるものであれば何でも動作しコストも安いことから、PDAにはこのタイプがよく使われている。

 静電容量方式は、透明な導電性のパネルを使い、指で触れた部分の静電容量の変化を検出する。エレベータのスイッチなどで、軽く触れるだけで作動するタイプがあるが、原理はあれと同じで、応答性がよくPCのディスプレイにはこれを使ったものが多い。ただし、静電容量の検出なので、よくも悪くも指で触れないと動作しない。何かが触って誤動作するようなことは少ないが、スタイラスペンなどは使えず、手袋も駄目だったりする。

 超音波方式は、パネルの上下と左右の端に発信器と受信器をそれぞれ配置し、パネルを介して振動を伝える(表面弾性波という)。振動は、伝わる経路によって遅延が生ずるため、短い振動を与えると受信器側には、残響が付いたような少し間延びした振動が伝送される。パネルの一部に触れると、その部分の振動が吸収されるため、振動が弱くなるタイミングで座標を検出できるという仕組みである。高度でコストのかかる方式だが、分解能が高く耐久性にも優れており、最近のディスプレイにはこちらもよく使われている。基本的には指専用だが、一部では、超音波方式専用のスタイラスペンも使われる。

 電磁誘導方式は、透明パネルが磁界を検出する非接触で耐久性に優れたタイプで、磁界を発生させる仕組みを組み込んだ専用のスタイラスペンなどを使って操作する。

よくもわるくも、指などでは全く操作できない存在なので、据え置きのディスプレイに応用するのは難しいが、一部のPDAがこのタイプを採用。TabletPCのように画面そのものを手で持って使うような場合には、誤動作防止の意味でもこの電磁誘導方式が適している。

【参考】
□タブレット
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980909/key45.htm#tablet

[Text by 鈴木直美]

(2002年9月6日)


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