ライフボート、メガソフトからの出資を受け再創業へ

株式会社ライフボート代表取締役社長 森 誠氏

8月29日発表



 株式会社ライフボートは、メガソフト株式会社からの出資を受け、9月1日より正式に営業を開始すると発表した。

 ライフボートは2002年5月31日に登記を完了し、9月1日より営業開始するという。6月決算で、来年度には4億円の売上を見込む。主要株主はメガソフト株式会社で、ライフボートの60%の資本を出資した。

 代表取締役社長には旧ソフトボート取締役製品本部長の森 誠氏、取締役会長にはメガソフト代表取締役の前坂 昇氏が就任。また、監査役として旧ソフトボート取締役の馬渕 恒夫氏、特別顧問には旧ソフトボート(ライフボート)の創業者である田先 政秀氏が就任している。

 発表会ではまず、株式会社ライフボート代表取締役社長の森 誠氏が挨拶し、同社再創業までの道のりを語った。

ライフボート設立の背景 主な事業領域

 株式会社ライフボートは、'81年に、PC用システムソフトウェアの輸入販売会社として設立され、5、6年で年商12億円までに成長した。'90年代になってWindowsやLinuxが台頭すると、マルチOS管理ツール「システムコマンダー」シリーズなどの取り扱いを開始し、一定の売上は維持したが、'80年代のような急速な成長を続けることはできずにいた。

 '98年に社名を株式会社ソフトボートに変更。その後、親会社をもつことで財務的なバックボーンを持ち、さらなる事業への投資をすることで、売上増を目指すことが必要と判断。2000年4月に株式会社アイネットの子会社となった。

 だが、PCのカルチャーを持つライフボートと、メインフレームの開発・サービスプロバイダ的な性質をもつアイネットとでは資本政策や経営決定の段階で、必ずしもうまく疎通ができなかったという。

 そのため、当初の見込みどおりには行かないまま、2001年に親会社であるアイネットが株式会社ソフトサイエンスと合併、ソフトボートは2002年4月をもって株式会社YDKシステムセンターとともに株式会社プロトンへ吸収合併された。

 プロトンへの合併後、もともとPCメーカーであるプロトンとはまったく異なった性質の会社であり、合併後の財務的な不安もあって、退職を考えるソフトボート社員が相次いだという。

 そこで、PCのシステムソフトウェア開発社としての歴史がこのまま失われてしまうことを憂慮した、森氏を始めとする旧ソフトボートの有志社員が集まって、新生ライフボートを設立するに至ったと説明した。

 森氏は、「ソフトボートは業務的な行き詰まりというより、資本政策でうまくいかなかったが、有志社員がライフボートのカルチャーを引き継ぐために新会社を設立した」、「商法的にはソフトボートの名称はプロトンが引き継いでいるが、人材的にはライフボートが引き継いでいる」とも語った。

 ただ、ライフボートの再創業にあたっては、「以前のライフボートをそのまま再現するわけではない。時代は変化しており、以前からの反省点もある」と、従来とは多少異なる事業展開を考えていることを示唆し、「以前は組込からシステム分野まで幅広い分野を扱いすぎ、リソースが分散するという傾向がみられた。今回は分野を絞り、ネットワーク管理、サーバー管理、システム管理分野のソフトウェアに絞って製品を展開する」と、今後の事業方針について述べ、今回は組込市場への展開は考えていないことも明らかにした。

 具体的な製品としては、10月25日から、ネットワーク対応のDVD/CD仮想化ユーティリティ「CD Anywhere Network 2.0」、ハードディスクアップグレードユーティリティ「Copy Commander」をリリース、2003年2月以降には、「System Commander 7」や「Partition Commander 8」などをリリースするという。

 また、同社は2005年度の決算で約12億円の売上を計上し、その結果をもって株式公開を目指すことも明らかにし、「旧ライフボートで12億円という売上を作っていた人間が同じ業態でやるのだから、それを再現するのは不可能ではない。本当に3倍になるのかと疑われるかもしれないが、リアリティのある数字だと考えている」と自信を見せた。

 株式公開の目的については、「今後の事業展開にあたりエンジニアリングリソースの強化、実力をもったエンジニアリング会社などを買収する資金を得るため」とし、「我々は、幸か不幸か、この2年間で買収された会社の人間がどのように考え、どんなケアが必要なのかを実体験している。この経験は企業買収を成功させる上で生かせると思う」と語った。

株式会社ライフボート取締役会長 前坂 昇氏 ライフボートとメガソフトの特性

 続いて取締役会長の前坂 昇氏が挨拶、「旧ソフトボートの精神、カルチャーを引き継ぎ、信頼のブランドとして確立したい」、「今回のメガソフトの資本参加については、ライフボートは法人向け、メガソフトは個人向け市場に強く、お互いの弱点をカバーし、相互補完することで、大きなメリットがあると考えている」などと述べた。

 発表会後の質疑応答では、「旧ソフトボートの田先氏、馬渕氏がそれぞれ特別顧問、監査役に就任されているが、時期を待って復帰する可能性は?」と質問されると、発表会場に列席していた両氏が直接回答し、ともに「復帰の意志はない。常勤になることはあり得ない」とした。

 また、「アイネットから陰で支援がされているという噂があるが、真意はどうなのか?」という質問には、「その事実はまったくない。設立にあたってこちらから働きかけもしていないし、向こうからそういったこともなく、ポジティブな意味でもネガティブな意味でも関係はない」と否定した。

□ライフボートのホームページ
http://www.lifeboat.jp/
□ニュースリリース
http://www.lifeboat.jp/news/news20020829001.html
□ソフトボートのホームページ
http://www.softboat.co.jp/index.html
□メガソフトのホームページ
http://www.megasoft.co.jp/

(2002年8月29日)

[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]

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