富士通、2002年度第1四半期は564億円の赤字
~今年度の売上見通しも下方修正

高谷卓 代表取締役副社長

7月26日発表



 富士通株式会社は、2002年度第1四半期連結決算を発表するとともに、今年度の売上見通しを2,000億円下方修正した。

 2002年度第1四半期の売上高は、富士通の高谷卓代表取締役副社長が「厳しい決算内容」というように、前年同期比9.8%減の9,829億円と1兆円を割り込んだほか、営業損益はマイナス290億円の赤字、経常利益はマイナス512億円の赤字、当期純利益でもマイナス564億円の赤字となった。

 営業利益で133億円、経常利益で125億円の改善を行なっているが、「光電送システムおよび国内のネットワークインフラ投資が減速、大型サーバーの大口案件の減少、デスクトップPC向けHDD事業からの撤退、半導体の回復が本格化していないことなどが原因」(高谷副社長)とした。

 分野別では、ソフトウェア/サービス事業が前年同期比1.6%増の3,809億円。国内が4.3%増となったのに対して、海外が3.4%減となった。

 「国内が伸びているが、決して高い伸びではない。官公庁はe-Japanの影響で堅調だが、民需は厳しい。とくに流通業が厳しいと感じている。欧米での設備投資意欲も悪い」と、プラスであるものの手放しでは喜べないことを強調した。

 プラットフォーム事業は、前年同期比20.1%減の3,790億円。光電送事業の低迷などにより通信関連事業は赤字、HDD事業の撤退などを含む情報系はUNIXサーバーなどの堅調ぶりにより、若干の黒字だったという。

 しかし、「昨年同期は、みずほグループをはじめとする大型メインフレーム案件が集中しており、その影響が売上に対して25%以上影響している。UNIXサーバーの好調は、そこまでカバーできていない」としたほか、「PCに関しては、前年同期比7%減の1,137億円となり企業向けPCを中心に厳しい。また、携帯電話は、らくらくホン、カメラ付きケータイの出荷で、前年同期比59%増の368億円と大きく伸びたが、今後どう変化するかはわからないし、売上規模も全社にそれほど大きな影響は及ぼさない。携帯電話事業をNECのような規模にまで事業を拡大させるつもりは毛頭ない」と厳しい見方を示した。

 通信事業に関しても、「北米市場は、ワールドコム以降、さらに厳しくなっており、北米の通信事業が回復するのは今年、来年は無理。2004年度に入ってからと見ている」と話した。

 電子デバイス事業は、前年同期比11.2%減の1,419億円。「半導体の市況は回復傾向にあるものの、前年並みには回復していない」とした。

 売上高構成比のうち、前年同期は37%を海外が占め、4割を目指していたが、現在は一転して国内需要に力を注いでおり、海外の構成比率は33%にまで下がっている。「むしろ、軸足を国内に置きはじめた」(高谷副社長)という。

 事業構造改革費用として、第1四半期は258億円を計上したが、内訳は、ソフト/サービス事業では米国における人員削減など57億円、通信事業では北米キャリア向けビジネスの資産整理などで109億円、情報分野ではストレージ事業の整理などで35億円、デバイス事業では、LCD関連事業の資産整理などで57億円となった。

 一方、同社は、今年度通期の売上高予想を下方修正した。

 今年4月の予想では中間期で2兆3,200億円、通期で5兆2,000億円としていたが、今回、中間期で700億円減少の2兆2,500億円、通期で2,000億円減少の5兆円とした。2001年度実績が5兆69億円であることと比較すると横這いの計画となる。営業利益、経常利益などの予測は、電子デバイスでの上方修正、プラットフォーム事業での下方修正など分野別の動きはあるが、合計では変更はない。

 これにより部門別の売上げ予想は、ソフトウェア/サービスでマイナス900億円の2兆1,900億円、プラットフォーム事業でマイナス1,100億円の1兆8,000億円、金融その他でマイナス100億円の3,500億円、一方、電子デバイスは100億円のプラスの6,600億円とした。

 PCの出荷計画は、国内向けの260万台、北米向けの12万台は変わらないが、欧州向けが10万台減の320万台、アジア向けが1万台増の11万台とし、合計で9万台下方修正の603万台とした。デスクトップPCとノートPCの構成比では、デスクトップが47%、ノートが53%と、4月の予想時点に比べて、デスクトップが1ポイント上昇した。携帯電話は、33万台増の310万台。

 下方修正の理由として同社では、「半導体は在庫調整が一巡、電子デバイスはロジックICでの増加が見込めるなど回復感があるが、北米の通信業界における先行きの不透明感、株安、ドル安、米国企業の投資意欲の減退などが影響、光伝送システム、モバイルシステムの売上減少のほか、海外を中心にソフト・サービス事業の減少が予想されるため」としている。

□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□ニュースリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2002q1/
□関連記事
【4月25日】富士通、2001年度は同社初の赤字決算
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0425/fujitsu.htm

(2002年7月26日)

[Reported by 大河原 克行]

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