サイバーショットU、ファーストインプレッション
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DSC-P3(後)と |
7月20日発売
標準価格:オープンプライス
連絡先:お客様ご相談センター
Tel.0570-00-3311
ソニーの超小型デジタルカメラ「サイバーショットU DSC-U10」が発表された。発売は7月20日だが、編集部に届いた実機で一足早くファーストインプレッションをお届けする。外観や操作性、レスポンス、画像について紹介するほか、カシオの薄型124万画素デジタルカメラ「EXILIM」との比較もしてみよう。
■小さなボディに本格装備
メモリースティックスロット脇にはメモリースティックへのアクセスランプが。こんなところまで本格派 |
サイバーショットUは、84.5×28.6×39.8mm(幅×奥行き×高さ)の、手の平に乗る小さなボディに、130万画素CCDを搭載した超小型デジタルカメラだ。
小さいだけならサイバーショットUよりも小さなトイデジカメがいくつもリリースされている。だが、トイデジカメはコストダウンのために安っぽいボディになっていたり、液晶ディスプレイを省いたりしており、普通のデジタルカメラとは違った使い方を要求されるものだ。サイバーショットUは、マクロ撮影可能なフルレンジオートフォーカスや、メモリースティックスロット、1型液晶ディスプレイ、内蔵フラッシュなどを金属ボディに詰め込んでいる「小さな本格派」だ。
はたして、サイバーショットUは、普通のデジタルカメラと同じ感覚で扱えるのだろうか。また、本格装備の超小型デジタルカメラといえば、カシオ「EXILIM」が先週発売されている。こちらとの違いも気になるところだ。
■一見トイデジカメ、手にとればサイバーショット
パッケージから取り出したサイバーショットUは、軽そうに見えるデザインだが、手にとって見ると金属らしい重みを感じることができる。レンズカバーを開閉したり、レリーズボタンや各種ボタンを操作したときの感触は、これがまぎれもなくDSCの型番を与えられたサイバーショットの仲間であることを納得させてくれる。
編集部に届いたのは、「シルキープラチナシルバー」という名の、白基調の本体色のもの。見る角度によって微妙に色が変わるという、凝った塗装が施されている。
とにかく小さいサイバーショットU | レンズバリアを開けると“AUTO MACRO AF”の文字。上面にモードスイッチとレリーズボタン、電源スイッチがある | 背面。液晶の下にコントロールボタンとフラッシュのインジケータ。右下のUSBポートには樹脂製カバーが付く。カバーは本体から離れない。三脚穴はない |
■アルカリ電池は非サポート
さっそく付属の8MBメモリースティックと電池を入れ、撮影してみた。付属のバッテリは単4のニッケル水素電池だ。手元にあった三洋電機の単4ニッケル水素充電池「Ni-MH 700」でも動作したほか、アルカリ電池でも一応動作した。
だが、サイバーショットUの説明書では、ニッケル水素電池以外の電池は使用できないことになっている。アルカリ電池は緊急用と考えたほうがいいだろう。なお、付属充電器の充電時間は13時間と長いので、常用する場合は予備バッテリや急速充電器を用意しよう。
電池室の隣にメモリースティックスロット | 同梱されるニッケル水素充電池と充電機 |
■メモリースティックの容量で変わる起動時間
電源のON/OFFはレンズバリアの開閉のほか、レリーズボタン横の小さなスイッチでも可能だ。オートパワーオフは3分間で固定となっている。
電源ONから撮影可能になるまでは1秒もかからない。ただし、これは付属の8MBメモリースティックを使用した場合であって、128MBのメモリースティックを装着すると、これが4秒程度に伸びる。どうやら起動時にメモリースティックのチェックをしているようだ。今回は8MBと128MB以外のメモリースティックを試せなかったが、動作の軽快さを求めるならメモリースティックの容量はほどほどにしておいたほうがよさそうだ。
■ボディサイズ相応に小さな液晶
本機の設定は液晶ディスプレイ下のボタン類で行なう。上下方向に動くコントロールボタンと、その左右にあるMENUボタン、EXECボタンの3つだけだ。ボタンのサイズはまさしく米粒サイズで、ストロークも無いに等しいが、適度な重みとクリック感があり、操作はしやすい。
MENUボタンでメニューを表示して、解像度やセルフタイマーなどの設定を行なう。メニューは見やすく、操作もわかりやすい。ただし、メニュー項目がループしないなど、やや不親切なところもある。
液晶ディスプレイは反射型の1型。ON/OFF可能なフロントライト付きだが、フロントライトをOFFにする機会は少ないだろう。光学ファインダーやサブ液晶はないため、この小さな液晶がファインダー、再生ディスプレイ、情報窓とフル回転で活躍する。
1型の反射型液晶とボタン類。液晶フロントライトはON/OFF可能(写真ではON)。撮影時にはこれだけの情報が表示される | 再生時には4枚表示も可能 |
【お詫びと訂正】初出時に「バックライト」と表記しましたが、「フロントライト」の誤りでした。お詫びして訂正させていただきます。
液晶の追従性は問題ないが、絶対的にサイズが小さく、画像もあまりクリアとはいえない。あくまで撮影時のフレーミング用と考えたほうがいい。
また、本体左端にレンズがあるのに対し、液晶が中央にあるのも違和感がある。特に近くの被写体の構図を決める際に、本体を向ける方向が、液晶で見た感覚とややずれるのだ。ちょうど、レンズとファインダーが別になっているカメラの、パララックスのような感じを受けることがある。
■手軽なフルレンジAF
安価なカメラにありがちなパンフォーカスでなく、オートフォーカス(AF)を搭載しているのも本機の大きな特徴だ。
また、レンズ前10cmからのマクロ撮影が可能で、手動でマクロモードに切り替える必要もない。どんな距離でも、AF任せですぐに撮影できるのはありがたいし、遠景をぼかすこともできる。AFの合焦、AEの露出決定も高速だ。
AFがうまく機能しないときのために、焦点距離を0.2m、0.5m、1m、無限遠に固定できる「フォーカスプリセット」も搭載している。露出やホワイトバランスの補正機能は搭載されていない。基本的にカメラ任せでばんばんシャッターを切るデジカメなのだ。
■色調は派手目だが
撮影した画像は、画素数相応の解像感が感じられる。画質はシャープで、マクロモードで撮影した文字も読みやすい。色調はやや派手に感じる。
以下の実写画像は初期設定(1,280×960ピクセル)で撮影したものを、ファイル名以外はそのままの状態で掲載している。
■スピードのEXILIM、応用範囲の広いサイバーショットU
さて、先週発売されたカシオ EXILIMは、本体サイズ、CCD画素数、価格ともに、サイバーショットUと同クラスに属するデジタルカメラだ。ここではこの2台を比較してみよう。
まず外観では、EXILIMがシックでメカニックな雰囲気なのに対し、サイバーショットUはファンシー文具系。薄型のEXILIMはスーツなどのポケットに収まりがよく、サイバーショットUはオプションの専用ケースで腰などに吊るしたり、カバンの中に放り込んでおくのに適する。
一方機能では、パンフォーカスのEXILIMは合焦動作が無いぶん軽快で、液晶も見やすく構図を決めやすいなど、撮りたい時にすぐ撮れる。サイバーショットUはマクロ機能を持つなど、より広いシチュエーションでの撮影が可能だ。ピクチャーエフェクトのような機能のほか、ブラウザ付き携帯電話に画像を送信できる「i-Jump」など、ソニーらしいサービスが揃っているのも楽しい。
薄くてシックなEXILIM vs 小さくてカワイイ サイバーショット | 明るく大きなEXILIMの液晶は魅力だ |
こうしてみるとEXILIMはビジネス向き、サイバーショットUはレジャー寄り、といった棲み分けができそうだ。しかし、サイバーショットUのマクロ機能はビジネス用途でも魅力的だし、EXILIMの大きめで鮮明な液晶は、撮った画像をその場のみんなで楽しむ、といった遊びにも向く。悩ましい選択肢が増えてしまったものだ。
□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200206/02-0627/
□製品情報
http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-U10/index.html
□関連記事
【6月27日】ソニー、超小型130万画素デジカメ「サイバーショットU」
~マクロから無限遠まで、フルレンジAFを搭載
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0627/sony1.htm
【6月21日】名刺サイズのメガピクセルデジカメ カシオ「EXILIM」
ファーストインプレッション
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0621/exilim.htm
(2002年6月28日)
[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]
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