TECHXNY/PC EXPO基調講演レポート

Tablet PCの発売日は11月7日に決定
~Office 11は2003年中頃発売

Jeff Raikes副社長

会期:6月25~28日
会場:Jacob K. Javits Convention Center



 IT関連の総合展示会、「TECHXNY」が25日より開幕した。初日の25日には、Microsoftのプロダクティビティ アンド ビジネスサービスグループ副社長Jeff Raikes氏による、基調講演が行なわれ、Windows XP Tablet PC Editionの発売日が発表された。

 壇上に立った Jeff Raikes副社長は、まず、今取り組んでいる問題は、「どうすれば、情報産業の潜在的な力を具現化できるか」ということだと紹介した。

 同社の会長であるビル・ゲイツ氏は、昨年、“デジタルの革新性は我々の生活の一部となっていく”とし、「Digital Decade(デジタルの10年間)」という方針を発表している。Raikes氏は、そうした流れの中で、われわれに提供できることを考えると「“どうやって新しい価値観をを製品に組み込んでいくか”ということになる」と述べ、これから発表するソフトウェアのコンセプトを解説した。


 Raikes氏は、「ナレッジマネジメントの歴史をたどっていくと、'80年代は個人利用の時代で、WordやPowerPointなどのツールがこれにあたる。'90年代は企業内での利用が促進され、ネットワーク、インターネットやメールなどが大きなインパクトを与えた。しかし、現在でも、データがばらばらに分散していたり、非効率的なコラボレーション、情報やメールの損失、複数のデバイスやインターフェイスを理解しなければならないなどの様々な障害がある」とナレッジマネジメントの現状を分析した。

 また、「もうひとつは、PCプラットホームに関わることである。ノート、デスクトップ、Pocket PCなどがあるが、一口に“情報化”といっても、経営方針を決定する人や、デジタルメディアをオーサライズする人など、それぞれに、さまざまな用途がある。例えば、昔ながらに紙を使った方がいい仕事もある。今後のナレッジマネジメントを前進させる大きな機会となるのは、その場で、言ったことや、書いたことが情報化され、利用できるようにするということだ」と述べ、新製品を解説した。

情報利用にインパクトを与えた過去の技術 情報利用にもさまざまな形態がある

■ Office 11では、会議機能などを強化

 そうした企業の情報化の中心となるのはMicrosoft Officeだと述べ、次世代Microsoft Office「Office 11(仮称)」の詳細を明らかにした。

Office 11の特徴 「A Sneak Peek」の解説

 Office 11の特徴は、XMLをベースにした情報管理の強化、会議機能の充実、(Tablet PC用の)ノート機能などが上げられている。また、OutlookにA Sneak Peekと呼ばれる情報管理機能が加えられ、インターフェイスを一新。メッセージのフォローアップの改善や、メッセージング機能などが行なわれる。発売時期については、2003年中盤と告知された。

■ Tablet PCは、11月7日発売

Tablet PCは11月7日発売

 続いて、Tablet PCの解説に移り、デモンストレーションが行なわれた。まず、「Tablet PCは、今後10年をリードする重要なもの」と述べ、同社の取り組みを強調した後、ラップトップPCでメモをとる人ははわずか11%で、PDAはさらに少ないという調査結果について言及した。「残りの90%は(紙の)ノートを使っている。それをデジタルに置き換えるのが、Tablet PCの大きな狙いだ」とTablet PCの最も重要な意義を解説した。

 調査によれば、そうした紙ノートのユーザーの77%がそれを再利用し、タスクリストに追加などの2次的な作業を行なっているという。Raikes氏は「Tablet PCにより、情報を集中させ、そうした作業の手間を省くことができる」とセールスポイントを強調したほか、Tablet PCはWindows XPのスーパーセットであり、既存のWindowsアプリケーションが全て動くなどの特徴を解説。そして、Windows XP Tablet PC Editionの発売日を11月7日と発表した。Tablet PC Editionのβ版は30日以内に複数のベンダーに配布開始されるという。

 その後、Dellや、富士通、FIC、Acerなどのパートナーによる製品を紹介しながら、プラットフォームに多くの自由度が加わることなどTablet PCの特徴を解説した。

Tablet PCの目標 各社のTablet PCを紹介。昨日公開された富士通製Tablet PCも展示 Build 2600

 また、ソフトウェアメーカーもMicrosoftのほか、AdobeやCOREL、SAP、Autodeskなどがサポートを表明している。Raikes氏は、Wordを立ち上げ、ソフトウェアキーボードや、手書き入力などのデモを行なった。ペン操作では、“ペンを放すとカーソルだけ移動、ペンをつけると書く”といった動作や“手書き入力”、“Word上の手書きした名前などをOutlookに登録する”などのデモを披露した。手書き文字の認識精度も高く、製品化が近いことが納得できる内容だった。

 また、電子書籍ソフト「Microsoft Reader 2.5」上で、電子書籍にコメントを入力したり、Tablet PC用プラグインを利用したAdobe Acrobat上で、手書き入力するデモも行なわれた。

ソフトウェアキーボード ペン入力のデモ Word上の手書き文字の名前をOutlookに登録
Microsoft Reader 2.5を使ったデモ Acrobat上で手書き入力も可能に 各社のTablet PC

■ Pocket PC Phone Editionもデモ

今夏に搭載機が発売に

 次に、「Windows Powered Pocket PC 2002 Phone Edition」が解説された。同OSを搭載したVoiceStreamのT-Mobile対応端末が今夏に発売される。

 「Pocket PC 2002 Phone Edition」は、Pocket PC 2002のスーパーセットとなっており、「PDAと携帯電話を密接に統合したもの」(Raikes氏)。

 ハードウェアはHT Computers(HTC)製で、240×320ドット液晶を採用する。CPUはStrong ARM 206MHz、32MB RAM、SD/MMCスロットなどを装備している。講演中には、インターネットに単体で接続し、ExchangeサーバーにSSL接続して未読メールを読むといったデモが行なわれた。Raikes氏は、「これも、情報の集中化の良い例だ」と解説した。

 最後に、「新しいシナリオを描くことで、デジタルにより生産性を向上させるのが最終的な目標である」と語り、講演を締めくくった。

デモに使われた、VoiceStreamのT-Mobile。会場では実働デモも行なわれている インターネット接続中 メールを取得

□Microsoftのホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.microsoft.com/presspass/press/2002/Jun02/06-25TechXUmbrellaPR.asp
□TECHXNYのホームページ(英文)
http://www.techxny.com/

(2002年6月26日)

[Reported by usuda@impress.co.jp]

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