シャープ、LinuxとXScaleを搭載したザウルスSL-A300
~キャッチフレーズは「世界ザウルス」

7月12日

標準価格:オープンプライス

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 シャープ株式会社は、OSにLinux、CPUにXScaleを採用したPDA「ザウルス SL-A300」を7月12日より発売する。オープンプライスだが、店頭予想価格は5万円弱。

■キーボードを省き、世界最軽量のカラーPDAに

SL-A300を発表するシャープ株式会社 モバイルシステム事業部 商品企画部の藤原斎光部長

 OSとしてLinux(Embedix)を搭載し、CPUをStrong ARMからXSCale(PXA210 200HMz)にしたのが最大の変更点。Linuxの採用により、エンタープライズ市場での開発の容易さが実現された。同時に、数多のLinuxハッカーにも注目される機器が登場したことになり、Linux開発者による独創的なアプリケーションの登場が期待される。

 また、従来のMIシリーズで特徴的だった超小型キーボードが廃止され、本体サイズが小さくなり、データビューアとしての性格を強めることになった。

 ディスプレイは240×320ドット、65,536色表示の3.5型反射型TFTカラー液晶(フロントライト付き)。本体サイズは約69.4×113mm×12.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約138g(液晶保護カバー、タッチペン含む)。同社では「カラーPDAとして世界最軽量」としている。

 搭載するメモリはSDRAM 64MBで、うち約23MBをユーザーエリアとして使用可能。SDメモリーカードスロット(MMC対応)×1を本体に備えるほか、別売の「コミュニケーションアダプター CE-JC1」(7月下旬発売)でCF Type 2スロットを増設可能。CE-JC1はCFタイプの有線/無線LANカードやPHSカード、メモリカードに対応し、リチウムイオン充電池を備える

 PCとはUSB 1.1で接続する。接続のためのUSBアダプターとケーブル、充電のためのACアダプタは本体に付属する。別売りでデータ転送と充電が可能なクレードル「CE-ST8」(5,000円)もSL-A300と同時に発売される。

 そのほか、IrDA、ステレオヘッドホン端子を本体に備える。電源はリチウムイオン充電池。フロントライト最大輝度で約4時間、フロントライトOFFで約12時間の使用が可能。

米国で発売されたLinux搭載ザウルス「SL-5500」と並べたところ。SD-5500が従来のザウルスMIシリーズとほぼ同じ筐体なのに対し、小さくなっているのがわかる。厚みも2/3程度 本体にある操作スイッチは、側面の電源ボタン(フロントライトボタンを兼ねる。写真では親指の下に隠れている)と前面の4方向キーと4つのボタンのみ。4つのボタンにはHome、Cancel、OK、Menuが割り当てられている。写真親指の上にIrDAポートが見える 本体上面。左からスタイラス、SDメモリーカードスロット、ヘッドホン端子
本体に付属する液晶保護カバー。材質は未確認だが皮革の様な外観 USBとACアダプタは本体下部のコネクタにアダプタを介して接続される 別売りのクレードル CE-ST8。SL-A300上部から飛び出ているのは付属のスタイラス(タッチペン)
CFスロットとリチウムイオン充電池を増設するジャケット「コミュニケーションアダプター CE-JC1」。本体と接合する部分が透明パーツになっている。右上が接続コネクタ。本体側のコネクタは、普段は樹脂のカバーで覆われている CE-JC1を取り付けたところ。厚みがほぼ2倍になる CE-JC1にCFタイプのワイヤレスLANカードを装着したところ

■「世界ザウルス」をLinuxで実現

 同社ではOSにLinuxを採用した理由を、「世界中のハード・ソフトが使えるオープン性」を実現するためとし、発表会ではSL-A300を「世界ザウルス」と呼んだ。同社はすでに米国、欧州でもザウルスシリーズを展開することを表明している。

 また、SL-A300には、Java実行環境として「Jeode」を搭載可能(付属CD-ROMに収録)で、Linux以外にJavaでのアプリケーション開発も可能となっている。

 この1月から米国において、ザウルスMIシリーズとほぼ同様の筐体にLinuxを搭載した「SL-5500D」を開発者向けに発売、開発者向けサイトを開設しており、サイトに登録された開発者は約30,000人にのぼるという。また、Javaプログラムを含めて335本のプログラムが開発済みまたは開発中という。

 7月下旬には日本の開発者向けコミュニティーサイトも開設される予定。

 同社通信システム事業本部の宇野裕史モバイルシステム事業部長は、ザウルス互換機が他社からリリースされる可能性について、Linuxをベースとしたザウルス環境のライセンスも積極的に進めると述べ、ライセンス先については現在交渉中とした。

 なお、従来のZaurus OS搭載PDAも併行してフォローしていくとしていが、「基本的な展開の方向性としては、Linuxのほうに進めていく」としている。

「世界のザウルスにする」宣言 会場に展示されたSL-A300のシステム情報。カーネル2.4.13と表示された GUI環境は「KDE」でおなじみTrolltechの「Qtopia for Embedix Plus PDA」。展示機ではKDE用のPIMソフト「KOrganizer」が動作していた

■PIMデータの互換性は確保

 一方で、従来のザウルスで作成したアドレス帳やスケジュールデータとの互換性が確保されている。さらに、付属CD-ROMには「Intellisync for Zaurus」が含まれ、Microsoft OutlookやPalmDesktopとの同期も可能となっている。

 本体にはアドレス帳、カレンダーなどの基本PIMソフトや時計、電卓などのユーティリティ、メールソフトや画像ビューワー兼手書きメモソフト、テキストビューア兼エディタが搭載される。また、付属CD-ROMにLinux上で動作するMicrosoft Office互換のワープロ「HancomMobileWord」と表計算「HancomMobileSheet」が収録される。

カレンダーの画面 画像ビューア兼手書きメモの「イメージノート」。サムネールから開くデータを選べる

■スクリーンキャプチャを活用する「ザウルスショット」

 また、PCとのデータ交換用の新機能として「ザウルスショット」と「ザウルスドライブ」が紹介された。前者は、Print Screenキーを押すだけで、PCのスクリーンショットを撮り、SL-A300に転送する機能。これにより、Webブラウザで表示された情報や、Excel形式、PDF形式など、どんな形式のデータでも、SL-A300に対応アプリケーションがなくても閲覧できる仕組みだ。ビットマップ形式データの情報量がどの程度実用的なのかは、実際に試すことができなかった。

 後者はPCと接続したSL-A300が外部ドライブとして認識される機能。USBのマスストレージクラスのような機能だが、同社では「SAMBA(LinuxでWindowsのファイルやプリンタを共有するしくみ)を利用している」としている。

 このほか、取り込んだファイルをカレンダーに自動的にリンクする「リンクカレンダー」機能も新しく搭載される。

ザウルスショットの実演。左のPC上で、Excelでデータを表示し、スクリーンキャプチャを撮り、右のSL-A300に転送してイメージノートで表示。SL-A300上ではペンでスクロールして閲覧できる ザウルスドライブの実演。右のウィンドウにSL-A300内のフォルダやファイルが表示されている リンクカレンダー機能の説明

□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp
□ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/020624.html
□ザウルスソフト開発サポートのホームページ「ザウルス宝箱Pro」(Linux用は7月下旬から)
http://more.sbc.co.jp/
□関連記事
【2月26日】塩田紳二のLinux搭載PDAレポート
米国市場向け シャープ「SL-5000D」レビュー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0226/zaurus.htm

(2002年6月24日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]

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