マイクロソフト、Windows XP Tablet PC Editionを発表
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Tablet PCを持つマイクロソフト株式会社 Windows製品部の御代茂樹部長 |
2002年秋出荷予定
連絡先:カスタマーインフォメーションセンター
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大阪:Tel.06-6347-9300
マイクロソフト株式会社は、Tablet PC用OS「Windows XP Tablet PC Edition」を今秋より発売する。メーカーより発売されるTablet PCにプリインストールされて出荷するのみで、単体での発売はない。
■ソーテックとNECのTablet PCをデモ
Tablet PCはペンで全ての操作が可能なモバイルPC。ペン操作により、手書きでメモをとったり、会議中に手軽にPCやネットワークの情報にアクセスできるといった利用が可能になる。これにより、「“ペンと紙の世界”と“PCの世界”を融合」(Microsoft Tablet PCグループ アンドリュー・ディクソン マーケティングマネージャー)し、両者の利点を生かせるとしている。
アンドリュー・ディクソン マーケティングマネージャー | ソーテック AFiNA Tablet |
会場ではソーテックとNECのTablet PCの動作する試作機が展示され、デモンストレーションされた。
ソーテックのマシンは同日に発表された「AFiNA Tablet(仮)」。後述するWindows XP Tablet PC Editionのデモにも使用された。一見普通のノートPCだが、ディスプレイ部を回転させてキーボード上に折りたたんでTablet PCとして利用できる。
システムプロパティではCPUがモバイルPentium III-M 700MHzと確認されたが、製品では変更される可能性がある。が、この状態でも軽快に動作していた。USBポート、PCカードスロット、Ethernet、ディスプレイ出力などのインターフェイスが確認できた。
【動画】(1.44MB/MPEG-1) ソーテック AFiNA Tabletをラップトップモードからタブレットモードに変形させるところ |
AFiNA Tabletのシステム情報。モバイルPentium III-M 700MHzにメモリ256MBと表示されていた。これで動作はかなり軽快だった | キーボードの配列はノートPCとしては一般的なもの。ディスプレイは時計回りにしか回転しないようになっている(中央ヒンジ部分に小さく「ROTATE」という文字と回転方向を示す矢印がついている)。通常のノートPCでディスプレイヒンジ部となる左右の黒いパーツは、回転させたディスプレイを固定するためのラッチ。ラップトップモードでもタブレットモードでも固定できる |
USB、PCカードスロットなどが見える。USBはやわらかい樹脂のカバーで隠される | 本体前面にはIrDAがある | 本体背面。ビデオ出力とEthernet、モデム。すべてカバーで隠される |
NECのマシンは初公開となるもの。キーボードが無く、ペン操作のみとなる。外観に目立った特長は無く、EthernetやUSBと思われるインターフェイスが確認できた。システム情報ではCPUがCrusoe TM5800 698MHzとなっていた。試作品らしく、動作やペンの反応が遅く感じられた。
NECが参考出品したTablet PCの試作機。インターフェイス類にはすべて蓋がついていた | システム情報にはCrusoe TM5800 698MHz、メモリ240MBと表示された |
どちらも価格は未定だが、マイクロソフト Windows製品部の御代茂樹部長は「現在のノートPCのハイエンドモデルと同等」との予測を示した。
■紙とPCの利点を融合するTablet PC
Tablet PCに必要とされるハードウェアは、「電磁誘導式デジタイザとペン、ドッキングステーションからの突然の取り外しに対応、スタンバイから即座に復帰、レガシーフリー(シリアルポート、パラレルポートなし)、ポートレートモードとランドスケープモードに対応(ディスプレイが縦横自由に対応)、Ctrl+Alt+Delキー専用ボタン」となっており、ディスプレイのサイズなどは規定されていない。
x86アーキテクチャを採用し、既存のWindows XPアプリケーションを利用できる。CPU等の処理能力は、現在のノートPCと同等で利用可能としている。
デザインとしてはキーボード付きの「コンバーチブル」型(ソーテックのAFiNA Tabletがこれ)とキーボード無しでペン操作のみの「ピュアタブレット」型(NECのTablet PCがこれ)が想定されている。どちらも、ドッキングステーションに接続してフルキーボードやマウス、マルチディスプレイが利用可能な「ドッキングモード」、本体付属のキーボードや取り外し可能キーボードを取り付けて利用する「ラップトップPCモード」、キーボードを収納したり、取り外した状態の「タブレットモード」の3つの形態で使用できる。御代部長は「これ以外にもさまざまなデザインが出てくることに期待している」と述べている。
現在、全世界で22社のデバイスメーカー、部品供給メーカーがTablet PCへの関与を表明している。日本ではNEC、ソーテック、東芝、日本HP、富士通の5社が参加を表明しており、今後も増える見込みとしている。
想定されるハードウェアデザイン | 参加メーカーのリスト | Tablet PCのデモンストレーションをするマイクロソフト株式会社の梅田成二氏。電磁誘導式デジタイザのおかげで、ディスプレイ上に手を置いて操作しても、ペン先のみ検知される |
■既存のWindowsアプリが動作するWindows XP Tablet PC Edition
Tablet PC EditionはWindows XP Professionalのスーパーセットとなる |
Tablet PCに搭載されるOSが「Windows XP Tablet PC Edition」(以下、「Tablet PC Edition」と表記)。Windows XP Professionalのスーパーセットで、既存のWindowsアプリケーションが全て動作するとしている。またTablet PC用に、手書き入力(デジタルインク)や音声入力のエンジンやAPI、アプリケーションが付属し、画面の回転(ポートレートモードとランドスケープモード)に対応する。入力アプリケーションは手書き、音声とも日本語に対応する。
手書き入力アプリケーションとしては、手書き文字認識機能を備えた「Tablet PC入力パネル(TIP)」のほか、「Windows Journal」という手書きメモアプリケーションが付属する。
Windows Journalでは、手書き文字をテキストに変換でき、手書き文字を検索することもできる。また、書いた文字や図形の色などを変更したり、空白を挿入するなど、紙とペンではできないことも可能。空白挿入などは、「ジェスチャー」と呼ばれる特定のペン操作でできるようになっている。Tablet PC Editionにはジェスチャー認識エンジンとAPIが実装されており、他のアプリケーションからも利用できる。
このほか、ペンで操作するゲームなども付属する。また、Office XPをTablet PCで利用するためのアドオンパッケージも用意される予定。
■Tablet PCはラップトップPCの上位版
ディクソン マネージャーは、「ペン操作は今までの10年間にもあったが、主流にはならなかった」と述べ、今、Tablet PCを主流にできる理由として、「ノートPCのすべての機能と、既存のアプリケーションが使える」「低消費電力化、液晶ディスプレイの進歩、ワイヤレスネットワーク インフラの整備などの技術の進歩」「デジタルインク(手書き文字)の登場」をあげた。
また、米Microsoftのビル・ゲイツ会長はTablet PCを「今後5年の主流となるもので、ラップトップPCの上位版」と位置付けていることも述べた。
御代部長はTablet PCを今後の主力製品と述べ、Windows XPに迫る“マーケティング・スペンド”を割くとし、Tablet PCへの意気込みを表明した。7月3日~5日に幕張メッセで開催される「NETWORLD+INTEROP 2002 TOKYO」で展示するほか、8月には同社新宿オフィス内にMiraなどとあわせて実体験スペースを設置、10月16日~19日に東京ビッグサイトで開催される「WPC EXPO 2002」を「Pre-Launchイベント」と位置付けた。
このほか、ISVや開発者向けにSDKを配布するほか、テクニカルセミナーなども実施するという。
□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/releases/061202tabletpc.asp
□ソーテックのホームページ
http://www.sotec.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sotec.co.jp/news/2002/0612_tablet-pc.html
□関連記事
【6月5日】【COMPUTEX】Tablet PCとMiraに注目が集まる
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0605/comp07.htm
(2002年6月12日)
[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]
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