IBM、1平方インチに1TBのデータを記録する「Millipedeチップ」を発表
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Millipedeチップ |
6月11日(現地時間)発表
米IBMは6月11日(現地時間)、スイスのチューリッヒにおいてナノテクノロジーを利用したデータ記録手法をデモンストレーションし、6.45平方cm(1平方インチ)あたり1TB(テラビット)のデータ記録密度を実証した、と発表した。
この手法は同社の研究プロジェクト「Millipede」(ミリピード:ヤスデの意味)による成果。開発が進めばフラッシュメモリ程度の大きさに10~15GBのデータを記録できるようになるうえ、10万回を超える書き込み/上書きが可能で、1~2Mbit/secの速度でデータ転送でき、消費電力が低く、耐振動や耐衝撃性が考慮された記憶装置を実現できるという。同プロジェクト・リーダーのPeter Vettiger氏は「Millipedeプロジェクトは、PDAや携帯電話、多機能腕時計などのモバイル・デバイスに莫大なデータ容量をもたらすでしょう」と述べている。
Millipedeチップの動作原理。黄色いフィルム上に並んだ青いカギ状のものがカンチレバー。フィルムが動いて穴を開ける位置を決める |
この手法の原理は、「カンチレバー」と呼ばれるアーム型装置(長さ70μm)の鋭利な先端部が、フィルムに10nmの微細な穴を穿つことでデータを記録するもの。また、データ読み出しは、カンチレバーが穴を検知しすることで行なう。同社は「コンピューター草創期のデータ処理技術である“パンチ・カード”のナノテク・バージョン」と述べている。
実証した装置は3mm四方の領域にカンチレバーを1,024本(32×32本)配列したもの。チップ全体の大きさは7×14mm。2003年初めには7mm四方に4,096本(64×64本)を配列した装置が完成する予定。
□IBMのホームページ
http://www.ibm.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.research.ibm.com/resources/news/20020611_millipede.shtml
□ニュースリリース(和文)
http://www.ibm.com/news/jp/2002/06/06113.html
□Millipede関連の画像(Millipedeチップの動作ムービーあり)
http://domino.research.ibm.com/Comm/bios.nsf/pages/millipede.html
(2002年6月11日)
[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]
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