Transmetaの新CEOが来日。「ジャパン・ファースト」戦略の強化へ
~256bit Crusoeは「TM8000」に

Matthew R.Perry CEO

5月29日発表



 米Transmetaの新CEO、マシュー・ペリー(Matthew R.Perry)氏が来日し、同社の経営ビジョン、日本における事業展開を説明し、日本での展開をより強化する「ジャパン・ファースト戦略」を明らかにした。

■Transmetaは日本での展開を強化する

黒船のペリーではありません

 Perry氏は、まず、「黒船のペリーではなく、“Crusoe”を紹介しに来日したペリーです」と軽くジョークをとばした後、「TransmetaはCrusoeプロセッサを開発し、モバイルプラットフォームにおいて、もっとも長いバッテリライフ、革新的なフォームファクタを提供する会社だ」と簡単に説明。「いまモバイルプラットフォームで、もっとも重要なのは、常時接続、それから長時間バッテリ駆動だ」と述べ、このような市場の要求を満たすプロセッサとして、Crusoeが最適だと解説した。

 その後、今後のモバイルPCの動向について説明した。「'90年前後には、平均15ポンド(約6.8kg)程度だったが、今は7ポンド(約3.2kg)が主流に、そして将来は3.5ポンド(約1.6kg)以下の非常に小さなものが主流となる」とし、そうしたポータブルなPCが最も普及している日本に最も力を注ぐ「ジャパン・ファースト戦略」を強化すると述べた。


モバイルPCの主流はより小型軽量に Transmetaは日本に注力する ノートPCの売上はアジアパシフィックが北米を上回る
ノートPCのボリュームゾーンは1,500ドル以下に バイオUを持って解説

 また、「モバイルPCの価格が下がってきており、このトレンドは続く、それをサポートするのがCrusoeだ」と述べ、モバイルPCの低価格化に対応していくことをアピールした。そして、「Crusoeは、小型のノートPCやファンレスデスクトップ、インターネットアプライアンスなど様々な用途が考えられるが、重要なのはx86互換であることだ。x86互換であることにより、今後、家庭内のいろいろな機器で使われるだろう。例えば、DivXやMP3のデコードなどが要求される、オーディオ/ビデオサーバーなど高負荷環境での利用もできる」とその特徴をアピールした。

 最後に、「CEOとしての初のプレスカンファレンスを日本で開催したのは、日本に多くの顧客がいるからだ。Cruoseがもっと世界中で使われることを望んでいる。Transmetaは、トランジスタをソフトウェアにより置き換えてきた革新的な会社だ。CEOとなった後、いくつかの技術プログラムを開始しており、それは年内には結果がでるだろう」と述べ、スピーチを締めくくった。

■1,000g/1,000分駆動で1GHzの1,000ドルモバイルPCを目指す

デビット・ディッツェルCTO

 その後、同社の創業者で、現CTOのデビット・ディッツェル(David R. Ditzel)氏が、同社が注力しているタブレット型のコンピュータなどについて解説した。

 まず、最初に「タブレットコンピュータがコンピューティングを変化させる」と述べ、カシオの企業向けペンPC「FIVA(MPC-701)」や東芝のFeminity、PaceBlade TechnologyのPace Bladeなどについて解説した。

 そして、「今年の末に大きな変化がある。それはWindows XPのTablet PC版が発表されることだ」述べ、これにより、「ペンタイプの新しいインプットデバイスを使って、漢字や絵をかくことができる上、従来のWindowsアプリケーションもそのまま使うことができる。ここがいままでのタブレット型のPCとの大きな違いだ。これについてはMicrosoftと2年以上協力してきた」と説明し、「現在、多くの会社がタブレット型に着手しており、今年の後半に投入するだろう」と解説した。

Windows XP Tablet EditionがタブレットPCを変える OQOのUltra-Personal Computerをデモ IBMのMetaPadも紹介
会場ではUltra-Personal Computerのデモも行なわれた Pace Bladeも展示された

 そして、「1年前にこうしたタブレットPCのビジョンを語ったときは、まだ完全なモックアップで実現には程遠かったが、いまやほとんど実現された」とし、WinHECでも展示された世界最小のWindows XP搭載PCであるOQOのUltra-Personal Computerをデモし、実現に至った4つのファクタを解説した。4つのファクタとは「東芝の1.8インチのHDD」、「802.11b」、「高解像度の小型液晶」、そして「Crusoe」となっている。

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~TM6000と256bit Crusoeは2003年に延期
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0417/winhec1.htm

2003年にTM6000、TM8000を投入 TM6000はSystem on a chip化される TM8000は256bit VLIWを搭載する

Crusoe 1000イニシアチブ

 また、その後新プロセッサのロードマップについて解説し、System on a chip化した「TM6000」や、命令長を現在の128bitから256bit化した次世代プロセッサの名前を「TM8000」とし、2003年に発表することが明らかにされた。

 最後に「Crusoe 1000イニシアチブ」構想を発表した。これは、1,000g以下で、1,000分(16.6時間)の駆動時間、1,000MHzの動作クロックを持ったWindows XPが完全に動作するワイヤレスPCを1,000ドル以下で実現するという目標を語ったもの。この構想を元に、さらなる低発熱、低消費電力、長時間駆動に向けて開発を進めていくという。


■生活に浸透するCrusoeへ

和田新 ジャパンカントリーマネージャー

 最後に壇上に立った、和田新 ジャパンカントリーマネージャーは、マーケティング戦略などの概要を語った。まず、現在最も顧客が多い日本向けのTransmetaのWebサイトがなかったことから、日本語サイト( http://www.crusoe.jp/ )を開設したと発表した。また、まだ構想案であるが、渋谷にフォーカスしたポータルサイトを計画中であることを明らかにした。

 このポータルサイトは、シブヤテレビジョン提供による番組コンテンツや、Webカメラからの街角ビューなどをサイト上で流すというもの。和田氏は、「以前はポケベル、今は携帯電話だが、Crusoe搭載機器を一般の人が使う時代を来ることを予見したもの」とし、なぜ渋谷かという理由については、「新しいライフスタイルが登場するところだから」と説明した。

□Transmetaのホームページ(英文)
http://www.transmeta.com/
□Transmetaのホームページ(和文)
http://www.crusoe.jp/

(2002年5月29日)

[Reported by usuda@impress.co.jp]

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