米3wareは14日、都内で発表会を開催し、シリアルATAに対応したRAIDカード「Escalade 7C80(仮称)」を、9月中旬より出荷開始すると発表した。国内での販売代理店は株式会社アスクとなっている。

　「Escalade 7C80」は、シリアルATAインターフェイス対応のハードウェアRAIDカード。PCIバス用(64bit/33MHz、32bit/33MHz)となる。ポート数は8/12ポートのものが用意される。価格は未定だが、12ポート搭載機は15万円程度の見込みだという。

シリアルATA対応の「Escalade 7C80」。写真は8デバイス対応機で、基板の端にポートを8ポート備える。12デバイス対応機は、基板上の表と裏にも2ポートずつポートを備える(ポートとシリアルATAコントローラ用のシルクが見える)

パラレルATA-シリアルATA変換コネクタの基板面。中央のチップがシリアルATAコントローラ	変換アダプタをHDDに接続した状態

　各デバイスが専用ポートを介して独立し、直接メモリとデータの受け渡しを行なう「3ware ストアスイッチ アーキテクチャ」を採用したほか、PCIバス-ストアスイッチ間を、PCのCPUやメモリを介在せずにデータ転送を行なうため、高い転送速度と信頼性を実現したという。

日本駐在事務所 橋本博文氏

　同社の日本駐在事務所の橋本博文氏は、「現在サーバー市場では、パラレルATAケーブルの長さ制限(50cm)や、フラットケーブルによるエアフローの妨げなどが問題になっている。シリアルATAのケーブル長は100cmで、細いケーブルとコネクタを採用したことで、取り回しが容易になる。シリアルATAは転送速度よりも、こういった設置性でのメリットが大きい」と、シリアルATAの優位点を解説した。

　さらに「ターゲットは、新技術、大容量、高転送速度による差別化を図りたいホワイトボックスメーカーや、配線の簡素化による冷却能力の改善が見込まれる薄型サーバーベンダのほか、IntelがマザーボードにシリアルATAを搭載するまで待てないハイエンドユーザーなどだ」と、Escalade 7C80のターゲットとする市場を示した。

　また、「2002年中旬にはシングルチップ化し、低コスト化を図る予定だ。また2003年にはiSCSIチップを搭載し、シリアルATAとiSCSIのストレージプラットフォーム化を目指す」と、今後の展望を語った。

　会場では、実際に「Escalade 7C80」を搭載したPCに、変換アダプタを介したIDE HDDを4台接続してベンチマークテストを使ってのデモを行なっていた。デモでは転送速度が115MB/secに達しており、シリアルATAの高速転送能力を強くアピールしていた。

写真はすべて開発中のものです。実際の製品とは仕様が異なる場合があります
デモの様子。4台のHDDを接続している	使用したPCは、Intel製マザーボードにSlot 1タイプのPentium III 650MHzを搭載していた。OSはWindows 2000	シリアルATAケーブル4本を接続した状態。フラットケーブルタイプのパラレルATAと比べると圧倒的に省スペース化が図られている

RAID 0で構築されたアレイをWinBench 99を使用してベンチマークテスト。最外周での転送速度は115MB/secに達する。デモでは32bit PCIバスを使用していたが、64bit PCIバス使用時は180MB/secに達したという(RAID 0時)	デモに使用されたのはMaxtor製Ultra ATA/100対応HDD「981698H8」。20GBプラッタ、5,400rpmのモデル

シリアルATAケーブル。ケーブルが細くて長いため、取り回しに便利

Escalade 7C50

　また、最大12デバイスを接続可能なUltra ATA/133対応のハードウェアRAIDカード「Escalade 7C50」を5月中旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は12万円前後の見込み。

　PCIバス用(64bit/33MHz)のRAIDカード。対応RAIDレベルはRAID 0/1/5/10およびJBODとなっている。

□3wareのホームページ(英文)
(5月14日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.3ware.com/
□関連記事
【2001年12月11日】3ware、IDE RAIDカード「Escaladeシリーズ」を再開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011211/3ware.htm

(2002年5月14日)

[Reported by yosida-s@impress.co.jp]