マイクロソフト、大学との連携プログラム「University Program」を発表
~新サポートサービス「ダイアログナビ」も同時発表

3月27日 発表

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 マイクロソフト株式会社は27日、経団連会館で記者発表会を開き、共同研究や人材交流などを含めた大学との連携プログラム「University Program」の実施を発表した。また、同時に4月15日より開始するオンラインサポートサービス「ダイアログナビ」を公開した。

マイクロソフト取締役経営戦略担当 東貴彦氏

 University Programは、従来同社が行なってきた大学との連携を、より広範囲に推し進めるプログラム。具体的には、デジタルデバイド解消に向けた共同研究、デジタル教材の開発や教育カリキュラムなどの教育支援、MSDN Academic Allianceの提供、Microsoft Researchとの連携プログラムなどが含まれる。

 発表会では、同社取締役経営戦略担当の東貴彦氏、早稲田大学理工学部情報学科助教授の山名早人氏などがITデジタルデバイドの解消など同プログラム実施の目的や経緯、産学協同による研究のメリットなどについて説明を行なった。

 山名氏は、ログ解析によるユーザー意図解析の研究を行なっており、今後マイクロソフトのサービスに取り込まれる予定のシステムについて解説をした。このシステムは検索語の入力パターンからの検索意図の解析を目的とする。

早稲田大学理工学部情報学科助教授 山名早人氏

 例えば、ユーザーが「A」、「B」という2つのキーワードを入力して検索を行ない、満足いく結果が得られなかった場合に、続いて「A」だけで検索を行なったとする。ここでこのシステムは「A+B」では検索結果が絞り込まれすぎたが、「B」は検索にまったく無関係な言葉ではない、と判断し、続いての「A」のみの検索結果において、「B」にも関連する語を含むページを上位にランキングさせるという具合。

 また、4月15日より同社ホームページ( http://www.microsoft.com/japan/navigator/ )で実施される新サポート検索サービス「ダイアログナビ」が実演を交えて公開された。

 同システムは東京大学の黒橋研究室との共同研究の成果によるもので、ユーザーの知識レベルや、検索の質問内容のレベルなどに依存せず、ユーザーの意図を汲み取って、より的確な回答を提供する対話型の検索システム。

 デモではまず、「エラーが発生する」という文字を入力。するとシステムは、入力された情報の少なさを補うために、どのような状況でエラーが発生したのかを絞り込むための質問をユーザーに返す。そこで「Windows起動中」を選択すると、システムは今度は、利用しているOSを問い合わせる。そして最後に「Windows 98」を選択すると、これらの絞り込みに合致する回答を含む文章が検索結果として表示される。

ダイアログナビの開始画面 「エラーが発生した」と質問内容を入力すると、「エラーはいつ発生しますか?」と表示され、画面下部には状況の選択肢が表示される 回答として「Windows起動中」を選択すると、次に使用しているOSを尋ねられる
絞り込みの結果、質問に合致する内容を含む情報が表示され…… 最終的にユーザーが知りたかった情報にたどり着ける

 このシステムは、対話型という特徴以外にも、入力文章の形態素や構文解析などの自然言語処理も行ない、ユーザーの意図解析に基づく的確な回答へとナビゲートする仕組みになっている。

 例えば、「なになにをしたい」という文章が入力された場合、「したい」の部分に着目し、この場合ヘルプ情報が有用な回答を含むことが多いという判断から、検索結果としてサポート情報よりもヘルプ情報をより上位にランクさせる。

「行を追加したい」という非常に漠然とした質問でも…… 精度の高い検索結果が表示される。ここでは「したい」とう言葉の形態素解析が行なわれ、サポート情報よりヘルプ情報(アイコンに表示)が優先的に上位に表示される

 発表会の最後には質疑応答が行なわれた。「共同研究による成果物が実際に同社のサービスとして提供される場合、その権利関係はどのようになるか」との問いに、東氏は「大学と契約を結んだ上で、使用権を得ることになるが、マイクロソフトが所有権を得ることはない。また、サービスとして提供することはあっても、製品に組み込むつもりはない」と答えた。

 また、「大学では従来UNIX系OSが広く使用されているが、このプログラムの実施には、大学に入り込んでマイクロソフト製品を普及させ、慣れさせた上で、将来学生が社会に出た時も製品を使わせようとする意図なのでは」との問いに対して東氏はまず、「大学においてマイクロソフト製品が普及していないのは事実。これはマイクロソフトが大学に対しての理解が浅かったためによるものだとの反省点が本プログラム実施にいたった経緯の1つでもある」と答えた。

 そして、「しかし、プログラム実施の結果として大学に自社製品が普及し、より多くの学生にC#を使ってもらえるようになったら、それはそれで幸いだ」と、付け加えた。

 「それでも、当社が大学との提携を実施するのは、アクセシビリティの改善などのデジタルデバイド解消を実行するにあたり、共同研究のパートナーとしてもっともふさわしいのが大学である、という考えに基づいている」との言葉で回答を締めくくった。

□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/releases/032702.htm
□ダイアログナビのページ(4月15日より公開)
http://www.microsoft.com/japan/navigator/

(2002年3月27日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

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