JEITA、会長定例会見を開催
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社団法人電子情報技術産業協会 森下洋一会長 |
社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、3月27日、会長定例会見を開催、同協会の森下洋一会長(=松下電器産業会長)は、「日本の半導体産業は、完全な回復には至っていないが、いよいよ底打ちし、回復基調に入ってきた」と宣言した。
森下会長は、米国経済が昨年後半から個人消費を中心に回復したこと、台湾、韓国、中国での旺盛な需要などに支えられて、日本の半導体、電子部品関連が上向きになっていることを指摘、「4~6月も若干の回復基調で推移することになるだろう。願望としては、年内もこの状況を維持するものと期待したい」とコメントした。
だが、国内の市況に関しては、個人消費が前年比マイナスで推移していること、設備投資が大幅なマイナスで推移していることから厳しい見方をしている。
「プラズマディスプレイ、液晶テレビ、DVDプレイヤー、カーナビゲーションなどのデジタル新分野製品に関しては、順調に販売が伸びているものの、既存分野が前年を下回る実績で低迷しており、結果として差し引きになってしまう。エレクトロニクス業界としての需要見通しは、後半での回復を期待する形にならざるを得ないが、前半にはワールドカップサッカーに関連して映像関連商品の伸びに期待したい」とした。
また、中国生産が活発化していることに対しては、「中国の半導体生産は当初の予測よりも増加するだろう。全世界の生産量における中国の生産比率は、テレビで4分の1、VTRで3割、DVDプレイヤーで5%。ノートパソコンは、DVDプレイヤーよりも比率は低いが、デスクトップパソコンは3割を超えている」として、「今後はノートパソコンも台湾から中国への生産移転がすすむかもしれない」と予測した。
さらに、「中国市場が拡大していることは日本のエレクトロニクス産業にとってもプラス。日本からの部品調達などの需要が高まる」としたほか、韓国、中国などの海外メーカーの日本市場進出については、「日本の消費者が答えを出すものであり、大いに参入していただきたい。安価なものやシングルユース的な使用期間が限定されるものが中心になると予測され、日本のメーカーはいい物を作るという基本的な部分に力を注いで行かなくてはならない」とした。
森下会長が総務省の佐田玄一郎副大臣に手渡した要望書 |
一方、森下会長は、27日午前、総務省を訪れ、「地上デジタル放送の推進について」という要望書を、総務省・佐田玄一郎副大臣に直接手渡したことを明らかにした。
要望書では、一部マスコミなどで「アナ-アナ変換」を巡るコスト高騰問題をもとに、地上デジタル放送延期論、不要論が出ていることに対して、国としても、デジタルテレビの普及に向けて、導入効果の認知向上、今後の移行スケジュールを広く周知する活動を行なうように申し入れている。
「見るテレビから、見て使うテレビへの移行を実現するデジタルテレビは、国民が親しみやすい情報端末として普及することが欠かせない。また、2003年12月の導入開始、2011年には全国的に切り替えを終え、併せて従来の地上アナログ放送については停波するというスケジュールを明確に訴えなければならない。片山大臣は参議院予算会議、本会議出席のため直接会えなかったが、佐田副大臣と面談し、この方向に異論はない、要望を受けて進めていきたいとの回答をもらった。行った甲斐があった」などとコメントした。
□JEITAのホームページ
(2002年3月27日)
[Reported by 大河原 克行]
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